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さらばスコットランド。いざアイルランドへ。

2012.06.12

 ブラドノック蒸留所でのツアーを終え、これでスコットランド一周、蒸留所巡りの旅も全行程を終えたことになります。
 寂しいなぁ、思えば遠くへ来たもんだなぁ、と感慨に浸る余裕も無く、蒸留所を出ると、今度はアイルランドへ向かうべく、まずはフェリー乗り場のあるストランラーを目指します。

 ヘブリディーズ界隈の島々をアイランドホッピングした経験から、もうフェリーの利用にもすっかり慣れたものでしたが、今回はそれとは少し事情が違います。なぜなら、今回の船は国境を越えるのだから!
 同じUK内ではありますが、長く親しんだスコットランドから北アイルランドへと国境を跨ぐことになるのです。
 とは言え、思い返せばイングランドからスコットランドへと移動した深夜バスの車内。。国境を越える際にはなにかあるのかな、とわくわくしていたのですが、別段「いまスコットランドへ入国しました!」的な盛り上がりは一切無かったな。。むしろ深夜バスだし、寝てたな。。
 そんな事情があるので、スコットランド→北アイルランドの国境越えくらいは、今度こそちょっと感慨に浸ろうと考えつつ、ストランラーに到着します。

 この時点で、まだフェリーのチケットを取っていなかった私。果たして、国境越えのフェリーチケットは、予約無しでもとれるのだろうか。。という不安が拭いきれなかったので、フェリー乗り場に向かう前にストランラーのツーリストインフォメーションで確認をとることにします。
 「ハーイ。ベルファストまでのフェリーに乗りたいんだけどー」とインフォメーションのおねーちゃんに訊くと「おっけー。いつの?」「ん?今日、今日」「今日?時間は?」「時間?タイムテーブルってある?」と、トントン拍子に話は進み、あっという間にフェリーの予約までしてくれた。ホントに、困ったときのインフォメーションセンターである。この旅では、何度もインフォメーションセンターの方にお世話になった。大事なことなので何度でも言います。とにかく困ったらインフォメーションセンターに行けばなんとかなりますから。

 港町であるストランラーではございますが、ベルファスト行きのフェリー乗り場は、町からバスで10分ほど北へ向かった、ケイルンライアンという場所にあります。
 最初は、ストランラーの町をふらついて、港町ならば美味しいシーフードのひとつでもあるだろう、と探索がてら食事でも済まそうかと考えていたのですが、どうにも時間が中途半端。もう、さっさとフェリー乗り場へ移動し、そっちでゆっくりしよう、とバスに乗り込みます。

 無事、チェックインの時間まで大きくゆとりをもってフェリーターミナルに到着することが出来たので、椅子に腰掛けて来るべきアイルランドへの期待を膨らませつつ、出航の時を待ちます。

 インフォメーションセンターで貰ったチケットの控えには「出航30分前までにはチェックイン済ませてね!」と書いてあるものの、何分前からチェックイン可能かは記載が無く、ちらちら窓口のほうに目をやって見るも、あまり受付をしているようには見えないので、少しロビーでのんびりとしよう、とパソコンで写真の整理などをすると、ぼちぼちいい時間。受付のおばちゃんは未だにのんびりした様子でしたが、とりあえず声をかけておこう、と「チェックインプリーズ!」とチケットを見せます。
 はいはい、いう感じでチケットを受け取ったおばちゃんですが、そのチケットを一目見るなり、私に向かって何か言っている。
 ん?なんぞ?と思い聞き返すと、要は「このチケットはこの乗り場からじゃないよ」ということを言っている様子。
 どゆこと?思い、詳しく訊いてみたところ、驚愕の事実が発覚したのです。

 私がいたケイルンライアンという港からは、目的のベルファストへと向かう航路の他に、同じく北アイルランドのラーンという場所へ向かう航路もあり、それぞれ、ベルファスト行きはステナラインというフェリー会社が、ラーン行きはP&Oフェリーズという会社が運行しているのですが、私がいたフェリー乗り場は後者のP&Oフェリーズのものだったのです。

 じゃあ、ステナラインの乗り場はどこなの??と訊ねると、おばちゃんは指を建物の外へ指して「そこの道路をずーっとまっすぐだよ。もう急がないと間に合わないよ」と急かします。
 なんてこった。思いながらも、おばちゃんにお礼を言い、すかさず指差された方角へ走り出すと同時に、地図を眺めて現在地と目指すフェリー乗り場の位置関係を確認します。

 ……遠っ!
 いやいや。こりゃ、のんびり歩いてたら、出航30分前のチェックインの時間はおろか、出航の時間にさえ間に合わない可能性さえあるじゃないか!ていうか、グーグルマップ先生では、どちらの航路もP&Oの方から出てるじゃないか!騙された!ガッデム!

 距離にしておよそ2マイルはあろうか。
 いままで散々蒸留所を求めて歩き倒してきた経験からすると、1マイルはおよそ20分程度。となると、普通にあるくと40分はかかるってことか!そいつはマズい!ってんで、大きな荷物を背負いながら、駆け足でステナラインのフェリー乗り場を目指します。
 
 途中、後ろから車が来たら乗せてもらおう、など画策するも、その策も不発に終わり、かなり本気で走ることに。

 その甲斐あってか、無事チェックインの時間には間に合うことが出来ました。
 息をきらせて到着したフェリー乗り場は、先ほどまで時間を潰していたフェリー乗り場よりもずっと大規模で、予約無しじゃ乗せてくれなそうな雰囲気がびしばし漂っていた。チェックインの際には手荷物検査までされたし。

 それでも、なんとか乗り込み、場所を確保すると今度はデッキに上がります。

 長く旅行していたスコットランドを、最後までばたばたと慌ただしく離れることになってしまい、せめてデッキからだけでも別れを告げておこう、と考えたのです。

(ありがとう!スコットランド!また来るね!)

(やたら立派な船内)

 こうして、2ヶ月強に及ぶスコットランドの旅はフィナーレを迎えたのでした。
 ホントに2ヶ月、嫌な思いしたことなんて一つもなかったんじゃないかって言うくらい、スコットランドの人々は温かかった。
 船内では向かうべきアイルランドのことも下調べをしよう、と思ったのですが、もとより蒸留所巡りがメインの旅。
 アイルランドへ渡ってからのことは殆ど考えておらず、まー、宿についてから考えるとすっぺーと、しばし、スコットランドへの想いに浸るのでした。

(なぜか船内で撮っていたチョコチップクッキー。貧乏旅行者の身である私にとって、こういう食べ応えがあって甘いお菓子は必需だった。スーパーでよく「buy 1, get 1」と売られており、常に二本一緒に買っては、バックパックやポケットなどの空いたスペースに常備していた。なんてことはないチョコチップクッキーなんですが、おいしかったなぁ。。食べたいなぁ。。)

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