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Glen Catrine De Luxe (グレン・カトリン デラックス)


Glen Catrine De Luxe
(グレン・カトリン デラックス)

43% 750ml U-D-247
ブレンデッド U-D-170

オークションで落札したこのボトル。
グレン・カトリンといえば、今年3月にリリースされた「ダフタウン 1978 34年 スコシア・ロイヤル」を売り出した会社名(通称グレン・カトリン社)という記憶があります。

今まで「グレン・カトリン」という名前を聞いた事がなかったので調べてみました。

グレン・カトリン社自体は1974年に操業したインディペンデント・ボトラー(独立瓶詰業者)のようで、その名前は「A.バロック社(A. Bulloch & Co. )」という酒類卸売大手の会社の保税倉庫の名前が由来のようです(「Glen Catrine Bonded Warehouse」)。
詳細は不明ですが、「グレン・カトリン・ボンデッド・ウェアハウス社(Glen Catrine Bonded Warehouse Co.Ltd)」という会社もあり、上記のボトラー「グレン・カトリン社」と同じ会社なのかは不明です。専門書によると、「グレン・カトリン・ボンデッ ド・ウェアハウス社」はその後「ロッホ・ローモンド蒸留所会社(Loch Lomond Distillery Co.ltd)」に社名を改めているそうですし、「グレン・カトリン社」が現在もボトラーズとして活動している様子を見ると、違う会社なのかも知れませ ん。

また、グレン・カトリン・ディスティラーズ社(Glen Catrine Distillers)という会社が「Glen's」という商品名でジン、ラム、ウォッカを販売していますが(参照:マスター・オブ・モルトHP)、これもまた、ボトラーズのグレン・カトリン社と一致するのかは確証がありません…。

A. バロック社の歴史に目を向けると、1842年にガブリエル・バロックさんがJ.H.デュワー社と提携してスコッチウイスキーの貿易業を始めたところから話 は始まり、1940年代後半までは家族経営の小さな酒屋だったようです。当時からウイスキーだけでなくジンやウォッカの樽を購入し、オリジナルボトルを 売っていたそうです。その後も事業が拡大し、オリジナルボトルの原酒を確保が困難になったため、同社は1985年にロッホ・ローモンド蒸留所を買収。さら には、1993年に連続式蒸留機を2基、1999年にポットスチル2基を増設しています(1994年にはグレン・スコシア蒸留所も買収)。
参照リンク:ロッホ・ローモンド蒸留所公式HP

しかし、専門書を見ても、現在のロッホ・ローモンド蒸留所、グレン・スコシア蒸留所の所有者は「ロッホ・ローモンド蒸留所会社(Loch Lomond Distillery Co.ltd)」とあるだけで、「A.バロック社」という名前は見当たりません。

そして今回のボトル「グレン・カトリン」ですが、表ラベルに「グレン・カトリン・ブレンダーズ(Glen Catrine Blenders)の表記がありますが、社名表記(Co.Ltdなど)になっていないので、詳細は分かりません。しかも現在は販売していないようで、詳細な販売時期も調べることができませんでした。特級、従価税表示はないので、1989年以降も販売していたということでしょうか。

とにかくいろいろな会社名が出てきて頭が混乱してしまいました(笑)。輸入元の泉国際産業という会社の情報もネット上に見当たらないし…。どなたか詳しいことをご存知でしたら、ぜひ教えてください。

ただ、今回勉強になったのは、ロッホ・ローモンド蒸留所にはモルトウイスキー用のポットスチルだけでなく連続式蒸留機が併設されていることは知っていました が、その理由が自社のジン、ウォッカ等(Glen's)の原酒を製造するためということが理解できたことです(もちろんグレーンウイスキーの製造も)。
また「ダフタウン 1978 34年 スコシア・ロイヤル」の記事にも書いた、「スコシア・ロイヤルシリーズのボトルと、オフィシャルのグレン・スコシアのボトルの形状が同じ」という点も、資本が同じだからと推測できます。

こういったことも理解した上でウイスキーを飲むのは有意義だし、より味わい深くなる、、、と思ったら、肝心の味はいたって普通でした…(笑)。
 


【アロマ】
グレーンウイスキーの甘い香りが目立つトップノート。ナッツ、溶剤、アーモンドチョコレート。遠くから嗅ぐと樽香が感じ取れる。
加水すると香り自体が弱まるが、フラワリー香が出てくる。

【フレーバー】
やはりグレーンウイスキーのニュアンスが目立つ。違和感があって、甘ったるい。
加水で酸味が出てきて、やや自然な味わいの印象になる。

【総合評価】
いわゆるオールドの安ブレンデッドという感じで、グレーンウイスキーの香味が支配的。ストレートで飲み続けるのは辛い。
 


【追記】
この記事を書いたあとに「Malt Whisky Year Book 2014」を読んだところ、p.281のボトラーズ紹介ページにこの件に関することが書いてあるのを見つけたので、追記しておきます。

「スコシア・ロイヤル(Scotia Royale)」は、過去に「A.ギリーズ社(A.Gillies & Co)」が所有していたブレンデッド・スコッチ・ウイスキーのブランド名で、同社は1955年から1970年までグレン・スコシア蒸留所のオーナーだったようです。その後、スコシア・ロイヤルは生産中止となりましたが、前述の「グレン・カトリン・ボンデッド・ウェアハウス社(Glen Catrine Bonded Warehouse Co.Ltd)」が1994年にグレン・スコシア蒸留所を買収した際に、スコシア・ロイヤルのブランドも所有することになったそうです。

グレン・カトリン・ボンデッド・ウェアハウス社がスコシア・ロイヤルのブランド名を使用した商品を出すことはありませんでしたが、2012年にインディペンデント・ボトラーとしてオリジナルボトルを販売する際に、このブランド名を復活させたという事です。

「スコシア・ロイヤルシリーズのボトルと、オフィシャルのグレン・スコシアのボトルの形状が同じ理由」は、こういった背景があったんですね。
 


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#ブレンデッド #グレンスコシア #ロッホ・ローモンド

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