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秩父蒸留所ニューポット&2Years(2008-2010)

 
昨年、秩父蒸留所を見学させていただいた際にテイスティングさせていただいたノンピートとピーテッドの4つのサンプル。
そのうちのノンピートの2種類は、2010年蒸留のニューポットと、2011年7月で晴れて3年、スコッチでウィスキーと認められる2008年7月蒸留の約2年モノです。
 

 
 
日本の法律では、たとえ未熟成のニューポットでもウィスキーとして販売することは可能ですが、
それをよしとせず、これまで秩父蒸留所の原酒は(税制上ウィスキーになっていますが)ニューボーンと銘打ってリリースされていました。
そのこだわりが実を結ぶ瞬間、カスクか、加水かはわかりませんが、2011年についに秩父蒸留所の真の意味でのウィスキーがリリースされます。
 
果たしてそのポテンシャルはいかに・・・
まずは2010年蒸留のニューポットからテイスティングです。
 
 

秩父蒸留所
New Pot(ニューポット)
196~204
63.5% 


香り:少し刺すようなフレーバー、ニューポット質、ヨーグルト、ほのかに焦げたような香り。グラッパのようでもある。
 
味:クリーンでフレッシュ、ニューポット質だが甘酸っぱさ、グレープフルーツややや柑橘系を思わせるフレーバー、余韻は少し舌に残るイメージでスパイスも感じられる。
 
コメント:ニューポットだけに若さ全開ではあるが、その若さの中にも嫌味が少なく良いウィスキーになることを予想させる味わいがある。


 
 
香りはやはり鼻を刺すような印象を受けましたが、味のほうには驚かされました。
つい先日、エイジング研究会の樽詰め用にモートラックのニュースピリッツ(超短期間貯蔵)を購入し、テイスティングしたばかりでしたので、
その差、モートラックよりもしっかりとした味の構成がはっきりと感じ取れました。


写真:スピリッツセーフの中を流れる秩父蒸留所のニューポット

 
そして続いては、今後ボトリングする3年ものの選定に使っているという2年ものです。
 


 
秩父蒸留所
スピリッツ
度数不明(おそらく60%強)
 
Cask in: 2008/7
Cask out: 2010/7/28
Cask type: Bourbon barrel
Cask No: 124


 
香り:クリーンだが栗の渋皮、木の香り、奥から桃や柑橘系のような香りもある。少し刺すような印象もあるが、複雑さも見えてとても2年モノとは・・・
 
味:口当りから徐々に刺激、若さゆえの勢いがあるが、それ以上に2年とは思えない広がり、
桃やグレープフルーツ、少量の蜂蜜、フルーツは余韻にかけて徐々に感じられる。
 
コメント:本当に驚かされた一杯、これは日本のベンリアックだ。
 


 
いやもう、まさか2年もので多くを語れなくなるとは思わなかったのですが、今回の見学に参加されていた皆様をうならせたサンプルだったと思います。
これだけ書くと過剰な期待をあおってしまうようで恐縮ですが、2年ものでここまでのフレーバーが出ているというのは本当にすごいなと、素直に感動です。
今後リリースされる3年ものしかり、10年、20年という熟成期間でどう育っていくのか、非常に楽しみにさせてくれるサンプルでした。
 
 
昨日、羽生蒸留所に関連する一本を紹介させていただきましたが、
取り壊された羽生蒸留所を嘆く以上に、秩父蒸留所は非常に素晴らしい可能性を秘めていることが改めて感じられました。
2011年、秩父蒸留所が大きな一歩を踏み出していくことを、いちウィスキーファンとして期待せざるを得ません。
 
さしあたっては、秩父蒸留所のニューリリース販売の一報を心待ちにしたいと思います。

#秩父

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