てんてこまい蒸留所巡りの旅 in スコットランド

てんてこまい蒸留所巡りの旅 in スコットランド

金無し、伝手無し、語学力無し。バックパッカーでスコットランド蒸留所巡りの旅に出たいと考えている全ての人へ。

2018.11.06【日記】

【Day 2】キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル その3

2017.05.25

 朝から二つマスタークラスを終え、おおいに酔っ払っている。もう。疲れちゃった。。な。。みたいな気分を引きずりつつ、エントリーフリーだったスプリングバンク蒸溜所の見学をサクッとします。

(いい天気。太陽さんさんですが、この写真を撮ったのは16時過ぎのこと。まだまだ明るい)

(みんな大好きスプリングバンクのスチル)

 しばらく所内をふーらふーらと彷徨っておりましたが、これ以上ふらふらしていてもしょうがない。夜のために少し体力を残しておこう、と一旦宿に戻りシエスタとしけこみます。

 一旦宿に帰り、ベッドに潜り込んだのが17時ごろ。次に目を覚ましたのが19時ごろで、そろそろ酒でも入れようかと、起き出して街へ繰り出します。しかし、朝起きてから、酒を飲む。酔う。寝る。酔いが覚める。酒を飲む。しかしていない。最高である。

(キャンベルタウンの湾。つまりキャンベルタウン・ロッホ。この時時刻は19時過ぎ。まだまだ明るい)


(ファインエールズとのコラボビール。スプリングバンクのピーテッド麦芽を使用しているとかで、確かにスモークはあったがガッツリというわけでもなく、フルーティで美味しいエールだった)

 天気のいい夏の夜。まだ明るさが残る野外で、美味しいビール片手にバーガーを食べる、みたいなのはもう最高of最高というか。この時間が永遠に続けばいいのになー。みたいな気分に陥っていると、ぼちぼち次のイベントが始まる時間。
 スケジュールによると、19時半から蒸溜所のモルト・バーン(普段はフロアモルティングを行なっている場所)で、地元のバンドや学生のパイプバンドなどが演奏をするんだそう。やはりこういうのに参加せねば。とそそくさと移動をします。

 私が建物内に入った時点ではまだ人も少なかったけれども、しばらくご飯を食べたりビールを飲んだりしている間に、徐々に混み合ってくる。パイプバンドの音楽が大きくなり、地元感あるアットホームな進行の中、みんな手を打って歌ったり踊ったりしはじめる。

(会場は徐々に熱気に包まれる)

 私も同席の人とやいのやいの言いながら、スランジー!スランジー!とやるわけなんですが、こういうのって本当に素晴らしいと思うんですよね。会場には、地元の人もいれば、私のような観光客も当然多いわけで、そうなると拙い言語でのコミュニケーションよりも「みんなで酒飲んで歌って、それでよくない?」みたいな雰囲気になってくる。ウイスキーや音楽が共通言語として機能していく感覚が心地よく、それのおかげで私は、会場を包む雑多な一体感を構成する一人として存在することができる。もちろん、まぁ、言葉が通じたほうがいいんですけどね。多くの言葉はいらないというか。
 日本からフェスティバルに参加される方には、ぜひこういうイベントにも参加してみてほしいです。やれ日本人はシャイだ、コミュニケーションが下手だ言われますが、まぁ酒を飲んで、わーわー楽しい雰囲気に飲まれるのも、またここに来た意味というか。フェスティバルは、ただ貴重なボトルを購入するための機会のみにあらずというか。世界中のウイスキーファンと、地元の人と、こうして触れ合うのも、また、いいものですね。

 そんなこんなをぼんやり考えながら、酔いの回った頭でふらふらと帰宿。すっかり重くなった頭で、寝て飲んで寝ての一日を終えるのでした。

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2018.10.19【日記】

【Day 2】キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル その2

2017.05.25

 なんとかフェスボトルを購入したはいいものの、すでに時間は私の次の予定である「キルケラン・マスタークラス」が始まる11時半を過ぎている。ちくしょう。運営め。100人やそこらの人数さばくのに1時間半もかかりやがって。など運営サイドの苦労も知らずに好き勝手心の中で悪態をつきながら、そそくさとマスタークラスの会場へと入って行きます。
 
