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富士御殿場1997 No.769


蒸溜所限定販売の10年物のシングルカスク。

今年は「前期」「後期」の2樽がリリースされたが、これらのモルトは
10年前に行われたイベント「ウイスキーカレッジ」参加者のためのボトリングで、
参加者への配布後、残った数十本を蒸溜所内のショップで発売した物。
なお、こちらは「後期」。

今年からは「NEWS」の500mlボトル(3,500円)ではなく、
新しく640mlのスクエアボトルとなったが、実質の単価は変更無く、
手頃な価格(4,480円)で販売されている。

オフィシャルコメント
●樽No.M000769
・全体:雑味が少なくフローラルで華やかな香りと、なめらかで柔らかい中にも
    スモーキーなピート香由来のしっかりとした味わいも感じられる
    シングルバレルウイスキー
・香り:白い花の芳香と桃様の香りに乾いたオークのウッディな香り、
    スモーキーなピート香が調和し、
    アクセントにハーブ様のスパイシーさも感じられる。
・味 :甘味を感じるなめらかさを感じつつも
    ピート香由来のしっかりとしたボディと余韻が感じられる。

香り
力強くレモンの酸味が目にしみる程、フレッシュなピート香。
オレンジワックス、てんとう虫、ニシンの南蛮。
軽くラベンダーのハーブとナフタリンがスッキリ感を出している。
枯れ気味のオークがアクセントになっているのが良い。
時間が経つと、酸味を保ちつつも御殿場らしいエステルに
ナッツやカカオのコクが乗って、香り立ってくる。

味わい
味わいにもピート香を持ち続けたまま、濃厚な桃のコンポートタルトに、
白ブドウや米粉の甘味を、重くしっかりと感じられる。
やがて炭も出てくるが、桃もしっかり主張し、互いに譲らなくなる。
いずれもアルコール度数47%とは思えない力強さを持った濃厚な味わい。
舌触りもトロミがあってフルボディの好印象。

加水後の味わい
香りに一瞬、注射前の消毒を思い浮かべるが、
すぐに白ブドウの甘酸っぱい香りに変わる。
味わいはフルーツや甘味が引いてビターになり、辛みが出てくる。
しかしピート感と麦がある。

後味
ピート感もあるが、桃のフローラルに加え、若いバナナの甘味もしっかりと長く残る。
やがてハチミツトースト様になり、それも長く続く。
さらに余韻にずっと付き合えば杏仁の個性的な香りに出会える。

総評
今回の樽は濃厚で味わい深く、良い。本当に良い。
一昨年のリリース(ボトリング)6本に比べ、格段に当りだと思う。
この蒸溜所がSMWSに認定されてボトリングされる事があるとするならば、
コレだろう!と思う程に上質なモルトだと思う。

以前、「コレは!」と感動した「M000516」は
御殿場らしさとは少し方向が違う美味さだったが、
今回のボトルは御殿場らしさが前面に出ていて美味い。素晴らしい。

今まで僕が飲んできた富士御殿場10年シングルカスクの度数では46度以下だったのに対し、
1度高い47度という事にも何らかの意味があるのかもしれないが、
単にそれだけとは思えない良さがある。

#富士御殿場

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