Bar.come(大阪・十三のモルトバー)

阪急十三の東口を出てまっすぐ東へ商店街を抜けると、見慣れないボトルがぞろぞろ並んでいます。 コールバーンやノースポートやローズバンクといったポピュラーなもの(笑)から、キンクレースやレディーバーンといったレアなものまで取り揃えております。単にモルトを注ぐだけの店です。 つまみは塩豆のみしか用意していませんので、持ち込みは常識の範囲で自由です。 安心してドアを開けてください。

2006.08.28【日記】

山で飲んだウイスキー

 大学時代は山屋をやっていた。暇はいくらでもあった(今も大して変わっていないのが残念)。アルバイトの日々(これも変わっていない)。金ができたら山へ入った。1日だけのこともあったが、数日はテント生活を楽しむことが多かった。長いときは連続30日以上を、山の中で過ごしたこともある。

 ザックの中に、衣・食・住のすべての道具を詰め込む。50kg以上になることもしばしば。山の中で頼れるのは、自分の足だけである。が、どんな時もポリタンの中のウイスキーは付いて来た。ピューターには憧れたが、中身を買うのがやっとだった。

 3~4人で数日間でボトル1本。足りた例がない。一人一日何杯と決めていても、残雪を見つけてはオンザアイスで、美味い湧き水を見つけては水割りで。だいたい3日目には、ポリタンは空になり、ザックは少し軽くなっていた。

 ある夏、薬師岳に登ったときのこと。2人で立山から入り、3泊の山行きであった。初日の昼の食事休憩で、たまたま老夫婦と仲良くなった。私たちと全く同じ行程で歩くという。小屋泊まりの彼らの方が発つ時間が早く、テントを畳んでパッキングしてから発つ我々は、昼に追付く。午後は、4人で山を楽しんだ。

 最後の日、薬師岳の頂上で、ご主人がピューターをDパックから取り出された。小型の銀色に光るそれは、ご夫婦のように年季が入っていたが、山男の小道具として輝いて見えた。よほど物欲しげな目でみたのだろうか。私たちにも、中身の方を、少し分けて下さった。いい香りに包まれたことは記憶に新しい。

 足音以外に人が生み出す雑音のない世界。ピーンと張り詰めた美味い空気しか存在しない世界。テンとオコジョと雷鳥だけが住む世界。

 傷だらけのシェラカップに注ぐウイスキー

 暇と金が有り余るときが来たら、もう一度あのウイスキーを飲みに出掛けたい。

 
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2006.08.22【日記】

山屋のバー

 大学時代、ちょっとだけ山登りをしていた。取り付かれたように、季節を問わず山で過ごした時期もあった。広島から富山・長野まで出掛けては、北アルプスの山々を歩き回ったものである。43リッターのアタックザックは、汗と傷と思い出を詰め込んで、今も実家に置いてある。

 富山は山屋(登山家などというかっこよさはなかった)にとって、避けて通れない聖地で、よく立ち寄った。山から下りると女よりも先に欲しくなる、野菜サラダと酒を求めてさまよい歩いたものだ。桜木町の外れに、小さな山屋のオヤジ(マスターとう雰囲気ではない)がやっているバーがあり、全国から山屋が集まるので、色々な情報も自動的に集約される。行きは情報収集のため、帰りは最新情報の更新のために、という名目で酒を飲みに寄った。

 大学を出るのと同時に、山屋をやめてしまったので、富山に用事がなくなった。10年以上が過ぎた。たまたま仕事で富山で一泊することになり、そのバーを思い出して覗くことにした。昔ながらの看板が見えた瞬間、小躍りしてしまいそうになった。リュックと登山靴が、アタッシュケースと革靴に変わった自分は、入っていいものかどうか躊躇したが、勇気を奮ってドアを開けた。

 ちょっと老けたオヤジが、昔のようにブスッと出迎えてくれた。その後、何も言わず奥へ消えた。カウンターに座ってしばらく待っていると、ピカピカのサントリーオールドのビンが、目の前に出現した。確かに大学時代にキープした酒である。ちゃんと大学名と、その時一緒に行ったメンバーの名前が白いマジックで書かれていた。中身はほとんど残っていなかったが。

 昔から口数の少ないオヤジで、ワンポイントしかものを言わないが、的確なアドバイスをくれる人であった。「ロックでいい?」と返事も待たずに、ちょっとへこんだシェラカップに酒が満たされた。懐かしく楽しい数時間を過ごした。時々ボトルを磨きながら、山で落ちていないことを祈っていたという。だから、何年たっても山屋達の顔を覚えていられたそうだ。

 数年前に、富山を訪れたときには、もう店はなかった。磨かれたボトルはどに登って行ったのか。

 
 
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