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オーバン、市内観光→クラカンヘ

2012.05.24

 前回の記事でも書いたように、オーバンの町は南北に伸びるメインストリートを中心とした賑やかな町。とりわけ見るべき観光スポットがあるわけではないが、島々へ渡るためのフェリーや漁業関係の船が絶え間なく発着しており、港町として栄えている町です。


(オーバンの街並)

 トバモリーなんかもそうでしたが、オーバンの町も海岸線から離れるに従って高台になっていて、これがまた急勾配。蒸留所の脇の道を内陸の方へ進むと、そこは「ジェイコブズ・ラダー」といわれる急な坂道で、そこをうんせほいせ言いながら登りきると、町を見下ろす円形建造物、マッケイグズ・タワーに至ります。


(ちょうどオーバン蒸留所の真裏に位置している。煙突越しに湾が見渡せる)


(緑の芝生が映えるマッケイグズ・タワー)

 このマッケイグズ・タワー。もともとは土地の名士であるマッケイグさんが失業者雇用の一環として建設を始めたものらしいのですが、特になにがあるわけでもない。当初はアートギャラリーにする予定だったとのことなのですが、その計画も頓挫したのか、いまは、ぐるりと取り囲む円形の壁だけが残っております。町を見下ろすビューポイントとしては申し分ないのですが、市内観光の目玉が、この特に何もない半端な遺跡まがいのものじゃああまりに寂しい。再び急勾配の道を下ってメインストリートに戻ってくると、今度は北の町外れに向かいます。

 町の中心から30分ほど歩くと、今度は正真正銘の城跡、ダーノリー城が見えてまいります。


(まるでロボット兵でも出てきそうな、きれいな蔦絡まる古城)


(すぐ傍らにはケルト十字も建っていた)


(こちらも湾を望む高台に建っており、周りの島々まで見渡せた)

 これがとても気持ちの良い場所で、しばらく何もせずにぼけーっと芝生に寝転んだりしていた。朝一でウイスキーを飲み、その後はふらふらと散歩をして、緑の中で横になる。なんたる放蕩っぷりか。贅沢な時間をたっぷり楽しんだ後は、さらに贅沢な時間を過ごすために街中へ戻っていきます。何度もいうように、こちらは港町。そして港町最大の魅力はなんと言っても新鮮な魚介類。そうつまり食事の時間です。
 
(なんともナイスなジャパニーズレストランもあったのだが、それはぐっとこらえて新鮮な魚介類を目指します)

 まず最初に向かったのは、フェリー乗り場を降りてすぐの所にあったシーフード・スタンド。


(新鮮な魚介を調理したものを取り扱うお店)

 人気のお店のようで、店の前には行列ができており、周りのテーブルも殆ど埋まっているような状態。エビをどうにかしたやつだとか、サーモンをどうにかしたやつだとかで目移りしてしまいそうなラインナップだったのだが、ここではカニのサンドイッチをチョイス。これがもう、声をあげるほど美味しかった。周りの活気に押されゆっくり居座ることも出来なかったのですが、いまにして思えばもういっぺん列に並んでおかわりしてもよかったなー。
 と、軽く感動を味わった後はパブへ。パブでだってシーフードを食べますよ。


(スモークサーモンとツナのディップ)


(ムール貝もどどーんと)

 この町では、前回マッカラン蒸留所のツアーで知り合った日本人女性の方と偶然の再会。彼女も「フェスの期間はアイラに行く」と言っていたので「じゃあ今度はアイラで」と言って別れたのだが、アイラを待たずしてたまたまの再会となった。おかげでシーフードも堪能できたし、2軒3件とパブをはしごもできた。

 久しぶりの日本語での会話に酒も進み、気付くとあたりはもう真っ暗。オーバンの町が暮れていきます。


(暮れ行く港町、オーバン。美しかった)

 飲み過ぎた酒の影響もあってか、この夜景はとても印象深かった。一人旅もいいものだが、なにかいい場面に出会ってもそれを共有する相手がいないので寂しい思いをすることもあった。それが感動的な場面であればなおさらである。たまにこうして連れ合いが出来ると、その場の感覚を即時的に共有できるのがとても良く、一人でいるときとはまた違った楽しみ方ができるのが、とても嬉しかった。結局、彼女とは宿が違ったので「じゃあ今度は2日後に。アイラで」と言って別れます。


(ホステルにいた犬がかわいかったので。安い割にいいホステルだった)

 さて、翌日はバスでクラカンという場所を目指します。

 一度インヴァレリーという町で乗り換えて、翌日アイラ島へ渡るのに都合のいい場所を探した結果、このクラカンという町を見つけ出しました。乗り換えの時間を含めてバスで3時間以上のちょっとした移動です。


(バス待ちの間に「そういえばまだ食べてない!」とオーバンのフィッシュ&チップスも。美味しかったけど、カニサンドの方が感動的だったな)


(インヴァレリーは大きなファイン湖の湖畔にある小さな町。30分の乗り換えの間に駆け足で町をまわってみたけど、美しい街並だった)

 私が宿をとったクラカンという町は、本当になにもない町。静かな町にはぽつぽつと数えるほどしか民家はなく、一軒のパブさえ見つかられなかった。翌日のことを考えて、アイラに渡るフェリー乗り場の近くの宿を探したのだが、やはりフェスの前日とあってか、宿はどこも満室。ちょっと離れた町であるターバートならあるかもしれん、とそっちもあたってみたのだが、軒並み満室で、たまに空いている所を見つけても私には少し贅沢が過ぎるような値段のホテルだったりで困る。しかし、それでも宿があるだけマシか、それすら次の瞬間には埋まってしまうやも知れん、と宿探しに奔走していた時に、辿り着いたのが、このクラカンという町のB&Bなのでした。

 バスを降りて、歩いて5分ほど。目的のB&Bはすぐに見つかったのでノックして中に入ると、こちらのご夫妻はとても歓待してくれた。「どうやってこの宿のことを知ったんだい?」とご主人も驚いていたが、それほどに小さな町なのである。


(着くなり立派なウェルカム・ティーってやつをサーブしてくれた。いくつかB&Bには泊まっているが、こんなこと初めて)

 お茶をいただきながらご夫妻とおしゃべり。なんでも息子さんは日本で英語教師をしていたことがあるとかで「ちょっと待ってなさい」というと、いまはアバディーンに住んでいるという息子さんにわざわざ電話をかけて私を紹介してくれた。
 私も戸惑いつつも電話を受け取り「ハロー?」とやると、相手の方から「コンニチワ」と。カタコトの日本語だったけど、私の英語よりはマシってなもんで日本語で会話。とても楽しいひとときだった。
 おしゃべりを楽しんだ後に部屋に案内してもらうと、どうやらそこはかつて息子さんの部屋だった様子。息子さんは日本で英語教師として働いていただけでなく、柔道の有段者でもあるらしく、壁には日本語で書かれた賞状も飾られていた。

 とても居心地のいいB&Bにあたってすっかり笑顔。さらに明日からは念願のアイラフェス!!気分が高まりも最高潮です!

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