ストイックなドリンカーの日々 ~Drinker's Diary~

ストイックなドリンカーの日々 ~Drinker's Diary~

モルトウイスキーをこよなく愛する男の日々のテイスティングや考えたことを掲載します。

2018.06.20【日記】

グレンモーレンジ オフィシャル ポートウッドフィニッシュ 90年代後半流通 46.5%

以前飲んだ時より明らかにオールド感を帯びており、いろいろ考えさせられました。

 

グレンモーレンジ GLENMORANGIE OB PORT WOOD FINISH 46.5%
90年代後半流通



香りには丸みがあり芳醇で強い。プルーン、ブドウの皮、黒糖、ビターチョコレート、奥にこなれたモルティ、淡くレザーや妖艶なニュアンスがある。
飲んでも芳醇で意外に飲みごたえあり。やや粘性のあるテクスチャー、ジャム系のコク深い甘味、淡いが古い家具のようなウッディネス、チョコレートやタンニンの心地良い渋味、少しレザーや腐葉土、妖艶さや陶酔感もある余韻。

【Very Good, Interesting】


90年代後半流通と思われるグレンモーレンジ,オフィシャルのポートウッドフィニッシュです。
ウッドフィニッシュのはしりともいうべきモーレンジですが、最初の頃のボトリングで、46.5%という特殊な度数です。

ボトリングからそれなりに時間が経っていることもあってか、香味は強いのですがこなれており、味付け感も気にならず自然な濃厚さです。
多彩な香味が経年変化とも合わさってハイレベルで一体感を帯びているという印象で、深い甘味と渋味のバランスも良く、淡いですがレザーや土っぽさまであって妖艶さと陶酔感がありました。


今回のモーレンジは恐らく80年代蒸留の原酒で、90年代後半のボトリングから20年程度が経過している加水のモルトですが、明らかに経年変化でこなれた感じがありました。そして、それだけでなく古い腐葉土やレザーなどによって深く複雑になっているような感じや、少し妖艶さを伴うような雰囲気など、以前なら80年代蒸留のボトルに感じるとは思えなかった良いオールドボトルのようなニュアンスが感じられたのが特に印象的で、これは10年くらい前に同ボトルを飲んだ時には全く感じなかったものでした。カスクフィニッシュ感もだんだん多種樽のヴァッティングに近づいているようでもあり、うっすらと、ボトリング後にモルトがオールドのような方向に変化していく過程をみているような感覚を味わうことができたのでした。

変化が進んでも、最終的に60年代以前の蒸留で伝説的に美味しいと感じるボトルと同様になるかどうかはわかりません。近年のものには全体としては加水と思えないような極端な濃厚さや良い意味での雑味、そして麦芽に由来しそうな芯の太さを感じにくいので、悪く考えると昔のボトルと比べたら香味の変化も少なく経年変化にボディがついてこれないようにも思えます。
とはいえ、今回のボトルをじっくり飲んで、少なくとも近い方向性の変化はしていくのだと実感できたのでした。

近年のものにも驚くほど美味しいものや太さを感じるものは存在しますし、蒸留所によっては良い雑味を残しているところもあります。経年変化後に往年の名ボトルに迫るような素晴らしいものが現れることにもまだまだ期待しながら、そして変化した後の各ボトルの姿を想像しながら、これからも飲み進めていきたいと思っています。
そのほうが楽しいですしね。

 
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2017.02.23【日記】

サマローリ氏のご逝去


イタリアのボトラー・サマローリ社を設立し、伝説的なボトルを数多く世に出してきたシルヴァーノ・サマローリ氏が先日お亡くなりになりました。

多くの熱烈なファンがいることでも知られていますが、私にとってもサマローリのボトルは特別でした。

改めて自分のブログ内検索でサマローリを調べてみると60本近い記事があり、感激したものには我ながら暑苦しいほど語ってますね。。

インタートレードやセスタンテ、ムーンインポートなどの往年のイタリアンボトラーズには色気のある素晴らしいボトルが多いのですが、そんな中でもサマローリのボトルには独特の存在感がありました。

特に80年代にボトリングされたものに顕著だと思うのですが、ボディと引き換えに出てくるような熟成感は望まず、酒としての厚みを十分に残したボトリングが多いと感じます。
そして、それにもかかわらず複雑さや妖艶さも持ち合わせているという、稀有なボトルがいくつもありました。

ボトリング後の経年変化でさらに魅力を増したのだろうと思われるものもあり、この時代にドリンカーでいられて本当に良かったとしみじみ思いながら飲んだことが今まで何度もありました。多くのボトルに忘れられないような思い出がいっぱいです。

各々のボトルに関して書き始めるときりがないくらいですが、話したいことは山ほどあるため、折を見てサマローリ愛好家で集まって故人を偲ぶ会を行いたいと思っています。

また、私も含め当時のボトリングに関する詳細などを知りたい熱烈なファンがたくさんいる一方で、ご自身は過去のリリースに関してわりと無頓着で、ボトルも手元に残しておらず記録も記憶も曖昧という、残念ですがどこか納得してしまうような一面も持ち合わせていらっしゃいました。

最近は、サマローリ社を離れて新会社「MASAM」を設立し、「NO AGE」と銘打ったボトルが日本にも入ってきたところでしたが、まさかそれが遺作になってしまうとは思いもしませんでした。

まだまだ素晴らしいリリースに期待していましたし、いつかお会いしたい偉人の最上位にいた方でしたので、非常に残念です。

急な訃報でしたので、家で飲むことのできたこのボトルで献杯しました。


グレングラント GLENGRANT 1969-1984 SAMAROLI 59%

やはり圧倒的な存在感のある美味しさでした。



今まで素晴らしい感動をありがとうございました。

どうか安らかにお休みください。


 
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2015.10.11【日記】

初心者向けの話(再掲載)と,評価の個人差に関して最近考えたこと

サケドリ運営の方々とは毎日連絡を取り合い,連日頑張ってくださっているのですが,状況は改善せず,現状のままでは何度やっても画像が全く貼り付けられない状態になってしまいました。
※原因はわかっていませんが,これから時間があるときに,別のブラウザを使って投稿するなどの方法で投稿を試みる予定です。

そしてさらに残念なことに,画像付きのストック記事もなくなってしまいました。
復旧するまでどうしましょう。

テイスティングノートはたくさん溜まっていますが,さすがにここで紹介するならボトル画像が一緒に欲しいところです。

そこで,1年以上前に掲載した,モルト初心者向けの記事を改めてご紹介します。

最近,また初心者にお勧めのウイスキーを教えて欲しいというご連絡をしばしばいただくようになりました。
その時はこのページをお勧めしています。

まだ読んでくださってない方がいらっしゃいましたら,結構一生懸命書いたものなのでぜひご覧ください。

・モルト初心者にオススメするウイスキー・前編
 (
http://www.sakedori.com/s/matsuki/blog/7010.html

・モルト初心者にオススメするウイスキー・後編
 (
http://www.sakedori.com/s/matsuki/blog/6943.html

※リンク先の過去記事内のリンクは,ウスケバからサケドリに移行した際に機能しなくなっていますのでご注意ください


そして過去記事の貼り付けだけというのも寂しいですから,これに加えて,最近ウイスキーについてちょっと考えたお話しとして,香味の認識に関する閾値の話を掲載しておきます。

※「閾値」というのはここでは「その値を超えるか超えないかで大きく異なる境界=ボーダーラインとなる値」と認識してください

普段,同じような嗜好のドリンカーだなと思っている仲間と一緒に飲んでいても,パフューミーやサルファリーや紙っぽさなど一般的には好ましくないと言われる要素に関して,許容範囲かどうかで意見が割れることがあります。
これは自分的には絶対受け付けないというレベルのもの2種類があって,自分としてはほぼ同等に苦手という場合でも,別のドリンカーはそのうち片方はOKでもう片方は私と同様に苦手と評価されることがあります。
しかし,私が何度比べても2つには明らかな違いがあるとは思えないのです。

オフフレーバーほど顕著ではないかもしれませんが,好ましい要素に関しても同様のことが言えるようにも思われます。
例えばラフの粉っぽい凝縮感やドロナック1972のシェリー感など,私が好ましく思うことの多い成分に関しても,明らかに同系統に突き抜けて魅力的と感じる2種類を同等に優れていると思っても,やはり片方だけが特別だという感想を持たれるドリンカーさんがいます。
しかし,私が何度比べてもそこまで明らかな違いがあるとは思えません。

もしかしたら私に特に顕著にあるクセなのかもしれませんが,特に好きな要素,嫌いな要素に関しては,過剰評価してしまう部分があるのではないかと思います。
その原因として考えたのが,その要素に関して良くも悪くも突き抜けていると感じるボーダーライン=閾値があり,それが他の人と比べて低いということではないかということです。

ドリンカーごとに,香味の各成分に関して閾値があり,そこを超えるとそれを強く認識してしまう,それが特に好ましいか苦手と意識されているものに関して顕著にでるという仮説です。
たとえば,人によってはすべての成分が閾値内にあってバランスタイプと評価されたものが,別のドリンカーにおいては特定の成分が閾値を超えているとそこが特別に突き抜けたタイプだと評価されたりする,という感じです。
そして,ここが重要なのですが,わずかな違いであっても閾値を超えているか否かでその人の評価が大きく変わるということです。

