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いざ、アウターヘブリディーズへ

2012.05.16

 ドラムチョークロッジホテルで迎えた朝。
 このホテルに到着したときは、ホテルを発つ日のスケジュールがイマイチ判然せずに、不安な面持ちをしていたのですが、そこはフランシスやジョンの協力によって解消されている。呑気に朝ご飯をいただきます。
 もういいかげんスコティッシュ・ブレックファーストには飽きていたので、こちらもスコットランドの朝の顔として有名なキッパーをオーダーしてみる。
 以前にも説明しましたが、キッパーとはニシンを始めとする魚をスモークして焼いたもの。ようはスモークド焼き魚です。以前に食べたものもそこそこおいしかったので、今回も期待していると、出てきたキッパーは想像以上でした。


(どーん。左上に写っているバターを塗って食べる)


(食べかけで失礼いたしますが、裏返すとこんな感じ。魚そのまま)

 これがまた絶妙な塩加減で、適度に美味。もう一回食べたいか?と聞かれたら、まぁちょっと食べたいかもってくらい美味。そんなに特別おいしいわけではないが決してまずくはないレベルに美味。
 そんなキッパーをナイフとフォークで悪戦苦闘しながら食べていると、フランシスから「ユー・マスト・ハリー!」と声をかけられてしまう。おかげで食べたかったヨーグルトを食べる暇がなかった。くやしい。
 慌てて食べ終えて、部屋に戻って荷物をとって降りてくると、すでにジョンは4WDの中でスタンバイしており、フランシスとチェックアウトを済ませると、私を乗せてバス停まで送ってくれる。

 バス停に到着すると、そこにやってきたのは、ここまで来たときと同じ運転手さん。ジョンが私の行き先などを口頭で説明してくれ、私はいそいそと乗り込むだけ。
 バスに乗り、窓から4WDの方を見遣ると、早くも車内に乗り込んだお二人が窓から私に向かって手を振ってくれた。フランシスは最後まで高圧的というか、おっかさん気質の態度だったのだが、この時は笑顔で手を振ってくれて、なんだかとても嬉しかった。

 さて、これから私が向かうはアラプールという海沿いの街。そこからフェリーに乗ってついにアウターヘブリディーズ諸島は最大の島、ルイス島に上陸する予定です。

 ドラムチョークロッジホテルからはまずブラエモアという所まで行き、そこで違うバスに乗り換え、そこからアラプールへ向かいます。
 当初、フランシスが「アラプール行きのバスは木曜だけよ?」と言って私を不安顔にさせた原因はここにあって、木曜だったら多分アラプールへの直通バスがあるのでしょう。この日は一回乗り換えを挟んで行くことになりましたが、そんな乗り換えももう慣れたもの。朝8:20にドラムチョークロッジホテルのあるオールトベアのバス停を出発すると、一時間後にはアラプールのフェリー乗り場に無事到着することができました。

 さて、このフェリー乗り場では無事にフェリーのチケットが買えるかどうかというのが心配です。
 フェリー自体は以前オークニーに渡った時にも乗ったのですが、そのルートとこれからのルートではフェリー会社が異なるのです。
 オークニーへ渡るフェリーはノースリンク・フェリーズ(http://www.northlinkferries.co.uk/)
 そして、これからのアイランドホッピングに使うフェリーはカレドニアン・マクブライン(http://www.calmac.co.uk/)のものなのです。
 前者は事前に予約ができたので、当日の乗船時は、その予約表を見せれば簡単だったわけなんですが、なぜか後者のフェリー会社は予約ができない。
 調べた所、車やなんかで乗り込む場合は予約が必要だが自分一人だけの「フット・パッセンジャー」の場合は予約は不要とのこと。
 
 さらに不安を煽る点がもう一つあって、それはチケットの種類が豊富にあるということ。
 一度カレドニアンのHPを見ていただくと分かりやすいが、こちらのフェリー会社はたくさんの航路を就航している。あるルートを単独で買うことももちろん可能なのだが、一定期間内に利用するのであれば、複数のルートのチケットがセットになった「ホップスコッチ」というお得パックがあり、私のようなバックパッカーには断然そのホップスコッチの方がお得なのである。
 数あるホップスコッチの中から、自分が行く島を余すことなく網羅できるようなセットになっているものを探し出して購入しなくては行けない。

