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キースからダフタウンへ

2012.05.04

 この日は3泊したキースの町を離れ、遂にダフタウンへ。


(すっかり慣れたスコティッシュブレックファースト)

 ここの宿のご夫妻はとても感じのいい方々だった。私が蒸留所巡りの旅に来たと言ったら、あれやこれや教えてくれたし、ご主人が持っていたモルトウイスキーコンパニオンを読ませてくれたりした。
 「朝ご飯はいいが、他はどうしてるんだ?スーパーでスナックでも買ってるのか?」と聞かれたので「スーパーかテイクアウェイ。あとはパブ!飲んでる!」と返答すると「ははっ。じゃあ帰る頃にはこんな腹になってるな」とジェスチャーでお腹を膨らまして笑ったりした。
 
 チェックアウトを済ませ、ダフタウン行きの列車が出るまでしばらく時間があったので、キースの町をふらふら。


(いい天気)

 ふらふらしていると、なにやら後ろの車にクラクションを鳴らされる。
 車にクラクションを鳴らされる、というと、日本だと何かネガティブなマイナスのイメージがあるが、スコットランドだとそんなことは無い。というのも、軽くクラクションを鳴らすのは挨拶代わりに頻繁に行われる行為で、知り合いでも見かけたらパァッ!とならして軽く手を挙げて、なんていうのは日常の風景なのである。危ないような気もするが、慣れればそんなこともないのかな。。
 と、慣れないうちは、クラクションが鳴る度に、何事かとそちらを確認したものだが、その慣習にもだいぶ馴染んできた頃。とはいえ、一人旅の私。誰か顔見知りがいるわけでもないので、例えクラクションが鳴っても、私に挨拶をする人などいるわけもなく、周りの誰かに対してやっているのを見て、そんな風景があることも知ったのだが、この時、後ろから鳴らされたクラクションに反応して振り返ってみると、車に乗っていたのは、先日訪れたクーパレッジで作業していた若い職人さん。
 振り返った私に手を振ってくれて、たったそれだけのことだったのだけれど、なんだかとても嬉しかった。
 キースで出会った人はみんないい人だった。宿のご夫妻しかり、クーパレッジの職人さんも、ノックドゥーのおっちゃんも、パブで隣り合わせたおっちゃんたちも、みんな。

 そんなこんなで、そろそろ時間になったので駅に向かいます。
 ここからの移動は、キースとダフタウンを結ぶ、その名も「キース・ダフタウン鉄道」という観光路線。
 繁忙期の土日しか走らないような、まったくの観光鉄道で、宿のおっちゃん曰く「あれに乗って行くくらいなら、走って行った方が速いぞ」というほど、のんびりした路線です。


(鉄道駅の入り口に張られた垂れ幕。運行のある日だけ張られる)

 鉄道駅に着くと、ちょうどツアーバスのようなものから降りてきたおじいちゃん、おばあちゃんで小さな駅はぎゅうぎゅうに混み合っている。なんとか小さな駅舎で切符を購入し、列車を待ちます。


(路線沿線の地図。所々の見所が載っている)


(蒸留所もピックアップされていた。なかにはTOWIEMORE(タウィーモア?)という1930年に閉鎖した古い蒸留所の名前も)

 地図を眺めたりして列車を待ち、時刻を少し過ぎた頃、2両編成の小さな列車が到着です。

 おじいちゃんおばあちゃんが、わらわらと片方の車両に乗り込んで行ったので、私はそれを待ってから空いている方の車両へ。どうやら座席の向きが違うらしく、人気だったのは進行方向を向いて座席が並んでいる車両。私は進行方向と逆を向いて並んでいる車両に座りましたが、まぁこの際どっちでもいいだろう。

 ほどなく列車は出発し、しばらくした後、乗客におまけが配られる。


(ウイスキーとウイスキーケーキ。ウイスキーは確かバルヴェニーだったかな?)

 前の記事で話題にもしましたが、ただいまこの地域では「スピリット・オブ・スペイサイド」というウイスキーフェスの真っ最中。
 このキース・ダフタウン鉄道の切符にも、フェス特典でこちらのサービスがおまけでつくのである。


(キルトスカートを履いたおっちゃんがみんなにウイスキーを配ってくれた)


(ちなみに前向きの車両はこんな感じ。お客さんでみつちり)

 さて、これからはゆっくり40分ほどの世界の車窓からである。窓の外を流れる風景を眺めながら、おまけのウイスキーをちびちびやります。


(出発直後にはストラスミル蒸留所の様子も窺えた)

 アイラ側に沿って、野生動物もたくさんいそうな渓谷風景が流れて行く。それはそれでとても見応えがあったのだが、やはり私にとって一番の眺めは、ダフタウンももうすぐ、というところで現れたこちらの風景。


(蒸留所だ!)


(前述の地図と照らし合わせて見ると、おそらくはパークモア蒸留所)

 いやぁ。テンションあがって写真パシャパシャ撮りましたよ。

 とそんなこんなを終えた頃に列車は到着。遂にスペイサイドの中心地。"The Malt Whisky Capital" ダフタウンに到着です!


(こんな列車でした。しっかりと「スピリット・オブ・スペイサイド」をPRしている)

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