オフフレーバーに関しては,苦手な食べ物で考えてみると少しわかりやすいかもしれません。
私はセロリが苦手ですが,サラダに風味づけ以上のセロリの要素を感じてしまうと,つまりは苦手な閾値を超えてしまうと,他にどんな美味しいものが入っていても美味しいとは思えなくなります。というか他の要素を評価できなくなります。それが苦手で無い人にとっては,セロリの存在すら気づかない程度だったりすることもあります。それがここで言う閾値の違いです。

自分が普通だなと思ったものを,特別に美味しいと言う人がいたり,苦手と言う人がいる。
自分の感覚ではよく似た2種類を,全く違うものと認識する人がいる。
好みの問題と言えばそうなのですが,こういう経験は,BARでモルト仲間と感想を述べ合っているときにしばしば経験します。
その時に抱く違和感の一部が,この考え方で納得できるように思われました。

なお,余談になりますが,飲みはじめで経験値が低いうちはオフフレーバーを拾わないのは,その要素を特別な要素として認識していないためその要素を評価する定規をもたず閾値を超えることは無い,逆に経験値が高い人達が比較的オフフレーバーに対して寛容なことが多いのは,程度の激しいものを多数経験することで閾値が上がり,ボーダーラインを超えることがそうそう無くなっているためではないかとも推測しました。

推論ですし,思いついたことを一気に書いたので,わかりづらいところがあったら申し訳ありません。

現時点での考えですが,また何か考えが変わるようなことがあれば,追加で記事にしたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。



T.Matsuki

 

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2015.07.22【日記】

プチSBT from 大島さん


モルト仲間の大島さんから,プチSBTのサンプルが届きました。

さっそく挑戦させていただきました。

 

プチSBT from 大島さん


・香り
良いシェリー,黒糖,プルーンやベリー,ドライフルーツ,ビターチョコレートやアメリカンコーヒー,香ばしい麦が奥から出てくる,少し粘土っぽいアーシー,セロリなどのハーブ,ベリージャムの乗ったデニッシュ。

・味わい
アタックは強くなく滑らか,高貴さは無いが嫌みの無い良質なシェリー,香り同様の濃厚なフルーツ感,ジャム系の濃い甘味と薄いコーヒーの渋味が良いバランス,少しアーシーな野暮ったさとレザー,デニッシュ,ナッツ,麦の旨みも奥から染み出してくる,リッチで甘く長めの余韻。

・総評
近年系の要素も含まれているように感じるが,嫌味のないシェリー感が全体を覆ったモルト。
多彩なフルーツ感とその濃い甘味,コーヒーのような渋味,そして穏やかなアーシーさが印象的だった。
口当たりも穏やかで,オールドではないがこなれたニュアンスも伴う飲み心地の良さも好印象だった。
※実は最初に飲んだ時にはモロ近年という印象だったのだが,2回目3回目とどんどんこなれた方向に印象が変わった。

蒸留所予想はシェリーの印象を中心に考えた。
デニッシュなどの最近のPXのドロナックに近い要素も薄く感じるが,近年ものにしては引っ掛かりがなかった。
アーシーさを伴うシェリー感というと,個人的にはドロナックやファークラスが思い浮かぶ。
ピンと来たのはこの2つ。
土の中に少し感じた粘土っぽいニュアンスはドロナックに感じやすく,第一印象はドロナックだったのだが,時間と共にファークラスっぽくなったように思う。

ヴィンテージはサルファリーの無いシェリー感であり,近年っぽさもあるので90年くらいのように思うが,時間と共にもう少しこなれたニュアンスも出てくる。うっすらだが70年代が頭をかすめるような要素もあり,ちょっと悩んだ。
逆に70年代に近年系のニュアンスを感じることはほとんどないなので,最終的にはサルファリーの無い80年代後半から90年くらいの予想とした。
度数落ちのCSなのか高めの加水なのかでもやや悩んだが,オフィシャルっぽさも感じ後者予想とした。オフィシャル加水なら2000年前後流通の良いものだろうか。

【Good/Very Good】
 
予想蒸留所:①グレンファークラス、②グレンドロナック、③なし
蒸留年:1990年前後
熟成年数:20年程度
度数:46%程度
カスクタイプ:シェリーバット


以上のようなテイスティングと予想で回答メールをお送りしました。
 
正解は・・・、











マッカラン MACALLAN 1990 18yo OB 43%

7年くらい前にボトリングされたマッカランの18年でした。

スペックはほぼ当たっていましたが,これは上記2択で間違いないかなと思っていたのでショッキングでした。

出題者の大島さんの意図としては,最近のマッカランは美味しくなくなったとしばしば言われますが,ボトリング後に本領発揮するのに時間が掛かるタイプなのではないかという疑問があり,時間を掛けてあげればそんなに悪いものではないのではないかということを検証したかったということでした。

確かに,近年のシーズニングしたシェリーカスクのマッカランのシェリー感は,わたしもあんまり好みとは言えませんでした。(あとはハイランドパークなどエドリントングループの蒸留所のものには同様の個性をしばしば感じます。)
しかし,今回のボトルは近年の要素はあったものの,あからさまなサルファリーも含めてそういう苦手要素が前面に出たものでは無かったです。
というか,近年系のシェリーカスクのニュアンスだったので,そういう出題意図なのではないかと疑っていた部分もあり,マッカランっぽいシェリー感を探しに行った部分もあったのですが,検出できませんでした。
私のスキル不足という面もあったとは思いますが,やはり好ましい方向に変化しているのだと思います。

90年代蒸留のシェリーカスクで,買った時にサルファリーだなとか,醤油っぽいなとか,生臭いなと思ってそのままになっていたものが,時間が経って抜けたりすることは自宅においてもしばしば経験します。
BARでも,「これ,10年前の詰めたてはかなりサルファリーでしたよ」なんて言われたボトルに,その要素のかけらも感じられないこともしばしばあります。むしろ好ましい成分に変化して複雑さを増しているのではないかと思うくらいです。
私の大好物である60年代の高貴なシェリーカスクのものだって,詰めたてからあそこまで魅力的だったかと言われると,当時飲んでませんし自信がありません。時間を経て変化した結果であるのだとも思います。

60年代のシェリーカスクと同様の個性が,シーズニングシェリーのものが瓶内変化することででてくるかと言えば,それは難しいのではないかと個人的には思います。
とはいえ,現行のシェリーカスクのものをリリースしたてで飲んで美味しくないと判定するのは時期尚早であるということを,改めて認識させていただきました。

前述のとおり,昔のシェリー樽のボトリング時の味を知るすべはもはやありません。
エドリントンのシェリー樽以外にも,現行ニューリリースのシェリー樽にはいろんなタイプがありますから,それをしっかり飲み込んで,10年後,20年後,30年後にこう変化したというのがわかるように,そしてそれをその時のドリンカー達に説明できるようにしておきたいですね。
気の長い話ではありますが,とても楽しみでもあります。

 

大島さん,大変考えさせられる出題をありがとうございました。


 
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2015.06.30【日記】

カリラ 15年 オフィシャル 57% バロックレイド表記 80年代流通

最高のカリラはいろんな顔を見せてくれます。

 CAOL ILA 15yo OB 57%

カリラ CAOL ILA 15yo OB 57%
80年代流通,BULLOCH LADE表記



香りは華やかでフルーティ、遅れてしっかりとピーティ、オレンジ、パパイヤやパイナップル、黄色い花、塩素や淡い金属感、強く滋味深い麦感、しっかりアーシー、ピートの主張は強いスモークが優位、タール、陶酔感あり、飲むと滑らかな口当たりから強烈に広がる、香り同様かそれ以上に強いトロピカルを伴う強いフルーティと塩素や金属、炭っぽいスモークがしっかり、フルーティな甘味はあるが強すぎない、しっかりブリニー、魚介ダシの旨味、オイリーさもある長い余韻。

【Very Good/Excellent】


80年代に流通していたオフィシャルのカリラ,バロックレイド表記の15年フルストレングスです。

他のカリラではほとんど感じたことの無いトロピカル感を含んだ多彩で華やかなフルーツ感が非常に印象的で,ピートもかなり強いのですが香りにおいても味わいにおいてもフルーツの後から遅れてやってくるような印象です。
滋味深い麦感や魚介ダシのような旨味もあり,金属感や塩素,土っぽさなどなど,構成する要素は非常に多彩です。
突き抜けた陶酔感は長く長く続きました。


このボトルは,最初に有楽町で飲んだ時に衝撃を受けたボトルでした。ちょうどこのブログを始める少し前だったと思います。
強烈かつナチュラルなトロピカルフルーツが感じられ,それでいてアイラのカスクストレングスらしい迫力のあるボディやピートも下支えしており,記憶にくっきりと残る香味でした。
その後,同ラベルの開栓したてのものをモルト仲間の新築祝いの席でいただく機会がありました。そちらのほうがカリラのカスクストレングスらしいドライさを伴ったタイプで,もちろんボディもあり複雑さもありモルティな旨味もあり素晴らしいものだったのですが,有楽町で飲んだものとは違ったタイプでした。ただ,なんとなくフルーティになる片鱗みたいなものを感じていました。

今回メインモルトさんでいただいたこのボトルは,フルーツ感においてその2本の間のようなフレーバーでした。やや鋭さや金属感を伴ったピートの強さは有楽町で飲んだものよりも強かったと思います。
そしてさらに,最近モルト仲間のところで開いたボトルを再度テイスティングさせていただく機会に恵まれました。ちょっと枯れた感じも出ていましたが,明らかにフルーティになっており,変化の幅は大きかったです。