 果たして大丈夫だろうか…。不安な面持ちでフェリーターミナルの受付に行き、メモしておいた自分が欲しいホップスコッチの番号を見せて、無事購入は完了。


(これがホップスコッチのチケット。ルートによって2枚綴りだったり3枚綴りだったりする。期限は一月だったかな?ちなみに私が購入したのは13、16、21の三種類)

 そうなるとあとはそのチケットをチェックインの時に見せてそのまま乗船すればいいだけで、言うは難し行うは易し、とはこのこと。2時間半の船旅のスタートです。

 フェリー内ではあまりはしゃぐこともなく、ぐるーっと一周したあとは早々に居場所を確保してすやすやと仮眠。ほぼ定刻通りにフェリーは進み、あっという間にアウターヘブリディーズに到着です!


(きたぞアウターヘブリディーズ!)

 思っていたよりずっと大きな都市でとても賑わっている。ついにこんな所まで来てしまったという興奮の中、まずはインフォメーションセンターと予約していたホステルの場所を確認します。


(こちらが移動に使ったフェリー、マクブライン号)


(漁業の街なのか、それっぽい像もあった)


(書き直し過ぎてもう全然読めなくなってしまった黒板。かろうじて「KIPPER」や「SALMON」の文字は確認できる)

 そして、街をぶらぶらする上で最も私のテンションをあげたのがこちら。


(どん!)

 お分かり頂けるでしょうか?こちらの看板。下に小さめの文字で「FRANCIS STREET」と書いてあるのは英語。じゃあ、上に大きく書いてあるのは?もう、お分かりですよね。そうゲール語です!
 古いケルト族の時代の言葉と言われるゲール語は、昔はスコットランド全土でも使用されていたようですが、すっかり廃れてしまって、今ではごくわずかの人が使うのみ。ここアウターヘブリディーズ諸島は、そんな廃れかけているゲール語が未だに根強く残っている土地なのです!


(道路の案内標識だって)


(テスコ(スーパーマーケット)の看板だってゲール語表記が上にあります)

 うわーい楽しい楽しい♪というようなテンションでふらふらと一軒のパブへ。

 久しぶりにギネスを一杯ちびちびやっていると、隣の席に座っていた初老の男性から声をかけられ軽くおしゃべり。
 ジョンという名のこの男性は、生まれも育ちもここルイス島のストーノウェー。もちろんゲール語も喋れるというので、ハローとサンキューくらいは言えるようになろう、とゲール語を教えてもらったのだが、教えてもらった次の瞬間にはもう忘れてしまっていた。ホントにもったいないことをした。
 こちらのパブで食事も済ませようとしていたのだが、残念ながら食事は取り扱ってないとのこと。せっかくだからジョンに「どこか、なにか食べれる所でオススメのとこない?」と訊ねてみると、お店の人や他のお客さんも総動員で「あそこのカレーはうまい」とか「あのタイ料理屋はイケてる」とか教えてくれ、テーブルの上はあっという間に各種テイクアウェイ店などのメニューで埋まる。嬉しい限りなのだが、せっかくここまで来てカレーやタイ料理もあるまい。「なにかシーフードが食べたいんだ」と言うと「フィッシュ&チップスならこの店かこの店が間違いないぞ」と二つくらいの店を教えてくれる。
 お礼を言って席を立つと、ジョンは「明日もこの店にいるからな。また来いよ」と言ってくれ、とても嬉しかった。ちなみに翌日行った時には、時間が合わなかったのか彼と会うことはできなかった。残念。

 一件目のパブを出て、ジョンが教えてくれたホテルのパブへ。
 こちらもおっちゃんたちでそこそこ賑わっていて、私が入ると「なにやら珍しいのがやってきた」というようにやいのやいの話しかけてきて、挙句「一緒に写真撮ろうぜ」ってノリノリのおっちゃんと写真撮ったりした。


(ある程度盛り上がったら私は放っておかれ、おっちゃんたちはまた自分たちだけで盛り上がっていた)


(こちらがジョンお墨付きのフィッシュ&チップス。こっちのフィッシュ&チップスはおいしい所のは本当においしい!)

 お腹もふくれほろ酔いになった所で、この日はホステルへ。フェリー乗り場からもすぐの所にあってとてもきれいでフレンドリーなホステル。
 アウターヘブリディーズはルイス島まで来たということで、明日はあの蒸留所まで行ってきます。

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