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自宅テイスティング:ロイヤルロッホナガー 1994 14年 オフィシャル マネージャーズチョイス #837

スペックから想像できないほど素晴らしいボトルで,さすがマネチョです。

 

ロイヤルロッホナガー ROYAL LOCHNAGAR 1994-2009 14yo OB THE MANAGER'S CHOICE #837 59.3%
Bodega Sherry European Oak Cask, one of 528 bottles

・香り:
力強い香り立ちで鼻に強く抜ける,こなれたニュアンスもある強く良い麦感,強いシナモン,ショウガ,バニラクリーム,熟したアプリコットやオレンジ,焼きりんご,プラム,蜂蜜,紅茶,ややフレッシュなオークと樹液,松ヤニ,重厚でリッチ。

・味わい:
厚みを感じる重めの口当たりからじわじわと刺激,強い鼻抜け,樹液やオイルのある淡い粘性のあるテクスチャー,淡い噛み応えを感じる凝縮感もある、加熱したりんご,オレンジ,アプリコット,プラムや柿,濃い麦とその滋味深い旨味,強くシナモン,バニラ,良いオークのウッディネス,味を引き締める煮詰めた紅茶のタンニン,ナッツ,コクのある蜂蜜の甘味,柑橘の皮のような渋味,フルボディで厚く濃い味だがクセは無く飽きない,それぞれの味わいがくっきりしており強くはっきりとした輪郭がある。

・余韻:
コクのある甘味と心地良いタンニンの渋味,樹液とオイル,そして麦の濃い旨味が味わい深く長く残る。

・加水:
柑橘系フルーティとクリームがやや強まるが,多めの加水でも崩れず旨みも十分保たれる。

・総評:
90年代蒸留で熟成14年とは思えないナチュラルな熟成感とこなれたニュアンス,そして驚くほど複雑な香味があるが,実際は短熟ということもあってしっかりとしたボディがあり,滋味深い麦の旨味も非常に濃厚。
それぞれの成分がしっかりと主張してくっきりとした輪郭を感じるが,それでいて全体としてのバランスが高次元でとれている。ただし突出したわかりやすい成分には乏しく,やや玄人向けのモルト。
強烈な旨みがあるのにクセが無く全く飲み飽きしないため,いくらでも飲めてしまう。

【Very Good】

2009年にリリースされたマネージャーズチョイスのうちのひとつ,ロイヤルロッホナガー1994,14年熟成。
自分が飲んだこのシリーズの中でも特に美味しいと思ったもので,しかもボトリング後さらに良くなる印象もあったので数本購入して寝かしてありました。
およそ5年が経過し,そろそろ飲みたい気持ちが抑えられなくなってきたので開けてしまいました。
前回ショットで飲んだ時は複雑さを細かく拾う余裕まではありませんでしたし,今回さらに複雑になっているようでしたので,非常に楽しく深くテイスティングできました。

こういう高次元バランスタイプは,自分の特に好きなタイプのひとつの典型ですし,このボトルは以前に80年代サマローリの記事にも書いたように,ボディなど大切なものを失わないうちにボトリングされたにもかかわらず熟成感もあるという,稀有なモルトだと思います。
しかもシングルカスクでこの高次元バランスですから,さすがはマネージャーズチョイスというべき,近年蒸留の素晴らしいモルトのひとつです。

ウイスキーの未来を感じながら,こういうものをじっくりテイスティングできるのは幸せですね。

 

#ロイヤルロッホナガ― (ROYAL LOCHNAGAR)

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