ロットは何種類もあるでしょうからもともと全く同じでは無い可能性が高いですが,ロットの違いのほかにも,未開栓時代,開栓後のコンディション,言ってみれば生まれた後の育ち方によっても大きく変わることを今回の経緯で改めて実感しました。
オールドボトルは何十年もかけて場合によっては何人ものコレクターの保管を経て育つわけですが,高級ワインと違ってその経過が明らかになっていることは稀です。
ラベルの状態や量の減りかたから想像できる部分もありますが,予想と違うこともしばしばあります。ラベルがボロく量も減っているのに思ったより若々しく硬かったり,逆にラベルが綺麗で減っていないのに枯れて抜けてしまっていたり。

どのモルトに関しても言えることだとは思いますし,熟成期間や樽の種類など酒のタイプにも寄るとは思うのですが,特にこのボトルのようにものすごい大器として生まれてきたものは,育ち方による変化度もより大きいのではないかなんて想像をしていました。

紆余曲折を経て瓶内変化したボトルの方がそのドリンカーにとって好ましいものになっている可能性もあり,それもまたウイスキーの楽しみのひとつと言えそうです。

 

このボトルは,神戸三宮のMain Maltさんでいただきました。

 
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2015.06.28【日記】

ラフロイグ オフィシャル カーチェス(カーディス) 200周年記念 アイラフェス2015向け

スペックも踏まえてこれからさらに華開きそうなラフロイグ。今後がひたすら楽しみです。

 LAPHROAIG OB "CAIRDEAS" 200TH ANNIVERSARY EDITION for FEIS ILE 2015

ラフロイグ LAPHROAIG OB "CAIRDEAS" 200TH ANNIVERSARY EDITION for FEIS ILE 2015 51.5%


香りは最初こもっているが時間と共にどんどん広がる、グレープフルーツとオレンジ、奥からじわりとアプリコットジャム、淡く桃や白ワイン、カスタード、バニラ、カツオだし、カモミール、力強い麦感、オーク、ヨードと炭っぽいスモークのある強いピート、淡い塩素と滋味深い麦感と土、飲むと滑らかな口当たりから力強く広がる、グレープフルーツ、奥からパッションフルーツ、淡く潮や海藻、やや染み込むような麦の旨味、舌全体にしっとり広がり煙い麦を噛んでるような独特のテクスチャー、じわじわと甘味は増してくる、柑橘の淡い酸味、淡いオークの味を深める、キツさのないヨードと炭っぽいスモーク、タール、リッチで余韻は長い。

【Very Good,Interesting】


今年のアイラフェス2015でラフロイグがリリースしたのは,蒸留所200周年=バイセンテナリーを記念したカーチェス(カーディス)でした。
さてこのカーチェス,ヴィンテージは2003年ではないかという噂で,ラフロイグのフロアモルティング麦芽100%で仕込んだ樽のみで構成されたボトリングです。

最初はかなりシャイなニュアンスでこもっており,出会いがしらにはそこまでピンと来なかったのですが,時間経過と共にどんどん広がっていきます。

香りにおいてはラフロイグの中でもそこそこ以上に熟成したリフィルカスクに多いフルーティなタイプに期待するグレープフルーツや淡いパッションフルーツ系のトロピカル感がゆっくり広がり,バーボンカスク熟成らしいバニラやカスタードのニュアンス,そして荒々しさも伴う滋味深い麦感,アイラモルトらしい強い煙と魚介のニュアンスも広がってきます。

飲むと最初穏やかですがパワフルな広がりがあり,香りよりは強いですが露骨でない程度にグレープフルーツやパッションフルーツが広がってきます。若さもあるのか煙い麦をそのまま噛んでいるような独特のテクスチャーがあり,近年ラフロイグらしい炭っぽい煙たさとヨードが強く主張してきます。

熟成年数のわりにかなり複雑で,なんというか,ここがとにかくうまく表現できないのですが,最近の若いラフロイグにおいて知っている要素と知らない要素が混在しているような不思議なボトルでした。

時間経過に伴う広がりは驚くほどで,グラスの中でどんどん多彩に複雑になっていきました。
また,開栓後の日ごとの変化も激しかったのですが,そうなると未開栓で長期間寝かせておいたときの変化への期待がどうしたって高まります。
あと20年後にこれを飲んで,ぶっ飛ぶくらい美味しいと言っている自分の姿が見えた気がしました。

評価はあくまで現時点でのものであるということは,ブログのTOPページにも書いてある通りで他のボトルにおいても同様ですが,今回のカーチェスは特にそうでした。開栓後や未開栓での時間経過で想定外に大きく変化する可能性が高いと思われ,未来が楽しみで仕方がないボトルでした。

※普段は,ちょっと難しいなと思うものでも追加で2~3回飲めばある程度の全体像は掴めると思っているのですが,今回は飲むたびに大きく変化して特に難しかったです。何度飲んでも掴めない部分があり,コメントだけ見ると月並みで,なぜこれだけ美味しいと感じるのか的確に表現できた気がなかなかしませんでした。
そのため他のアイラフェス向けボトルと比べると掲載が遅れてしまったのですが,まだ十分に満足できる評価はできていません。また飲む機会はあると思いますので,今後飲めたら追加報告をしたいと思います。それも楽しみです。



さて,今回この若いフロアモルティング100%のラフロイグを飲んで,改めていろいろ考えました。
フロアモルティングした麦芽を使うと,トロピカル感も含んだフルーツが出てきやすいなんて話をいろんなところから聞いてきましたし,フロアモルティング麦芽の含有率が高かったと噂されるボウモア1993が非常に突き抜けてフルーティなキャラクターだったこともあり,私もフロアモルティングに関してはなんとなくそういう認識でした。
今回のカーチェスには,トロピカル感は確かに若いにもかかわらずそこそこ以上に感じましたが,特別そこだけががすごいという印象ではなかったです。
それよりも強く思ったのは,熟成年数が短い荒さが伴っているにもかかわらず,妙に多彩さや複雑さを持っているということでした。

こんなブログを見てくださっている方々にとっては当たり前のことかもしれませんが,モルティング(製麦)は大麦を発芽させて適度に成長させた後,糖化の為の酵素が増えつつも成長に糖質を消費しすぎないギリギリのタイミングで乾燥させ麦芽の成長を止めるという行程です。

私はアイラに行った際にラフロイグでフロアモルティングの体験をさせてもらったことがあるのですが,一生懸命撹拌しているとはいえ結構麦芽の成長はまちまちでムラがあるなという印象でした。
それに対してモルトスターなどで大量生産されたモルトが均一な出来かどうかは見学できていないので想像するしかないのですが,機械化された施設で作られており商品として比較的ムラが無さそうな印象はありますよね。
しかしそのフロアモルティングのムラによって,糖化の効率は落ちるかもしれませんが,均一なものに比べるとやはり多様性を持ったものになるような気がしています。

フルーティになりやすかったりするのも,その多様性や複雑さを身に着けた麦芽で仕込んだ結果もたらされたもののひとつと言えるのではないかと今は考えています。

この辺の見解はまだ想像ですし,これから他の蒸留所も含めてこういうボトルをもっと意識しながら飲むことで深められていけるように思います。
この先考えが変わってしまうことも大いにありそうですが,現時点でのフロアモルティングに関する見解というのはこんな感じになりました。


 
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2015.06.05【日記】

グレンモーレンジ 10年 オフィシャル 70年代流通

強烈なトロピカル感のある興味深いモーレンジでした。

 GLENMORANGIE 10yo 70''s

グレンモーレンジ GLENMORANGIE 10yo 43%
70年代流通



香りは強めのオールド感、パッションフルーツなどの華やかなトロピカル感、萎びたオレンジ、熟したメロン、いれた翌日の紅茶、こなれた麦、奥にオールドピート、飲むとやわらかな口当たりから意外に広がる、オレンジリキュールや香り同様のパッションフルーツ系のトロピカルフルーツ、紅茶、麦の旨味とピートあり、オーク、甘味はほどほど,淡いエグ味あり、厚みもあり長めの余韻。

【Very Good, Interesting】


70年代に流通していたと思われる,スクリューキャップのグレンモーレンジ10年,当時のオフィシャルスタンダードです。

香りは強めのオールド感もありましたがパッションフルーツ系のトロピカル感がしっかりと強く感じられ,熟したメロンや萎びたオレンジのニュアンス,そして紅茶っぽさやオールドピートもありました。
フルーツ感や麦感,そしてピートと,古いニュアンスが伴っていましたが,トロピカル系のフルーツ感だけが妙にフレッシュなニュアンスに感じられました。

飲んでみるとオールドらしいやわらかな口当たりですが意外にもそこから広がるボディがあり,香り同様に強いトロピカル感を含むフルーツが主張してきます。やや香りよりもコクと重さのあるオレンジが強めだったでしょうか。また紅茶や麦感,そしてピートのニュアンスも香り同様に好印象でした。


今回のように,本来トロピカル要素が特徴的と言われていない蒸留所から突如トロピカルが出てくることがあり,たいていの場合は瓶内変化や開栓後変化に伴ってボディが抜けていくのに伴って出てくることが多いと認識しています。
ボディが無くなって水っぽさとともに感じられるものがあり,そこまでいくとうっすらとしたパフュームなんかも一緒に出てくることもあるように思います。
今回のような70年代の短熟加水のスタンダードには比較的出てきやすい認識ではあり,昔はこういうトロピカル感がでているとテンションが上がったものですが,最近はボディが失われていることの方が気になってしまうのかあまり喜ばしい要素としては捉えなくなっていました。

