ストイックなドリンカーの日々 ~Drinker's Diary~

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モルトウイスキーをこよなく愛する男の日々のテイスティングや考えたことを掲載します。

2016.06.13【日記】

ニューリリース:ロングロウ 1994-2016 21年 オフィシャル キャンベルタウンモルトフェスティバル2016 スプリングバンクオープンデー向け

感動するほど美しく美味しいロングロウ。ニューリリースでこれほどの感動は久しぶりです。

 

ロングロウ LONGROW 1994-2016 21yo OB for Springbank Distillery Open Day Part of the Campbeltown Malts Festival 2016 46%   
one of 216 bottles, Refill Bourbon Cask



香りはこなれており非常に華やか、粉っぽさを感じる凝縮感、フリーズドライにしたグレープフルーツやレモン、バニラ、白い花、乾いた麦感、淡くフレッシュチーズ、海を感じるミネラル、奥から干草を燻したような穏やかなスモーク。
飲むと刺激は少なく、じわじわと旨味や甘味が舌に染み込むようなテクスチャー、粉っぽい噛み応えあり、上品なグレープフルーツの甘味と酸味、少し洋ナシ、優しい麦のと魚介の旨味、ミネラリーでしっかりブリニー、スモーク優位のピートはあるがロングロウとしてはだいぶ穏やか、うっとりするような陶酔感のある余韻は長い。

【Very Good/Excellent】


今年のキャンベルタウンモルトフェスティバルにおける5月19日、スプリングバンク蒸留所のオープンデーに出されたロングロウ1994、21年熟成です。

香りの第一印象から驚きのこなれた華やかさで、モルトの香水と言われた昔のスプリングバンクを彷彿とさせるような陶酔感のあるフルーティかつフローラルな香り立ちでした。
バーボンカスクの香りではあるのですが、樽で強引につけたようなニュアンスが全くなく非常にナチュラルでした。何よりも加水と思えないほどの強い凝縮感が魅力的で、柑橘を中心としたフルーツにこなれた麦感、それに加えてロングロウらしいミネラル感やスモークもありますが、これらは思いのほか穏やかな形で主張してきました。

飲んでみると熟成した加水らしくこなれていますが薄い感じは全くせず、香り同様の華やかなフレーバーがふんわりと広がり、舌全体にじわじわと染み込んでくるようでかつ粉っぽく噛み応えのあるようなテクスチャーも非常に魅力的でした。
柑橘系メインの華やかなフルーツの甘味と酸味、熟成してこなれた麦やロングロウらしい牡蠣っぽい旨味も露骨でない程度に主張してきます。華やかなのに全体に強引な主張がなく落ち着いた風格があるのも特徴的と感じました。
ピートに関してもそうで、最近のピーティなスプリングバンクよりも淡いのではないかというピート感で、ロングロウというより昔のスプリングバンクのようでした。

近年のスプリングバンクやロングロウは、荒削りで雑味も多く、そのぶんスケールの大きさや成長力を感じるものが多い印象で、そのあたりも含めて評価している部分もありました。
ピートの出方も違っていて、昔のものとは少し違った尺度で味わっているところがあったと思うのですが、今回のロングロウは、無意識に昔の尺度で味わってしまうような完成度の高いタイプでした。
完全に現時点で熟成して仕上がっている印象で、特別な1樽として選ばれたことにもうなずけます。

リフィルホグスヘッドの加水で216本しかとれていないというエンジェルズシェアの多さもこの熟成感には関与しているようにも思いますが、似たようなニューリリースには出会ったことがありません。


現在でもフロアモルティングをやっている蒸留所はいくつかありますが、それでも大部分を製麦業者に頼っているのが現状です。そんな中でもフロアモルティング100%で仕込んでおり、モロミの度数も高いのが当たり前の現代でもまだ昔と変わらない造りをしているスプリングバンク。
恐らく他にも私の知らない旧式の行程があるのだと思います。その結果が今回の隔世遺伝というか突然変異というか、びっくりするような樽の出現につながったのではないかと感じてしまいました。

大量生産・品質安定の方向に向かう業界の中、手作りの要素が多い分、きっと品質にもバラつきが出ていると思われ、それが昔のスコッチにしばしば感じた品質や個性の"揺らぎ"という部分につながっているのではないかと思うのです。
もちろん高品質なものを安定して作れることも非常に重要ですが、スプリングバンクには今後も今のスタイルを貫いて欲しいと改めて思いました。


余談ですが、私がここ10年くらいのニューリリースでリリース直後に飲んで最も素晴らしいと思ったものはBBRがウィスク・イーさん向けに詰めたレトロラベルのロングロウ1992でした。
それ以来の衝撃的なニューリリースが今回のロングロウです。前回は樽の影響が大きいかもしれないと思ったのですが、今回はほとんどすっぴんでこの陶酔感です。
やっぱりすごい蒸留所なんだと思います。



 
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T.Matsuki

いやはや、このボトルには驚かされました。
のっけから突き抜けたニューリリースで驚きました。
すでに仕上がっているといえるような完成度の高さで、こなれた複雑な香味でした。

確かにあのタイミングで買いに行ってもらえてなかったら、ほぼ間違いなく飲めないボトルでした。
奇跡的ですね!!

本文にも書きましたが、スプリングバンクはやはり特別な蒸留所だと思います。
現行のスプリングバンクを好きなモルト飲みには、きっといろんな意味で許容範囲が広く成長力やスケール感を評価できる人が多いと思います。

どこかで開いたら飲みに行ってしまいそうで、私も次に飲むのを楽しみにしています。

  • Posted byT.Matsuki
  • at2016.06.14 23:12
Ohshima

衝撃的なうまさのロングロウでした。
フェスティバルのオープンデー向けですぐに売り切れたことや、本数の少なさを考えると、これに出会えてかつ飲めたのは奇跡じゃないかと思います。

1973と1974にだけ蒸溜されたロングロウが、蒸溜を再開したのは1987だと思いますが、私が知る限り蒸溜再開後にみた初のロングロウ21年でした。
250£と結構な値段だったこと、そしてあまりいけてないラベルだったことで、そんなに期待していませんでしたが、飲んでなにこれ!?という感じでしたね。

リフィルバーボンカスクで21年、樽の味と原酒本来のうまさの両立を見事にはかっていました。
最近のスプリングバンクよりピートが柔らかく、完成しきったニューリリース、この蒸溜所の特性を考えるとまだ伸びしろがあるという点で、オールドの21年を越える気がします。
現在のオールドの21年の値段を考えると、破格の値段だとすら思いました。

1994の10年がバーボン樽熟成で、93ラフロイグに通じるフルーツ感が出ていて、すごい好きだったのでロングロウの1994には注目していましたが、このボトルで確信に変わりました、

先日、キャンベルタウンのフェスでこれを買われたという英国の紳士が有楽町にいらしてましたよね。
スプリングバンクソサエティーの白いポロシャツを着て、家にあるキルケランやいろんなボトルの写真を嬉しそうに見せて下さいました。
スプリングバンクラバーは、古いものだけではなく新しいものも楽しむイメージがありましたが、万国共通なのかな、と思いました。
いろんな思い入れや思い出があり、本当に忘れられないボトルになりました。
次に飲む機会を楽しみにしています。

  • Posted byOhshima
  • at2016.06.13 08:10

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