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117. ブリュードッグ(ローンウルフ) / Brewdog(Lone Wolf)その2

2017.5.20

 前日から続く過剰飲酒と睡眠不足により、ツアー中に睡魔のピークが来てしまった私。とはいえ、こんなせっかくの機会を逸するわけにはいかないので、文字どおり頰をつねりながらツアーの続きです。
 しかし、食堂を出た私の目に飛び込んで来たその景色は、私の目を覚ますのには十分なインパクトのあるものでした。

(きたー!ローンウルフ蒸留所です)

 2016年、4月に蒸留を開始したこちらの蒸留所。当面はジンやウォッカの蒸留を行うということですが、当然ウイスキーも蒸留している様子。しかし、そこはブリュードッグ、果たしてどのようなウイスキーを作っていくのか、とても楽しみです。

(スチルは全部で4基。いわゆる"普通の"見慣れたスチルは、一番右のランタン型ポットスチルのみ。一番左にある「パイロットスチル」は、容量なんと50リッター)

 正面に置かれた二つのスチルはウイスキー用で、左のなんとも奇怪なデザインの方がウォッシュスチル、右手がスピリットスチルとのことだが、これがとにかく面白い。
 ウォッシュスチルに対する説明で「この形にすることによって、より銅の作用を受けたスピリッツを取ることができる」というようなことを言っていた。理屈としては分かる。これだけぼこぼこさせればスチル内での逆流液も増えるだろうし、その分「凝縮・再蒸発」は細かく繰り返され、サルファリーからエステリーへの転換もされやすいのだろう。しかし、なんというデザインか。話によると、夢に出てきたスチルのデザインを相談したところ「面白そうだね」ってことで採用されたらしい。もう、さすがとしか言いようがない。
 さらにはそれぞれのコンデンサーにも特徴がある。通常のコンデンサーより細く、いくつもの窓があるように見えるこちらのコンデンサーはなんと温度のコントロールが可能になっている。これにより、スピリッツの性格を重くしたり軽くしたり、またミーティにしたりすることが可能ということだった。

(さらに正面右手にある2本の長いスチルにもご注目いただきたい)

 正面にある2基のスチル、左手にあるアランビック型の小さなスチル、そして右手に生えている2本のスチルが、カラムスチル、いわゆる連続式蒸留釜である。
 背の高い方(屋根ぶち破っとるがな。。)は8枚のプレートが仕込まれており、一回の蒸留で80~90%のスピリッツを取り出すことができる。
 ブリュードッグがこれらの変形スチルを使って、どのようなウイスキー(あるいは全く新しいスピリッツ)を作り出そうとしているのか。それはまだ誰も知らない話ですが、それは間違いなくブリュードッグイズムに裏打ちされた、オルタナティブな製品になることは間違い無いでしょう。

(雑然と積まれたダンボールたち)

 ツアーはそこからさらにボトリングプラントの方へ進んでいきます。

(5AMがぐーるぐる)

(さらにはケグに充填する設備もあった。ブリュードッグといえばキーケグの印象ですが、普通にステンの樽もあった)

(施設内のいたるところに、”らしい”アートワークが施されているのが印象的だった)

(タンクにも)

 これでツアーは全て終了。最後にパブまで戻り、もう一杯の試飲をもらって「スランジー!」で解散。
 なんとか最後まで意識を保っていた私ですが、もうビールは入らない。かといって残すわけにもいかず、無理くり流し込むようにしてそいつを煽ると、ふらふらでブリュードッグを後にします。

 エロンからバスでアバディーンにたどり着いたのは19時半も過ぎた頃。しかもこの日は最終の電車でインヴァネスまで行ってしまう予定だったので、アバディーン市内で遊ぶ時間がない。前回スペイサイドフェスで来た際も、すぐにキースまで行ってしまったし、アバディーンはホントに通過するだけになってしまった。
 この日のタイムテーブルをおさらいすると、7:00ダブリン発 8:40アバディーン空港着 10:00オールドメルドラム 11:00グレンギリーツアー 14:00エロン 16:00ブリュードッグツアー 19:40アバディーン 20:15アバディーン発 22:34インヴァネス着 おやすみなさい!というもの。ホステルについてからの記憶はほとんどないような状態で気絶。タフで長い一日でした。

#Lone Wolf

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