しかし今回のモーレンジ,飲んでみると思ったよりボディが保たれていて厚みを感じたのです。
ボディと引き換えに得られる香味だと思っており,ボディをある程度残しても出てくるものはもともとボディのあるマッカランくらいかな(オールドのマッカランには終盤に出てくることが結構あります)という印象だったのですが,それがモーレンジででてきたことに少々驚いてしまいました。

この手のボトルは開栓直後をピークにどんどんトロピカル感もボディも枯れていく印象がありますが,今回はBARで良いタイミングで皆で飲め,マスターも交えてこういうトロピカル感に関する見解を改めて話し合うこともできましたし,この一瞬のきらめきを持ったモーレンジにはとても有意義な時間を与えてもらいました。


 
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2015.03.18【日記】

これからも宜しくお願いします。


あまり普段は気にしていないのですが,ちょっと前から気になっていた総アクセス数。

今朝見たらついに50万アクセスに到達していました。
500000,・・・0が5つもあります。(笑)

今まで日記なんて続いたこともなかったですから,こんな日が来るとは思っておらず,我ながらびっくりです。

いつも私T.Matsukiのブログを見てくださってありがとうございます。

多い日はのべ1000人,それもほとんどがウイスキーに興味がある人が読んでくださっていると思うと,プレッシャーとやりがいを同時に感じますね。

そしていつも,素敵な1杯を提供して下さっているBARの皆様,多くの刺激を与えてくれるモルト仲間の皆様のおかげで今まで続けてこられました。
改めましていつもありがとうございます。

読んでくださる方が自然とモルトと人に感謝や愛情を感じるようなブログになるよう心がけているつもりですが,これからもそのコンセプトで無理なく続けていこうと思っています。

今後も宜しくお願い致します。


さて,お祝いに何か開けましょう!
何にしようか迷うのも素敵な時間ですね~


 
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2015.01.09【日記】

プチSBT from 大島さん SAMPLE A


モルト仲間の大島さんと以前から定期的にやっているプチSBTですが,今回は3種類が届きました。


 

 



まずはAです。




(以下はブラインドでテイスティングした内容です。)


・プチSBT from 大島さん SAMPLE A

香りは多彩なフルーツ,熟した桃やグレープフルーツのわた,パイナップル,リンゴ,メロン,オレンジ,バニラ,クリーム,奥からオールドピートとこなれた麦感,燻した草や紅茶,こなれたオールド感がある。
飲むと滑らかな口当たりで強いフルーティ,桃やパイナップル,草っぽさ,舌にしみ込む麦の旨み,タールも伴うオールドピート。

【Very Good】

とても多彩なフルーティさと,こなれた麦感,そして奥からピートも感じるサンプルで,長期熟成もしくは瓶内変化を経たような印象を受ける。
露骨ではない程度のオールド感と古いピートやこなれた麦感があり,ボトリング後少し経っている印象もあり,加水+ボトリング後変化を経たボトルだろうか。
香りの第一印象はスペイサイドモルト+オールドピートという感じであったが,飲むと思いのほかタールっぽさも感じられ,東ハイランドのような印象も持った。

40~43%,80~90年代流通のオールドボトル,12~18年熟成。
ヴァッティングだろうか。

・予想
1、グレンドロナック
2、グレングラッサ
3、グレングラント
あとはをピートの強めなスプリングバンクも考えました。

オールド感がそこまで強くなく,やはり熟成期間とヴィンテージの予想が悩みどころでした。


以上のようなテイスティングと予想で回答メールをお送りしました。
 
正解は・・・、
 

 

 

 

 


ハイランドパーク12年 オフィシャル 90年代流通 43%


前のラベルのハイランドパークでした。90年代のボトルでしょうか。

スペックはわりといいセンでしたが,ハイランドパークは出てきませんでした。
ピートがあってハイランドパークと言われればある程度納得できるところではあったのですが,フルーツの方向性やボディという意味ではオフィシャルのハイランドパークっぽくない印象でした。
ダンカンテイラーの長熟なんかだとハイランドパークでも出てくる香味ではありますね。

今回はオールド感やピートなど他の成分からスペックがある程度わかりましたが,こういう穏やかなボディでフルーティなタイプは,長熟由来か瓶内変化かの鑑別が難しいものがしばしばあります。

正解発表後に大島さんとも話したのですが,やや液面の下がったボトルだったそうで,今回予想にも書いた「加水+ボトリング後変化」で,ボディが枯れ始めたことに伴うフルーティな変化であろうという推察になりました。

こういうボトル内での枯れに伴って出てくるフルーツ感が,私の周りでは最近よく話題になっていて,これを良しとするか否かは意見が別れるところではありますが,今回のブラインドテイスティングではポジティブに捉えていました。(オープンテイスティングだと結構ネガティブに捉えることが多かったりします・・・。)
瓶内熟成も面白いですね。
すでに何度か書いたこともありますが,今年深めていくべきのテーマのひとつになりそうです。


 
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2015.01.01【日記】

あけましておめでとうございます


皆様,2015年あけましておめでとうございます。

今年も年明け早々飲んでます。
最初の1杯は,よしのやさんと有楽町キャンベルタウンロッホさんがボトリングしたオルトモア1992にしました。自宅では本日開栓です。
なんとなく,新年最初の1杯はニューリリースにしたいという気持ちがあるんですよね。



以前記事にしたとおり,最近のリリースの良いものらしい華やかな香味ですが,それに伴いがちな生木っぽさが少なく飲み心地が良いですね。開栓直後ということもあるのか,有楽町で飲んだ時よりも全体のバランスの中で蜂蜜感が前面に出ている印象です。
酔ってなんとなく飲み続けるのにも良く,何より暖かく前向きな気持ちになるニューリリースで,今年も新年にふさわしいものがいただけました。


さて,昨年も多くのボトルとの出会い,そしてウイスキーに関わる人達との出会いがたくさんありました。それが励みになり,なんとかブログも毎日更新することができ,早いものでブログ開設から1500本以上のボトルをご紹介することができたようです。

また昨年は,ボトルのご紹介だけでなく,「モルト初心者にオススメするウイスキー」や「ウイスキーの知識や資格に関する私見
」といった,モルト初心者の方に向けた記事を書くことができ,それに関する意見交換をできたのも感慨深かったです。


そして,昨年は開栓後やボトリング後の変化について考える機会の多い年でもありました。

私は1回のテイスティングでもじっくり真剣にやれば大筋はそのボトルの魅力を感じることができると思っていますが,たまに開栓後の時間と共に劇的に変化するものもあり,そういうものに出会うと,自分のテイスティングノートやレーティングは,そのボトルの一生の一瞬を切り出して語っているにすぎないんだなと実感します。

また,突き抜けたものもぽつぽつ出始めた90年代蒸留のものを中心に,ニューリリースのボトル達がこれからどんなふうに変化して私たちを楽しませてくれるのか,今までの経験から予想できる部分とできない部分があり,また予想できてもその通りになるかどうかもわかりませんが,これからも考えながらストイックに飲み続けることでその精度を上げていけるのではないかと思っています。
ウイスキーとはこれからも長いお付き合いをしていくつもりですので,将来を見越した楽しみ方をしていきたいです。

今年も,ニューリリース・オールド問わず素晴らしいボトルに出会えるのを楽しみにしています。

皆様にとっても素敵な1年になりますように。

今年も宜しくお願いいたします。


T.Matsuki

 
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2014.12.29【日記】

カリラ 1978-1989 サマローリ

オールドアイラの魅力に溢れたボトルでした。

 

カリラ CAOL ILA 1978-1989 SAMAROLI 55%


香りはこなれたオレンジ、塩素とタール、クールな金属感、鋭いオールドピートがしっかり、燻した藁、土っぽさ、毛皮、枯れた感じも伴う滋味深い麦感と蜂蜜、飲むとじわじわと舌にしみ込むような強い麦の旨味、しっかりとタールを感じる強いピート、塩素、オレンジ、ほど良い蜂蜜の甘味、クールでくっきりとした味わいの輪郭、ボディもあり余韻も長い。

【Very Good】


サマローリが1989年にボトリングしたカリラ1978のカスクストレングスで,およそ11年の熟成です。

香りには全体を包み込む心地良いオールド感があり,塩素や金属などアードベッグと共通するようなクールなニュアンスが感じられました。
そして土っぽさや毛皮のような獣っぽいニュアンス,そして短熟オールドらしい滋味深い麦感も印象的でした。
飲んでみると舌にしみ込んでくるような強い麦の旨みがあり,香り同様に冷たいニュアンスを伴う塩素やピートもしっかりありました。
味わいの輪郭がくっきりしておりキレも良いのですが,長い余韻も楽しめました。

さすがサマローリの80年代詰めのカスクストレングスだけあって,ボディをしっかり残した魅力的な短熟ボトルでした。

ボトリング後の経年変化が少ない70年代のカリラは結構最近までしばしば飲む機会がありましたが,このボトルのような枯れたピートや獣っぽさや土っぽさ,そして舌にしみ込んでくるようなテクスチャーを感じたものはなく,恐らくはボトリング後の経年変化で出てきた部分が相当大きいのだと思います。
今飲んでも非常に良いオールド感で美味しいのですが,ボディが残っているのでまだまだ経年変化を楽しむことができるボトルのような気もします。飲み頃の判断が難しいボトルだと思います。

 
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2014.12.28【日記】

プチSBT 2014/9月 from 大島さん SAMPLE B


モルト仲間の大島さんと以前から定期的にやっているプチSBTの未掲載分,前回に続いてBです。

 
 

(以下はブラインドでテイスティングした内容です。)
 

