2015.07.22【日記】

プチSBT from 大島さん


モルト仲間の大島さんから,プチSBTのサンプルが届きました。

さっそく挑戦させていただきました。

 

プチSBT from 大島さん


・香り
良いシェリー,黒糖,プルーンやベリー,ドライフルーツ,ビターチョコレートやアメリカンコーヒー,香ばしい麦が奥から出てくる,少し粘土っぽいアーシー,セロリなどのハーブ,ベリージャムの乗ったデニッシュ。

・味わい
アタックは強くなく滑らか,高貴さは無いが嫌みの無い良質なシェリー,香り同様の濃厚なフルーツ感,ジャム系の濃い甘味と薄いコーヒーの渋味が良いバランス,少しアーシーな野暮ったさとレザー,デニッシュ,ナッツ,麦の旨みも奥から染み出してくる,リッチで甘く長めの余韻。

・総評
近年系の要素も含まれているように感じるが,嫌味のないシェリー感が全体を覆ったモルト。
多彩なフルーツ感とその濃い甘味,コーヒーのような渋味,そして穏やかなアーシーさが印象的だった。
口当たりも穏やかで,オールドではないがこなれたニュアンスも伴う飲み心地の良さも好印象だった。
※実は最初に飲んだ時にはモロ近年という印象だったのだが,2回目3回目とどんどんこなれた方向に印象が変わった。

蒸留所予想はシェリーの印象を中心に考えた。
デニッシュなどの最近のPXのドロナックに近い要素も薄く感じるが,近年ものにしては引っ掛かりがなかった。
アーシーさを伴うシェリー感というと,個人的にはドロナックやファークラスが思い浮かぶ。
ピンと来たのはこの2つ。
土の中に少し感じた粘土っぽいニュアンスはドロナックに感じやすく,第一印象はドロナックだったのだが,時間と共にファークラスっぽくなったように思う。

ヴィンテージはサルファリーの無いシェリー感であり,近年っぽさもあるので90年くらいのように思うが,時間と共にもう少しこなれたニュアンスも出てくる。うっすらだが70年代が頭をかすめるような要素もあり,ちょっと悩んだ。
逆に70年代に近年系のニュアンスを感じることはほとんどないなので,最終的にはサルファリーの無い80年代後半から90年くらいの予想とした。
度数落ちのCSなのか高めの加水なのかでもやや悩んだが,オフィシャルっぽさも感じ後者予想とした。オフィシャル加水なら2000年前後流通の良いものだろうか。

【Good/Very Good】
 
予想蒸留所:①グレンファークラス、②グレンドロナック、③なし
蒸留年:1990年前後
熟成年数:20年程度
度数:46%程度
カスクタイプ:シェリーバット


以上のようなテイスティングと予想で回答メールをお送りしました。
 
正解は・・・、











マッカラン MACALLAN 1990 18yo OB 43%

7年くらい前にボトリングされたマッカランの18年でした。

スペックはほぼ当たっていましたが,これは上記2択で間違いないかなと思っていたのでショッキングでした。

出題者の大島さんの意図としては,最近のマッカランは美味しくなくなったとしばしば言われますが,ボトリング後に本領発揮するのに時間が掛かるタイプなのではないかという疑問があり,時間を掛けてあげればそんなに悪いものではないのではないかということを検証したかったということでした。

確かに,近年のシーズニングしたシェリーカスクのマッカランのシェリー感は,わたしもあんまり好みとは言えませんでした。(あとはハイランドパークなどエドリントングループの蒸留所のものには同様の個性をしばしば感じます。)
しかし,今回のボトルは近年の要素はあったものの,あからさまなサルファリーも含めてそういう苦手要素が前面に出たものでは無かったです。
というか,近年系のシェリーカスクのニュアンスだったので,そういう出題意図なのではないかと疑っていた部分もあり,マッカランっぽいシェリー感を探しに行った部分もあったのですが,検出できませんでした。
私のスキル不足という面もあったとは思いますが,やはり好ましい方向に変化しているのだと思います。

90年代蒸留のシェリーカスクで,買った時にサルファリーだなとか,醤油っぽいなとか,生臭いなと思ってそのままになっていたものが,時間が経って抜けたりすることは自宅においてもしばしば経験します。
BARでも,「これ,10年前の詰めたてはかなりサルファリーでしたよ」なんて言われたボトルに,その要素のかけらも感じられないこともしばしばあります。むしろ好ましい成分に変化して複雑さを増しているのではないかと思うくらいです。
私の大好物である60年代の高貴なシェリーカスクのものだって,詰めたてからあそこまで魅力的だったかと言われると,当時飲んでませんし自信がありません。時間を経て変化した結果であるのだとも思います。

60年代のシェリーカスクと同様の個性が,シーズニングシェリーのものが瓶内変化することででてくるかと言えば,それは難しいのではないかと個人的には思います。
とはいえ,現行のシェリーカスクのものをリリースしたてで飲んで美味しくないと判定するのは時期尚早であるということを,改めて認識させていただきました。

前述のとおり,昔のシェリー樽のボトリング時の味を知るすべはもはやありません。
エドリントンのシェリー樽以外にも,現行ニューリリースのシェリー樽にはいろんなタイプがありますから,それをしっかり飲み込んで,10年後,20年後,30年後にこう変化したというのがわかるように,そしてそれをその時のドリンカー達に説明できるようにしておきたいですね。
気の長い話ではありますが,とても楽しみでもあります。

 

大島さん,大変考えさせられる出題をありがとうございました。


 
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T.Matsuki

近年流通のボトル,特にシェリーカスクのものに関するこういう話は,大島さんと有楽町でもよくしていますが,実際にブラインドで飲んでみて改めて実感することができました。

適切な期間寝かされたオールボトルを美味しいと思うことは多いですが,現行品にも適切な期間を与えてあげてから評価したいというお話,同感ですね。
その辺も踏まえてニューリリースを購入しておけると,おいおいいろんな意味で楽しむことができそうですよね。

何よりそういう感覚を持っていると,ウイスキーの明るい未来を想像しながら楽しむことができますしね。

こういうテーマで検証したいボトルは私のところでもたくさん眠っていますので,開栓したら是非ご意見を伺わせてください。

  • Posted byT.Matsuki
  • at2015.07.23 22:11

お付き合いいただきありがとうございました。
テイスティングも的確で、ヴィンテージやスペックもほぼ正解でしたね、さすがです。

私は常々、『オールドボトルも最初からうまかったとは限らない。オールドボトルと同じ時間を現行品にも与えてから評価したい』と思っています。
現行品でも、今仕上がっていておいしいものと、時間を必要とするものが混在していますからね。

新旧いろいろなウイスキーを飲み、リリース時はどうだったか話を聞いていると、将来の変化がだんだんわかるようになっていく気がします。

このボトルは、変化を検証しようと数本買って寝かしていたものでした。
香りからエドリントンの近年シーズニングシェリーで、分かりやすいかな?と思ったのも、マッカランを選択した理由でした。
ただ、飲むとアーシーで、マッカランらしい華やかな果実感が出るにはもう少し時間を必要とする感じがしましたね。

今のボトルを酷評するのは簡単ですが、伸びシロも含めてよさを探していくと、もっとウイスキーが楽しくなりますよね。
同じボトルの未開栓もまだありますので、あと何年かしたらまた検証したいです。
その時もよろしくお願いします!

  • Posted by-
  • at2015.07.22 06:17

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T.Matsuki

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