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進む新蒸溜所建設(2)-ウルフバーン、アナンデール、ハリスなど・・・操業開始や建設予定の話題

スコットランドで進行中の新蒸溜所建設。
すでに建設が始まり、操業開始が待たれている蒸溜所もありますが、前回のウルフバーンに引き続き、年内の操業開始が見込まれているアナンデール蒸溜所とハリス蒸溜所についてまとめてみました。

さらに、復活・再稼働が話題になっている蒸溜所や、いくつかの新しい蒸溜所建設計画も少しだけ触れています。

アナンデール蒸留所

動く動くと言われていて、なかなか動きを見せなかったアナンデール蒸留所ですが、ようやく今年の夏頃に蒸溜を開始する予定だそうです。一昨年あたりから2013年には稼動するのではないかと言われていましたので、計画は無事に進んでいたようですね。

アナンデール蒸溜所は、1830年に農夫のジョージ・ドナルドが設立されたとされ、幾度かオーナーが変わりながら、1883年には閉鎖されてしまいます。しかし、1887年にジョン・S・ガードナー&サン社によって再建され、1893年にはジョン・ウォーカー&サンズの所有となり、当時のジョニー・ウォーカーの原酒の1つとなりました。

その後、第一次世界大戦後の不況の煽りを受け、1924年に閉鎖。以降2007年に至るまで長く農地として使用され、復活することなく失われた蒸溜所の1つとなってしまいました。

新しいアナンデール蒸溜所は、ローランドのダンフリーズに建設されています。ここは、かのロバート・バーンズが晩年の6年間を過ごした地でもあります。

マッシュタンは2.5t、ウォッシュバックは木製で4基。スティルは初溜・再溜ともに1基ずつ。年間25万リットルの生産を目標に掲げているとのことです。

オーナーのデイヴィッド・トムソン氏によると、作られるウイスキーは、スモーキーかつフェノリックなものになり、ピート/ノンピートの2種類の生産を予定しているようです。

Annandale Distillery

アイル・オブ・ハリス蒸溜所

2011年に建設計画が発表されながら、その後しばらく情報が無かったアイル・オブ・ハリス蒸溜所。どうやら順調に計画は進んでいたようで、当初の予定では2012年着工、2015年頃操業開始とのことでしたが、予定より早く年内に操業開始になりそうです。

蒸溜所が建設されるハリス島は、スカイ島の北方に位置するアウターへブリティーズ諸島の中にあります。実は昨年話題になったアビン・ジャラク蒸溜所のあるルイス島とは地続きになっていて、島の北側をルイス島、南側をハリス島と呼ぶそうです。ちょっとややこしいですね。

創業メンバーは、アメリカ国籍の実業家アンダーソン・ベイクウェル氏がチェアマンとして、元ディアジオでグレンモーレンジやアードベッグ・ルネッサンスの販売に携わったサイモン・アーランガー氏、元ホワイト&マッカイのロン・マッケイクラン氏ら5人。

他にもアドバイザーとして現グレングラッサのマネージャーのスチュアート・ニッカーソン氏ら3人も、計画に携わっているとのこと。

既に昨年にはスコットランド政府からの補助金も受けていて、年間20~30万本程度を生産し、主にアメリカと日本向けに販売していくようです。

Isle of Harris distillery project from Simon Erlanger on Vimeo.

Isle of Harris Distillery(現在はトップページのみ)

その他、計画中の新蒸溜所

アナンデールに続け、ということでしょうか。
ローランドでの新蒸溜所建設の計画が多いですね。

・キングスバーンズ

ボトラーズで知られるウィームスによって、ゴルフの聖地セント・アンドリュースに近いファイフ東部Neukに建設され、スコットランド政府の助成金を受け、2014年には生産開始が予定されています。

6基のウォッシュバックと2基のスティルで、当初は年間15万リットル、将来的には50万リットルの生産を目標とし、EX-バーボン樽によって熟成されるとのことです。

Kingsbarns Distillery

・ローズバンク

あの銘酒が復活か!?と心躍りますが、今のところまだ計画中。アラン・ブルワリーが施設の一部を所有していて、地ビール醸造所やマイクロ蒸溜所建設を計画しています。

しかしディアジオの商標権・販売権が2017年まであり、仮に再開となったとしても、販売は2017年以降ということになりますし、ローズバンク復活ではなく新蒸溜所ということになりますね。

そもそも、ディアジオは新蒸溜所建設計画や、いくつかの所有蒸溜所の規模拡大を発表しているので、ローズバンク"復活"が有り得るとするなら、ディアジオの方がより現実味がある気がします。

・ローランド、ファイフのホワイトヒル工業団地内

ファイフ空港に近いグレンロセスのホワイトヒル工業団地内に、インド市場向けを中心とした、新たな蒸溜所建設計画があるようです。

グレンロセスと聞いて、てっきりスペイサイドのグレンロセス蒸溜所かと思ってしまいましたが、ファイフにも同じグレンロセスという地名があるそうです。

すでに地域議会の承認は得られ、計画通りに進めば年内後半には建設が始まるらしいです。

・インペリアル

1998年に閉鎖されていますが、2005年にペルノ・リカールが買収しているのは、既にご存知の方も多いかと思います。

昨年10月には新蒸溜所の建設計画があると発表されています。

・Ardnamurchan

アデルフィによって建設される新蒸溜所。アードマークン、アードマッカン・・・でしょうか。これもかねてから何度か話題になりましたが、既に昨年には正式な認可も受け、年内末頃の操業開始を計画中のようです。

ご存知のように、アデルフィ社は元々19世紀にあったアデルフィ蒸溜所の創始家グレイ一族が1995年に設立したボトラー。

現経営陣はグレイ一族ではないですが、もし順調に操業開始されたなら、多少の形は違えど、一族の悲願が叶うことになるのかもしれませんね。

Adelphi Distillery

【参照元】

【画像】
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#アナンデール #ハリス #ローランド #アイランズ #アデルフィ

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