・プチSBT 2014/9月 from 大島さん SAMPLE B

香りは若さのある強い麦感,シトラス,バニラ,少しオイル,旨そうなパン,淡くワックス,樽は強くなく複雑さはそれほどない。
飲んでみると意外と滑らかな口当たりでやや粘性を感じる,アプリコット,淡くパイナップル,麦の旨みは濃い,柔らかな蜂蜜の甘味,ややブリニー,うっすらピート,プレーンな樽感。

【Good/Very Good】

香りで感じた若さのわりには飲むと刺激は少なく,加水タイプだろうか。
時間と共にちょっぴりだけトロピカル感が出てきた。
プレーンで飲み飽きしないタイプで,自分の好きな系統のひとつ。
ただ蒸留所予想は難しい。

90年代半ばから後半の蒸留で,プレーンに近い樽で15~20年程度の熟成。46%くらいの加水だろうか。
蒸留所は淡白でも麦の旨味が濃厚に楽しめたあたりから選んでみた。
ただ,オイリーさがそこまで強くなかったり,微妙に感じたトロピカル感やピート感を鑑みると,しっくりくる回答とは言い難い。

・予想
1、プルトニー
2、バルブレア
3、クライヌリッシュ


以上のようなテイスティングと予想で回答メールをお送りしました。
 
正解は・・・、
 

 









グレンモーレンジ 1993-2003 10yo OB マウントエベレスト


グレンモーレンジのオフィシャルボトル,マウントエベレストでした。
1993年蒸留の2003年ボトリングということですが,このボトル,イギリス初の女性エベレスト登頂者となったレベッカ・スティーブンスさんに1993年に贈られた樽ということです。かなりレアなボトルですね。

モーレンジらしい華やかなバーボンカスク感が全開というタイプとは異なり,わりとプレーンな樽感で素朴な味わいだったのが非常に印象的でしたが,ボトリングの経緯を考えるとどんな味わいになるかわからない状態(樽に詰めたてほやほや)で贈られた樽でしょうから,普段モーレンジが仕上がった樽からシングルモルト用として選んでボトリングするものとは異なってしまったのではないかと思います。

そしてこのボトル,以前にモルト仲間で集まった時に大島さんから皆で飲ませていただいたことがあり,その時はプレーンなのに熟成感もない薄っぺらなボトルという評価でした。私もそう思いました。
しかし,それから時間が経って美味しく感じるようになったとのことで今回ブラインドで出題されたそうです。
確かにあの時とはまったく異質なものでした。
評価も前回はBadでしたからね。。。

そして今回は思いがけない発見もありました。
予想に挙げた3蒸留所はすべて北ハイランドのモルトです。
淡白でも麦の旨味が濃厚に楽しめ,無骨なニュアンスのある北ハイランドのモルト達の中でモーレンジだけは華やかで異質なものを作っているという認識でしたが,原酒の段階ではそうではなかったようです。
モーレンジの持つ北ハイランドモルトらしさが,プレーンな樽感のものを飲んではっきりと感じられたようです。
逆に,自分の認識しているモーレンジらしさは樽由来のものなんだと実感する機会になりました。


大島さん,貴重な体験をありがとうございました。



 
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2014.12.20【日記】

ウイスキーの知識や資格に関する私見 (後編)


さてさて,前回のウイスキーの知識に関連して,資格に関する私見も書いておこうと思います。

有名なところだと,スコッチ文化研究所の認定する、ウイスキーコニサー資格認定試験というのがあります。(その他に今はウイスキー検定というのもやっているようで,多くの方が受験されたようです。)
スコットランドなどウイスキー生産地の地理、歴史、そして蒸留所とウイスキー製造に関する知識などを問われる試験です。

コニサー試験のうち,自分はウイスキープロフェッショナルという資格を、資格が発足した2007年の試験で取得しました。
その前段階のウイスキーエキスパートという試験は筆記試験のみで、プロフェッショナルにはテイスティングの試験もあります。
試験や認定にあたってそれなりの料金は掛かりますが、闇雲に合格者を量産して更新料を延々ととり続けるような資格とは異なり結構良心的な資格だと思っています。



コニサー資格認定試験のテキストです。
今は改訂・増量されて2冊になっているようです。



とはいえ、この資格試験に関しては賛否両論あると思います。
私も有資格者ということもあり、いろいろ聞かれることがあり、ここらで自分の思うところを書かせていただきます。

前回書いたように,私はある程度以上の知識があった方がより深くウイスキーを楽しめると思っています。

ではプロの方ならともかく,一般の愛好家にとっても知識の延長で資格も取ったほうが良いのでしょうか。
これはしばしば聞かれますが、その人の状況にもよると思います。

すでにある程度以上の知識があり,ウイスキーの世界にどっぷりとつかっており、自分のウイスキーライフに満足している人、そんな人にとってはこの資格を取って特別良いことはないかもしれません。
正しい知識を体系的に整理し直す機会にはなるかもしれませんが,わざわざ受験料・認定料を払ってまで資格を取ることにメリットがあるかどうかは微妙なところです。

では,当時の私のように,ウイスキーの世界に浸かり始めた人達にとってはどうでしょうか。

ここで私というドリンカーの一例をご紹介します。

私にとっては,いろんな書籍を読んだもののバラバラだった知識を整理し,体系的に理解することができる良い機会になりました。
このコニサー試験の教材は,結構難しいところもあるのですが,とても良くできていて当時の自分の痒かったところに丁度手が届く内容でした。
あいまいな部分が少なく正しい知識を得られたというのも大きかったです。
それなりの割合を占めるスコットランドの歴史などについても、スコッチウイスキーとの関連もありますし、関連が無い部分に関しても普通に興味深かったです。
生産地の風土や歴史への愛着がより増すことは、人が作るウイスキーというものへの愛情にもつながりました。
これがなければ,新婚旅行でスコットランドに行くなんてことは無かったと思います。(笑)

では知識だけでなく資格までとる意味はあったかというと・・・,ありました。
自分にとっては、この資格がパスポートとなりました。
若造にとって,底が見えないくらい深遠でマニアックなウイスキーの世界に入っていくのには,勇気がいりました。
そんな時に「自分には少なくとも最低限の知識とテイスティングスキルがある」という自信は、そこに踏み込むためのパスポートになったのです。
そんなパスポートなど不要という人は別ですが、どのくらいの知識とテイスティングスキルがあれば普通なのかという尺度が無い世界において、ある程度の尺度になりうるこの資格は私にとって有意義でした。
高い敷居を感じていたモルトバーにも通えるようになりましたし,周りのマニアの人たちの会話の意味も最初からある程度理解できました。
そこで物怖じせず経験を多く積むことで,加速度的に成長できたと思います。

そして,これは私だけでないと思いますが,試験合格というわかりやすい目標があった方が知識を付けるモチベーションが保てるのではないでしょうか。

また,資格取得をきっかけに,それを生かしてウイスキーのイベントを主催するなど裾野を広げる活動をされている方もいらっしゃいます。

そんなわけで,ウイスキーの世界に浸かりはじめた人にとっても,私のように資格が有意義になる場合はあると思います。


しかし,そんな当時の私のような人達が資格を取ったからといって,達成感はあるでしょうがウイスキー愛好家として一人前であるかといえば、答えは否だと思います。

私がプロフェッショナルの資格を取得したのは2007年のことで,ウイスキーを好きになって5年程度の頃でしたが,それまではまだ若かったこともありBARは敷居が高く,教えてくれる人もおらず,自分で買って飲める範囲には限りがあり,絶対的に経験が足りませんでした。
それでも勉強してある程度飲んでいれば資格は取れてしまいます。
しかし,香味に関する見識が資格取得に占める割合はごく少なく,資格取得後も知識が増えただけで,特にヴィンテージ,熟成年数,樽,そしてボトラーズなどによる香味の特徴に関する認識というのは薄っぺらでした。
BARなどに行くようになり広い世界に出てみると,当時の私より、そして今の私よりもはるかに知識も豊富でテイスターとしても素晴らしい方々がたくさんいらっしゃいました。

自分が本当の意味でモルト愛好家として成長したのは,資格のための勉強をした期間ではなく,間違いなくその後です。

私のような状況で試験を受けようと思っている人たちに言いたいことは,「資格取得で決して満足したり過信したりしてはいけない。あくまでウイスキー愛好家としての第2のスタートラインに立っただけだ」ということです。
素晴らしいウイスキーライフの扉がひとつ開いたに過ぎないのです。



ウイスキーは,なんとなく飲んでも美味しいですし素敵な時間を過ごせますが,やはり知識をベースにして香味について考えたり現地に思いを馳せたりしながら飲めることに私は魅力を感じ,陶酔します。

それを楽しく実感し続けるためには,しつこいですが知識や経験を増やし,それをベースに考えながら飲み続けるしか無いのだと思います。

また,考えながら飲むほどに理解が深まりますが,同時にわからないことも増えていき,底の見えない深遠さを感じます。
そしてそれが次々と新しい興味を生み出し,飽きることがありません。
結局,どんなに考えてどんなに飲んでも完全な理解には至らないことがわかっていても,続けていくと少しずつそこに近づいている実感があり,それがまた次の素敵な1杯に繋がります。

やはりウイスキーは一生付き合っていける素晴らしい友であり恋人だと思います。



なお,今回の記事は,以前に「モルト初心者にオススメするウイスキー」という記事を書いた際に,そこから派生して書いたものでした。

そのまま温めていたのですが,今回改めてこれをブラッシュアップして公表するに当たって,個人的見解の要素が強いと思ったこともあり,何人かのウイスキー愛好家の方にご意見をいただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。