 幸い遅刻は10分かそこらですみ、受付を済ますとこっそり会場に侵入します。
 セミナーはまだ始まったばかりということで、最初の一杯にすらまだ進んでいない様子。ここで、会場に用意されていた当日のアイテムをご覧いただきましょう。

(どん!)

 計6種のテイスティング。左手から順番に
 ・ワークインプログレス 6年 セカンドリリース
 ・ワークインプログレス 9年 フィフスリリース シェリー
 ・12年 定番
 ・8年 カスクストレンクス
 ・オープンデイボトル 3回蒸溜 11年
 ・カルヴァドス樽熟成 10年


 というラインナップ。まー25£のマスタークラスだとこんなものである。
 1から4までは日本でも簡単に手にはいる(はいった)ボトル。となると気になるのは5と6である。
 
 5は3回蒸溜をかけたという今年のオープンデーボトル。ご存知の通り、スプリングバンクは3回蒸溜をかけるヘーゼルバーンというブランドを持っているが、グレンガイルから3回蒸溜のモルトが一般向けに出るのはこれが初めて。(調べたら、2014年、キルケラン創業10周年パーティの来賓者に振る舞われたボトルの一つが3回蒸溜だった。らしい)
 そして6のカルヴァドス樽。ファーストフィルのカルヴァドス樽で10年間熟成をかけたということ。やはりスプリングバンクでは、いわゆるウッドエクスプレッションシリーズでカルヴァドスをやったことがありましたが、やはりキルケランブランドでは初めてのことです。

 ふんふんと説明を聞きながらのテイスティングでしたが、残念ながら内容はあまり覚えていない。うーん。申し訳ない。。

 そうこうするうちに、あっという間に最初のセッションは終わり。次の予定は13時半からのスプリングバンク・マスタークラスです。

 1時間ちょっとのインターバルがあったので、その隙に屋外のテイスティングルームでなんか試したりしようかと思うも、自身の酒量キャパを考えると、次のセッションまで出来うる限り体力を残しておいたほうがよさそう。結果、テントで売っていたバーガーを食べるなどして余力を蓄えます。

 そして今度は時間通りに会場へ到着。お待ちかねのラインナップはこちらです!

(どーん!)

 ラインナップは以下のとおり。
 ・ヘーゼルバーン 2004 13y オロロソカスク
 ・スプリングバンク オープンデイボトル 2001 15y ラムカスク
 ・スプリングバンク ソサエティボトル 9y ソーテルヌカスク
 ・スプリングバンク 1996 21y 2017リリース
 ・スプリングバンク オープンデイボトル 1996 21y ポートカスク
 ・ロングロウ 18y

 なんだか、午前中のキルケランと比べると、ちょっといいボトルが並んでいるような気がする。同じ価格だったのに。また、オロロソにラム、ソーテルヌにポートと、カスク遊びも効いているような印象。色味だけを見てもだいぶカラフルである。

 気になるボトルは色々あれど、やはり気になるのは今年のフェスボトル。購入してしまった後とはいえ、味を確かめられるチャンスはありがたい。これでラムカスクの方が好みだったりした日にゃあ、目も当てられないってやつである。

 やはり一つ一つの説明を受けながらのテイスティング。どれも「美味しー!美味しー!」など言いながら呑気にテイスティングしていたのだが、やおら問題のフェスボトルになると緊張し始めます。