 
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2014.12.19【日記】

ウイスキーの知識や資格に関する私見 (前編)


NHKの連ドラ「マッサン」の効果で,最近雑誌などで過去にないくらい大量のウイスキー関連の特集が組まれています。
私も「ウイスキー」の文字に反応してしまい,その多くに目を通します。大概立ち読みですが。(笑)

多くは一般向けの雑誌ということもあり,ウイスキーとは何ぞや,どんな原料を使ってどうやって作るか,どんな地域にどんな蒸留所があるのか,などなど,ウイスキーの基礎知識もある程度書いてあるものが多いですね。

さて,ウイスキーを深く楽しみ,テイスティングスキルを上げていくうえで知識はどの程度必要なのでしょうか。
また,それに関連して,ウイスキーに関する資格などは意味があるのでしょうか。
そういったことを以前からしばしば考えており,愛好家のなかでもかなり意見が分かれるところかなとは思いますが,今回良い機会なので私見をまとめてみました。


まず,知識に関してはある程度以上あった方が良いと考えています。

もちろん,なんとなく飲んでも美味しいものは美味しいですし,経験が増えれば好みの幅も広がっていくでしょう。
また,好きな蒸留所の特徴や地域など,わざわざ能動的に学習しなくとも飲んでいるうちに自然と覚えてくる知識もあるでしょう。
とはいえ,効率良く経験値を積んでいくためには,早期からベースになる知識があった方が良いと考えます。

また,未だにマッカランを所有しているのがサントリーだなんてことを当たり前のようにBARで語る人がいたり,ネットで明らかに間違った情報を悪気なく流す人がいたりと,受動的に得た情報はやや信憑性に欠ける部分があると思います。
ウイスキーと真剣に長くお付き合いしていくつもりがあるのであれば,正しい知識を能動的に得ていくのが好ましいと私は思います。

 


これらは私が買って読んだウイスキーに関する本や雑誌などの一部です。
改めて引っ張り出してみるとすごい量です。。。



知識に関して,スコッチのモルトウイスキーに限って具体的に書くなら,
・モルトウイスキーとブレンデッドウイスキーの違い,シングルモルトとは何ぞや
・モルトウイスキーの作り方(製麦,糖化,発酵,蒸留,熟成など)
・蒸留所に関して,
 どの地域のどこにあるのか
 どういう作りをしているのか(ポットスチルの形態,ピート使用の程度,フロアモルティングの有無,仕込み水の硬度,など)
 所有している企業とどういうポリシーで作っているのか(シェリー樽・バーボン樽にこだわる,など)
 過去にどういう作りの変化があったか(~年までフロアモルティング,~年に閉鎖・再開,など)
・樽の種類や樽による香味への影響
・熟成期間による香味の変化
・ウイスキーの飲み方や基本的なテイスティングの方法

パッと思いつくところだとこんな感じです。

他にも,スコッチウイスキー&スコットランドの歴史と背景にある世界情勢なんかも知っていると理解も深まり楽しいと思いますが,さすがにここまで含めてしまうとちょっと大変ですしテイスティングとは関連が薄くなりますね。

上記の知識の一部でもあれば,その部分に関して思いを巡らせながら目の前のグラスと向き合えると思います。
「このウイスキーはこんな味がして美味しい」,というのも,知識があれば,「このウイスキーはこの種類の樽で~年熟成して,この地域でこの時期はこういう作りをしていたからこんな味なんだろうな,そういえば同じ地域のこの蒸留所と似た香味があるな」,などという楽しみ方になります。

あくまで例ですが,
・このウイスキーはブレンデッドウイスキーと比べるとクセがあるけど,それはシングルモルトならではなんだな
・このウイスキーは煙の香りが強くバニラっぽさも感じるが,それはアイラの蒸留所でバーボン樽熟成にこだわった作りだからなのかな
・このウイスキーは複雑なフルーツの香りがあってアルコールの刺激が少ないけど,それは長期熟成したからなのかな
こういったことを考えながら飲み続けるわけです。

また,そうして考えながら飲むと,好みかどうかだけでなく,興味深いかどうかという面でもウイスキーを楽しめます。
より多くの価値観でウイスキーを評価できるようになり,多種多様なボトル達に対して優しくなれる気がします。

そして,そうやって知識をベースに深く考えながら味わった方が,記憶にも残りやすいと思います。
以前記事にしたように,飲み込んでいくと無意識に過去の経験・記憶にあるボトルとの比較をしながらテイスティングをすることが多いですから,より深い記憶を残すことは未来のボトルをより深く楽しむことにつながります。

なお,蒸留所のハウススタイルやヴィンテージごとの特徴,そしてボトラーごとの特徴など,味わいの特徴に関するイメージもあるとテイスティングをより深められると思いますが,これらに関してはあらかじめ知識として詰め込むよりも知識や経験をベースに飲みながら覚えていく方が記憶に残ると思います。
そしてそういう経験とイメージが増えていくと,さらに深く考えながらテイスティングできるようになると思います。

今思い出すと,自分にとってはむしろここから先のほうが,テイスティングをより深く楽しく行うことに直接つながっていったと感じます。
知的好奇心を満たしながら飲み続けていくわけです。飲んでは知識をつけて,またその知識を持って飲む。
そうやって飲んでいくと,理解が深まりさらに知的好奇心を刺激されるようなものに出会うという良い循環に到達します。

ちなみに,私は未だにオールドボトルの知識やその年代を見極めるための知識に乏しいですし,まだまだ蒸留所やヴィンテージによる特徴も十分に捉えられていません。
やはり飲みながら知的好奇心を満たす毎日です。


そんなわけで,いろいろ飲む前にある程度の知識をつけておいたほうが,より楽しいウイスキーライフになるのではないかと私は思います。

一般向けの雑誌の特集もわりとしっかりとした内容だったりすることもありますが,やはり万遍なく網羅されているとはいいがたく,どちらかといえばウイスキーに特化したある程度の量もある書籍を参考にした方が,体系的な知識になりますし,辞書的に使えたりしますし,痒いところに手が届くと思います。


では,どんな書籍が良いのでしょうか?
私の場合,今は次回に書く資格取得の際に使用したテキストが知識のベースになっていますが,正直これはかなりマニアックな内容で,本も分厚く白黒で,それこそ資格を取るつもりでもない限りとっかかりにくいので最初はお勧めできません。
その前には故MJのモルトウイスキーコンパニオン,土屋守さんのモルトウイスキー大全なんかを読みつつテイスティングをしていましたが,主に蒸留所についての知識を得るために使っており,それとは別に体系的な知識をつけるために読んでいた本もありました。
しかし10年以上前のことで,本の名前までは覚えていません。今それが売っているかどうかもわかりません。

私がすでにある程度知識をつけてから読ませていただいた本で,飲み始めのころに読んだら良かっただろうなと思った本には,吉村宗之さんがお書きになった「うまいウイスキーの化学」があります。
持ち運びしやすい小さめのフルカラーの本で,用語や製造,各蒸留所の特徴,そして飲み方に関しても記載があり,とても読みやすいです。
個人的には,樽の種類のディテールやそれらで熟成した結果として出てくる香味などのもうちょっと突っ込んだ内容,そして特に著者である吉村さんが得意とされているテイスティングに関しての記載が欲しいなと思うところではありましたが,モルトに興味を持った人の痒いところの多くに手が届く内容だと思います。

また,私の知人のウイスキー愛好家の中でも,ここ数年の短期間で驚くほどのスキルを身に着けた方(よくコメントもくださる大島さんです)からも教えていただきました。
やはりコンパニオンや大全も使っていらっしゃったようですが,体系的な知識を付ける本としては「ウイスキー&シングルモルト完全ガイド」という本を何度も何度もお読みになったそうです。
せっかくですので,ここで紹介するにあたり,私も買って読んでみました。
マニアックになりすぎないレベルで,イラストや写真も多く,それでいてウイスキーを理解するうえで必要な,特に初心者の痒いところに手が届くような内容がかなり網羅されています。
スコットランドの情報や現地の雰囲気などについて書いてある部分もあり,現地への親しみも湧いてきます。
ちょっと前の本なので,ボトルや蒸留所の情報に関しては今と異なっている部分も結構ありますので,そこには注意が必要(特にボトルとそのテイスティングノートは今のものと違っているものがほとんどです)ですが,先ほど書いたような,ウイスキーを深く楽しむうえで有効と思われるような知識をつけるのには十分に役に立ってくれそうな本でした。

どちらの本も,まだ基礎知識に自信が無い方や,知識を整理したい方には特にお勧めできる内容だと思います。




他にも,特に最近のものでお勧めの本がありましたら,教えていただけると幸いです。

 

次回は知識に関連して,資格の話を書きます。

 
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2014.12.16【日記】

ベンリネス 1984 28年 Svensk Whiskyformedling

スペックの割には熟成感が無く,プレーンで素直な香味でした。

 

ベンリネス BENRINNES 1984-2012 28yo Svensk Whiskyformedling 47.0%
 

香りはフレッシュな草、穏やかな麦、白い花、プレーン、飲むと穏やかな口当たりからヒリヒリとスパイシー、シトラス、甘味は控えめ、穏やかな麦の旨味、味わいもプレーン、さらりとしたボディ

【Good】


Svensk Whiskyformedlingというスウェーデンのボトラーが詰めた,ベンリネス1984,28年熟成です。ボトリングは2012年ですが,最近日本に入ってきたもののようです。

28年熟成ですが香りも味わいもあまり熟成しているニュアンスがなく,非常にフレッシュでプレーンでした。
麦感が穏やかで,そのあたりはやや熟成感と捉えられるようにも思いますが,いかんせんプレーンで単調です。
しかしそのわりには不思議と度数は下がっており,ボディはさらっとしていました。
嫌味もなく,するする飲めますし嫌いではありませんが,あまり面白くないボトルでした。

相当使い古された樽ではないかと思われ,あまり樽の影響を受けないまま度数だけが下がったという印象です。

シングルモルトとしてボトリングされることはあまりないタイプの樽かなと思いますが,恐らくはブレンドに回るものにはこういうものがたくさんあるのではないかと思います。

多少オフフレーバーがあっても引っかかりがあっても,シングルモルト,特にシングルカスクでボトリングされて我々の口に入るものは,全体の樽の中では強い味で熟成感や個性のある一軍選手ばかりなんだろうなと思いますね。


 
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2014.11.04【日記】

自宅テイスティング:ボウモア 1994 14年 BBR レトロラベル メゾンドウイスキー向け (2回目)

ボトリング後の変化が圧巻で,初の自宅テイスティング2回目の投稿です。

 

ボウモア BOWMORE 1994-2008 14yo BBR retro label for La Maison du Whisky #1685 54.5%
開栓後1年半



今回は前置きがあります。
このボトルは2008年にボトリングされ,2011年3月にテイスティングノートを公開したことがあるものです。発売当時から美味しいと話題になったボトルでした。
ボトル価格8000円程度で数本買っていることもあり,気軽に開けられる美味しいシェリーのボウモアということもあり,実は前回のボトルが2本目,今回は3本目の自宅開栓でした。
2本目までは気軽にじゃぶじゃぶ飲んでしまっていたのですが,3本目となる今回は,開栓後ゆっくり時間を掛けていただきました。
ちなみにこの3本目も開けてしばらくはほぼ前回のテイスティング通りでした。
しかし開栓後1年半が経ち,残り1/5になったところで久しぶりにテイスティングしたのですが,素晴らしい香味になっており非常に驚きました。
自分は,ボトリング後の未開栓での変化と異なり,開栓後長期経過した変化はボディを中心に失うものも多い印象で,部分的にポジティブな変化があっても総合的にはあまり評価できないことが多いのですが,今回は何度飲んでも間違いなく旨くなっていると思えました。
レートも大きく変わりますし,このボトルの本当の力を感じましたので,今回例外的ですが改めて2回目のテイスティングノートを残させていただくことにした次第です。


・香り:
力強く広がる,オールドシェリー,うっすらと干し椎茸,ベリージャム,ドライオレンジ,煮詰めた紅茶,ヨードもある強く迫力のあるピート,磯っぽい海苔,BBQの肉,コーヒー,カラメルソース,クローブ,レザー,しっかり腐葉土のアーシー,焦がし麦,奥からパイナップルなどのトロピカルフルーツがでてきて時間と共に強まる,かなり複雑でリッチ。

・味わい:
滑らかな口当たりからじわじわと刺激,熟したアプリコット,ベリージャム,奥から徐々に湧いてくるマンゴーやパイナップルのトロピカルフレーバー,焦がし麦,レザー,腐葉土,磯っぽさ,ヨードもスモークもある迫力のあるピート,魚介ダシの旨味,ジャム系の濃い甘味と心地良いタンニンのある渋味,ボディは厚く,味わいも複雑で非常にリッチ。

・余韻:
強く複雑なフルーティとピート,それに旨味も加わり長く長く残る。

・総評:
現時点だけで評価すれば,オールド感のあるシェリーカスクのニュアンスと力強く迫力のあるピート,そしてボウモアらしいトロピカル感が混然として感じられる素晴らしいボトル。

【Very Good/Excellent】


BBRがフランスのメゾンドウイスキー向けに2008年にボトリングしたボウモア1994,14年熟成,レトロラベル。
前述のとおり,自宅開栓3本目の今回,1年半かけてじっくり飲み進めました。

前回記事にした通り,抜栓後速やかに改善するとはいえオフフレーバーもあるボトルだったのですが,今回のテイスティングでは硝煙は明らかに消失し,干し椎茸のようなニュアンスは自分的にはもはや良いオールド感としてポジティブに捉えられる程度でした。
そして,開栓時よりシェリー感が全体に溶け込んだような印象で,その主張が穏やかになったことに伴ってか,ボウモアらしい熟したマンゴーのようなトロピカル感が香味共に明らかに感じやすくなりました。
ちなみに開栓後1年半,残り1/5程度でこの素晴らしい状態になったのですが,あまりに感激してしまい,今回のテイスティングですべて飲みきってしまいました。(笑)

最近,ご縁があって久しぶりに有楽町キャンベルタウンロッホさんのボトリングした伝説と言われるケイデンヘッドのボウモア1993を飲む機会に恵まれました。
このボウモア1993は,自分の評価も【Excellent】で,死ぬ前に飲むボトルと決めているくらいなのですが,今回のBBRのメゾン向け1994,さすがにそこまで突き抜けたトロピカルフルーツはありませんが,シェリー感をベースにヨードもある迫力のあるピートとボウモアらしいトロピカル感の共演という意味では,他のどの1993ボウモアよりもキャンベルボウモアに近いボトルなのではないかと思ってしまうような素晴らしさでした。

私が今まで自宅開栓して飲んだボトルは,相当時間をかけて飲んだものも含めて400本程度ありますが,開栓後変化でここまで感動してレートを大きく変えたボトルは初めてでした。

そうなると,未開栓で残っている同ボトルがこれから瓶内熟成でどういう変化をして我々を楽しませてくれるのか,そして他の90年代ボウモアに関してもどんな変化をするのか,今から楽しみで仕方がありません。

モルトの楽しさ,未来ををまた感じてしまい,とても幸せでした。


 
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2014.10.30【日記】

ニューリリース:アードベッグ オフィシャル スーパーノヴァ 2014リリース

スモーキーで刺激的なアードベッグでした。

 

アードベッグ ARDBEG OB SUPERNOVA COMMITTEE SN2014 RELEASE 55%


香りは強い金属、塩素、スモーキーなピート、熟したオレンジ、バニラ、ナッツ、若い麦感、飲むと刺激的、強いスモーキーなピート、ナッツ、若い麦、濃いめの甘味、アルコール感、コクあり、長めの余韻。

【Good/Very Good】


アードベッグがフェノール値100ppmという同蒸留所で最も強くピートを炊きこんだモルトで仕込んだウイスキーがスーパーノヴァで,何年か前に流通していましたが,最近は作られていなかったようです。
それが,アードベッグの宇宙実験(無重力での熟成実験)を終えた記念に今年またボトリングされました。

想像通りの強いスモークを伴うピートが感じられ,アードベッグらしい鋭い金属感や塩素のニュアンスはことさらに強調されて感じるように思いました。
若い原酒なのか刺激のあるアルコール感も強かったですが,甘味も強く感じられ,コクもあり余韻も長かったです。

最初にリリースされた時に話題になり,購入して家で飲んでいたのですが,ドライで鋭く,金属感もかなり強かったためちょっと私の好みからは外れていました。
今回のものも,かなり鋭く荒々しさもあり金属感も強いのですが,以前飲んだものよりは美味しく飲めました。

私が変わったのかスーパーノヴァが変わったのかは不明ですが,どうやらシェリーカスクの原酒を加えて趣を変えてはいるようです。



そういえば,私が主にモルトをいただいている有楽町のキャンベルタウンロッホさんでは,ニューリリースが開栓される頻度が昔に比べて明らかに高くなったように思います。理由としてはオールドボトルの枯渇ということではなく,90年代蒸留のものを中心にニューリリースで良いもの・面白いものが増えているのが大きいと思います。もちろん,お店では以前同様に新旧織り交ぜて楽しいコースを堪能させていただいておりますが。

私のブログでは,周囲からのご要望もあり,共有していただきやすいということもあり,ニューリリースを優先的に掲載するようにしているのですが,ここのところ,オールドボトルの掲載が追い付かなくなってきています。テイスティングノートはずいぶん溜まっています。特にオールドボトルに関して,ブログをご覧いただいてお店に行ってももうなくなってしまっていることもしばしばだと思いますが,どうかご了承ください。きっと代わりの美味しいものが開いています。

上記の如く掲載に関しては悩ましい部分もありますが,ニューリリースが楽しく美味しいということは,未来を考えると喜ばしいことだなぁと思いますね。
そんなわけで,これからもしばらくニューリリースの掲載が高頻度で続く予定ですが,ご理解のほど宜しくお願いいたします。


 
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2014.10.15【日記】

ロングモーン 1975 31年 ウイスキーフェア

長熟スペイサイドらしいロングモーンでした。

 

ロングモーン LONGMORN 1975-2007 31yo THE WHISKY FAIR 52.9%
one of 116 bottles, Bourbon Hogshead



香りは強めのウッディネス、アプリコットジャム、マーマレード、バニラ、ミント、ハーブ、奥からこなれた麦感、リッチ、飲むと滑らかな口当たり、アプリコットジャムやパイナップルの濃い甘味、良いウッディネスのタンニンの渋味、ミント、バニラクリーム、オイル、リッチで熟成感のある長い余韻。