 バラエティ豊かなカスクタイプの中でも一際濃い色をしたこちらのボトル。フレーバーはかなりしっかりと甘い印象でしたが、口に含むとそれほどベタ甘という訳でもなく、タンニンやピートの効いたややビターな印象も。うむむ。これは、なんというか、その、手放しでうまいって言えるようなボトルじゃないな。。掛け値無しに「うまーい!」という意味だと、直前に飲んだ21年の方がバランスもフルーティさも良かったような。。ラムカスクもピートとラムの味わいをしっかり感じることができて良かったし。。まさかこれ。。いや。。そんな馬鹿な。。250£は。。ちょっと。。高い。。かな。。

 みたいに、わーわー言いながらも周りの人の意見など聞いてみるのですが、周りは「美味しいと思うよ。値段に見合うかと言われたらノーだけど」みたいなリアクションで、うーむ。なんかこう、釈然としないなー。もっと大絶賛の嵐!みたいなのが良かったなー。でも、まぁこの辺変わってくかもしれないし。ポジティブにいきましょう。

 と、言う間にセミナーも終了。こちらも朝から飲み通しですっかり疲れてしまったので、終了後は重い体引きずり一旦ホステルまで退却。一時身体を休めることにします。

 
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2018.10.11【日記】

【Day 2】キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル その1

2017.05.25

 初日のグレンスコシアオープンデイに続き、この日はスプリングバンク蒸溜所のオープンデイ。キャンベルタウンを代表する蒸溜所のオープンデイとあって、とても楽しみです。

 この日、私がとっていたイベントは二つ。11時半からスタートする「キルケラン・マスタークラス」と13時半からスタートする「スプリングバンク・マスタークラス」です。

 しかし、この日は忘れていけないイベントがもう一つ。そう。オープンデイボトルの購入です。

 アイラフェスと同じように、こちらのフェスでもいわゆるフェスボトルが販売されるのだけれど、それの発売が今日この人のこと。事前に告知されていたボトルの内容は以下の3本。

 ①スプリングバンク 15年 グアドループラムカスク 50% 218本 75£
 ②スプリングバンク 21年 ファーストフィルポートホグスヘッド 46% 252本 250£
 ③キルケラン 11年 3回蒸溜 ファーストフィルバーボン 60.3% 192本 60£

 気になるのはバンクの21年だけど価格が。。①と③を2本買ったほうがまだ安いし。。しかし、あまりボトルの数は増やしたくないから、いっそ一本だけいいやつを買おうか。。など悩みながらも朝食をとり、10時からのボトル販売に向けて宿を出ます。この時私はまだ気付いていなかったのです。ボトル購入をめぐる戦いは、もうすでに始まっていたということに。。

 そんなこんなで呑気にご飯を食べ、しばらく二日酔いで痛い頭を休ませるためにベッドでゴロゴロと過ごし、歩いて5分ほどのところにあるスプリングバンク蒸溜所に向かって宿を出たのが9時50分ごろ。そして会場に到着した私が見たものは、ボトル購入のための長蛇の列でした。

(ずらーっと)

 私のiPhoneパイセンが指し示す時刻によると、この写真が撮られたのは10時6分55秒のこと。
 私もすかさず列の後ろについたのですが、果たして買えるのかどうかそわそわしてしまいます。各ボトルは200本前後。一人につき2本までの購入制限があるということで、もし全員が購入上限まで買っていたら100人ほどにしか買えないボトルになってしまう。私の前に果たして100人も並んでいるだろうか。並んでいない気もするし、並んでいる気もする。テントの中にどれくらいの人数がいるのかも読めない。ここまで来て「フェスボトル買えませんでした☆てへぺろ」じゃあまりに悲しい。
 気持ちは焦りますが、焦っても仕方がないので、当日の会場の様子を軽く写真でお届け。

(会場内にはいくつかのテントが張られ、バザーが開かれていた。左手には、キルケランのラベルに描かれているでお馴染みの時計塔も)

(ボトル購入の列を横目に、着々とバザーの準備を進めるご婦人たち)


(野外の試飲スペースにはずらりと並んだボトルたち、実に89本超!ここだけで時間を潰したくなるほど)