【Good/Very Good】


リンブルグウイスキーフェアから2007年にボトリングされたロングモーン1975,31年熟成です。

香りはまず強いウッディネスが感じられ,その後ジャムのような濃縮感のあるアプリコットやオレンジが感じられ,バニラやハーブのニュアンスもあってリッチでした。
飲んでみるとやはりジャムっぽい甘味が強めで,パイナップル系のトロピカルフレーバーも顔を出します。ウッディネスは香り同様に強めで,タンニンも強めに感じますが嫌味になる手前に留まっているようでした。
ややクリーミーでオイリーなテクスチャーがあり,リッチで熟成感のある余韻は長かったです。

同一ヴィンテージのLIFEのロングモーンのようなはっきりとしたトロピカルフレーバーはありませんでしたが,熟成感がありリッチなロングモーンでした。ややウッディネスの主張が強く過熟な気もしましたが,長熟スペイサイドらしい香味でした。

そういえばこのボトル,発売した約7年前に自分でも買って1本飲んでいるのですが,当時飲んだ時とあまり変化が無いように思いました。
特にボトリング当初に飲んだものは,5年くらい経つとちょっと雰囲気が変わってくることが多いように思うのですが,今回はそうでもありませんでした。
ボトリングの段階で,すでにかなり熟成しきって安定しているということでしょうか?
確かに長熟のカスクストレングスは,オールドでも瓶内での経年変化が少ないことが多いように思いますし。
もしかすると似た系統のボトリングが多いエージェンシーあたりのボトルも,良い意味でも悪い意味でも瓶内での変化度が少ない可能性が高いような気がします。
度数が高いものも低いものも含めてそこそこの本数が家にありますが,開けるタイミングを考えてしまいますね。。。

 
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2014.08.24【日記】

自宅テイスティング:インチガワー 1974 35年 ウイスキーエージェンシー フラワーズ

エージェンシーらしさにビタミン剤っぽさが加わった面白い味わいです。

 

インチガワー INCHGOWER 1974-2009 35yo THE WHISKY AGENCY “Flowers” 57.3%
one of 195 bottles, EX-BOURBON HOGSHEAD



・香り:
強くエステリー,華やかな香り立ちで熟成感あり,パイナップル,洋ナシ,熟したオレンジ,少しバナナ,ワックス,バニラ,時間と共に蜂蜜が強まる,白い花のフローラル,ジンジャーエールのようなショウガ,軽やかなモルティ,奥からビタミン剤とミント,淡くビタミン剤。

・味わい:
滑らかな口当たりから広がる,じわりと刺激,香り同様に多彩なフルーティ,洋ナシやパイナップル,ショウガ,旨味もある麦感,コクのある蜂蜜の甘味が強いがしつこくない,ほど良い酸味,ビタミン剤っぽいケミカル感あり,フルーティと共に余韻まで残る。

・余韻:
多彩なフルーティとビタミン剤っぽさ,わりと長めの余韻。

・加水:
よりフルーティになり特に柑橘が強まる。蜂蜜の甘味はそのままで,ケミカル感は減少する。少量なら加水後の方が良いかもしれない。

・総評:
エージェンシーらしいエステリーで多彩なフルーツを感じる長熟モルト。
優しいコクのある蜂蜜の甘味とビタミン剤のようなケミカルフレーバーも印象的であった。

【Good/Very Good】


THE WHIKSY AGENCYが2009年にリリースしたFlowersというシリーズのうちの1本,インチガワー1974,35年熟成です。
リリース当時に有楽町で飲んで,ビタミン剤っぽさが非常に面白かったため,個性をを感じやすい1本として購入していたのでした。
その個性を久しぶりに味わってみたくなり,また,モルト仲間達はこれをどう思うのか気になったため,ブラインドでの出題も視野に入れて開栓してみました。

前回飲んだ時にはもっとケミカルな感じがプンプンしていたように思ったのですが,今回はどちらかというとエージェンシーらしいエステリーさと多彩なフルーティが全面に出ているように思いました。
当時はこういうエステリーなリリースがエージェンシーからたくさん出ており,同時に飲むことも多かったためにマスクされていたのかもしれません。
とはいえ,やはり香りの奥から,そして飲んでみると味わいにおいてもしっかりと独特のビタミン剤のようなケミカルフレーバーが感じられました。
ブラインドで出題した際に,信頼しているテイスターさんからも同様の指摘があり,やはりこのボトルの個性のひとつのようですね。


私はケミカルという表現を以前からベンリアックなんかを中心によく使っていて,最初の頃は聞き慣れない表現でもあり恐る恐る書いていたのですが,最近は気のせいか結構いろんなところで聞くようになった気がします。
今回のボトルは,私がしばしば言及するベンリアックやトマーティンなどのトロピカルフルーツに付随するようなケミカル感(小児用シロップ薬のような)とは違う方向性ではありますが,こういうビタミン剤っぽいケミカル感を感じるボトルってたまにあります。
ケミカルはそれほどポジティブな意味では使わないのですが,かといって必ずしも嫌な個性というわけでもなく,このボトルのようにそれが面白くてボトルを購入することもあります。
ビタミン剤のようなケミカルフレーバーは長熟でエステリーなものに感じることが多く,蒸留所の個性というよりは,熟成の過程ででてくるものなのかもしれません。


 
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2014.06.13【日記】

グレンオード 1962-1984 22年 サマローリ ブーケ

圧倒的。何も諦めないタイミングで詰められたボトルだと感じます。

 

グレンオード GLENORD 1962-1984 22yo SAMAROLI BOUQUET 58%
one of 720 bottles



香りは強く芳醇、粘性を感じる濃縮感、濃厚なアプリコットジャム、熟したプラムや梅、煮詰めた紅茶、カラメル、黒糖、しっとりと強い麦感には焦げたニュアンスあり、カスタード、レザー、シナモン、ミント、ナッツ、ヒノキや香木感もありアンティーク家具のようでもあるウッディネス、奥から裏打ちするようなオールドピート、飲むと力強いアタックから芳醇に広がる、とろりとした粘性のあるテクスチャー、アプリコットジャムのコクの強い甘味、梅ジャムの酸味、厚みのあるウッディネスと淡い渋味、舌にしみ込む強い麦の旨味、淡いオールドピート、何層にも重なっているような深みがありフルボディ、この上なくリッチ、長い長い余韻。

【Excellent】


サマローリが1984年にボトリングした,グレンオード1962ブーケ。
22年熟成のフルプルーフで,伝説級とされているボトルのひとつです。
出会えたのは今回で3回目でしたが,今までで一番じっくりとテイスティングできたと思います。コメントが長くなってしまいましたが。(笑)

香りは力強く芳醇で,濃縮感のあるジャム感や梅のニュアンスのほかに,プラムなどのフルーツには不思議にみずみずしさも感じます。刺々しさが無く丸みのある麦感もしっかりと感じられ,樽のウッディネスも多彩で複雑さや深みを出しています。裏打ちするようにオールドピートの主張があったのもまた良かったです。
出会いがしらはちょびっとだけ近寄りがたい印象もあるのですが,そこから一歩進むごとに次々に香りを拾っていくことができ,気づくと導かれたように奥深いところまでたどり着いています。そんなノージングはとても楽しいです。

飲んでみると,刺激は強くありませんがフルストレングスらしい力強い口当たりからぐわっと口腔内と鼻腔に広がってきます。
そして香り同様に,どんどん複雑なフレーバーが現れてきます。粘性を感じる濃縮感があり,ジャムのコク深い甘味と酸味,ウッディネスに伴う心地良い渋味,そしてしみ込んでくるような強い麦の旨味,これらがそれぞれまとまりを保ちながらもしっかりと主張してきます。
そして,なんといってもベースにボディと迫力が十二分に感じられることは特筆すべきでしょう。

素晴らしい厚みのある土台の上に,幾重にも重なる構成成分,高次元でバランスのとれた味わいがギュッとおさまっているようなイメージです。
バランスが取れているからといって優等生的というわけではなく,どこか荒々しさも残しているあたりがまた魅力的です。

ボディが無くなっていく前にボトリングするというのがサマローリ氏のポリシーだったようですが,このボトルはまさにボディを残して詰めるベストなタイミングだったのだと思います。
そして,これだけのボディがあるのに香り・味わいとも複雑で熟成感があり素晴らしいというのがこのボトルを含む80年代詰めサマローリの特にとんでもない部分だと感じます。

ここからは私の想像も多く含む内容になりますが,
樽熟成において,これ以上熟成期間が長いと何か大切なものを失いながらしか新たなものは得られないというタイミングがあるようです。
例えば長熟でうっとりするようなエステリー&フルーティを感じるものの多くは,ボディや厚い麦感が失われていると感じることが多かったりします。
実際,多くの樽においては,このオードのようにボディを十二分に残してボトリングした場合,複雑な熟成感を含んだリッチなフレーバーは得られないのだと思います。
ですからきっと,普通はボディなどを犠牲にしながら熟成感を得て,全体のバランスをみながら払い出しのタイミングを考えるということが多いのではないでしょうか。

また,複数樽のヴァッティングということも,このクオリティにはかなり寄与しているように思います。

この時代の原酒と樽のクオリティが高く,しかもそんな中でも厳選した樽のヴァッティングだからこそ,こんな伝説級のものが生まれたのだと思います。


なお,バーボン系の樽が主体にはなりますが,オフィシャル現行品の素晴らしい樽においても,ボディを残しながら熟成感もあるというタイプのものが最近は散見されるようになりました。
これらの樽が長期の瓶内変化の後どういう仕上がりになるのか,今回のオードを飲んで改めて楽しみになりました。



このボトルは,三越前のIANさんでいただきました。


 
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