 そうこうしている間にも時間は過ぎていくのですが、列はあまり短くはならない。そうなるとボトル購入云々の他に、11時半からのマスタークラスに間に合うかどうかが心配になって来る。「大丈夫かな。もう11時回ってるんだけどな。なんでこんな時間かかってんだよ。ガッデム」など思いながらもおとなしく待っていると、残り20人ほどのところで「バンクのラムカスク売り切れでーす!」との声が上がる。
 なるほど先に無くなったのはそっちだったか。確かに価格帯もお手頃で内容も良さそうだったもんな。など思っているうちに、列はさらに進み、残り5人ほどのところで「キルケランも売り切れでーす!残ってるのバンク21年だけでーす!」とのアナウンスが入る。な、な、なんと。適当な価格帯のボトルを2本買ってお茶を濁そうかと思っていたのに、なんということだ。ちくしょう。どいつもこいつも貧乏人が。。!など暴言を吐き散らかしながらもようやく到着した私の番。ここまで来て何も買わないという選択など、とても出来まい。

(というわけで、どん!)

 高いボトルを購入してしまった。。これからの旅路が一気に重くなるな。。など思いながらも、なんとかボトルを購入できたことを喜びながら、すかさずマスタークラスの会場へと向かったのでした。
 
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2018.06.26【日記】

【Day 1】キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル その3

2017.05.24.

 オープンデイのフリーツアーを満喫したら、今度は予約していたウェアハウステイスティングです。

(所内の様子。敷地内にはいくつかのテントが設置されており、フードやお土産などを売っている)

(片隅ではカスクの組み立てデモンストレーションが行われていた)

 ウェアハウステイスティングの時間が近づいて来たので指定された場所に移動すると、宿でチェックインの際にやいのやいの言っていたドイツ人二人組の姿を発見。せっかくなので一緒にやいのやいの言いながら、時間を待ちます。

 開始の予定時刻から10分かそこら遅れて、ようやくウェアハウスへのドアが開かれ、参加者たちがそこへなだれ込みます。受付で受け取っていたチケットを入り口で手渡し、いざ熟成庫の中へ。

(わいわい。がやがや)

(奥にはずらっと縦置きの樽が。中身を入れる前の空き樽かしら)

(そして正面に並んだ4つのカスク。胸の高鳴りが止まりません)

 並ぶ樽を眺めながらわくわくしきっていると、おもむろに偉い感じの人が現れて参加者にグラスを配り始めます。

(偉い感じの人)

 こちらの偉い感じの人たち。その正体は、ディスティラリーマネージャーのイアン・マカリスター氏と、ウイスキー界の権威「マスター・オブ・ザ・クエイク」に選ばれている一人、チャーリー・マクリーン氏。チャーリー氏は様々な著作の他、テイスターとしても活躍されている方で、果ては映画『天使の分け前』にも出演されて、作中でウイスキーの講義を行なったりもしている偉大な方。そりゃ偉い感じも出るってもんです。

 そんな偉い感じの人たちが、自ずから我われ参加者にグラスを配り、樽からヴァリンチで取り出した琥珀色の液体を振る舞うのである。

(え、偉い感じの人が自ずから。。!)

(グラスに注がれた琥珀(?)色の液体)

(樽から取り出した液体が参加者に行き渡ると、一つ一つテイスティングしながら味わいをコメントしていく)

 一つ一つ、細かいコメントをつけながらのテイスティング。スコシアは、潮とオイリーなどまったりした酒質の印象が強かったのですが、最初の一樽目で全くスコシアらしくない爽やかなりんごキャンディ系のフルーティが凄まじく、驚いていると続く89年ビンテージのリフィルシェー樽では、らしいブリニーやミネラル感に加えて乾いたアプリコットなんかもあり、やや渋い印象なんてコメントで、もう楽しい。
 わいわいと偉い人たちを囲みながら、周りの人とあーだこーだやりあっているうちに、4種のテイスティングは無事終了。「あー、楽しかったー。参加費20£は安かったなー」なんてホクホクして帰ろうとすると、最後に偉い人たちからビッグサプライズ。
 何でも「この4樽の中から一番気に入ったやつのミニボトルをプレゼント!」とのこと。どひゃー。えらいこっちゃえらいこっちゃ。続々とできるボトル受け取りの行列に私もそそくさと並び、その間にどのボトルを選ぶかを思案。うーん。やっぱり一番うまかったのは最初のバーボン樽。ヘビーピートやミディアムピートも悪くはなかったけど、やはり人樽選ぶならこれかな。。

(やっぱりこれ)

 だって28年と1番の長熟だし、味わいもまぁ悪くはなかったし、そもそも80年代のスコシアなんて飲んだことないし、ついつい貴重な樽な方にいってしまうのは人の性じゃないですか。仕方ないじゃないですか。
 わんわん言いながらも無事テイスティングイベントを終了。ついでにショップで、この年のフェスティバルボトルなんかも購入し、ほっくほくな気分でキャンベルタウンフェス初日は終了です。
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GLEN SCOTIA(グレンスコシア )
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2018.04.25【日記】

【Day 1】キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル その2

2017.05.24.

 ホステルに荷物を放り投げたら、足早に本日がオープンデイのグレンスコシア蒸留所へ向かいます。

(どどーん)

 こちらの蒸留所の訪問は、2012年以来5年ぶり。
 当時はまだツアーや見学などはやっておらず、完全なるノービジターの蒸留所でしたが、今ではショップも完備され、ツアーも複数の価格帯で提供しております。それだけにとどまらず、今年3月には「グランドツアー」と名付けられたイベントをロンドンで開催。キャンベルタウンまで行かなくても、グレンスコシア蒸留所の雰囲気を体験できるイベントとして、今後アメリカをはじめとした世界中で開催の予定だそう。日本にも来る日が楽しみですね。

 この日は13時からのウェアハウステイスティングを予約していたので、それまでは暇。
 受付で予約していた旨を伝えてチケットをもらい、しばしショップ内をふらふらと見回す。蒸留所限定のボトルや、今回のフェスティバル向けのボトルを発見しわくわくしていると、何やらキルトを履いたおっちゃんがやって来て「今からフリーツアーやるよ!参加者希望者はこちらへ!」みたいな案内を始める。こいつはいい。前回来た時は迷惑御免の傍若無人ツアーだったので、せっかくなので改めて見学させてもらおうと、彼の元へ。

 私以外にもう一組、アメリカから来たという若者2人組と共にツアーはスタート。

(前回はおそるおそる入っていった敷地内へも、今回は堂々と。右手にはドラフの排出口が見える)


(モルトミル。よく見るポーテウス社製の赤いやつとは違うな。。)

(挽かれた麦のフラワー)

(前回来た時は赤いペンキで塗られていたマッシュタンが、青く、ロゴ入りにかっこよく塗り直されていた)

(マッシュタンの中では麦汁がぐーるぐーると撹拌されている)

(そして麦汁はウォッシュバックへ。こちらの蒸留所のウォッシュバックは全部で9槽。うち6槽は室内にあり、残りの3槽は、写真正面のドアを出た先、屋外にある)

(そしてスチルへ。前回来た時は、もっと赤黒く、年季の入った色味をしていたのに、ぴっかぴかに塗り替えられていた。お暇な方は、ぜひ前回の記事もご覧いただきたい。同じスチルとは思えないくらいにぴっかぴかである)


(そしてラインアームの先は壁を突き抜けて屋外にあるコンデンサーへ)

(外には冷却用や仕込み用と思しき水を蓄えておくタンクが二つ横たわっている。その奥に見えるのが、屋外に置かれている3槽のウォッシュバック)

(樽置き場も見せてくれた。まだ中身の入っていない、大量の空き樽がみつちり)

 そんなこんなで、フリーのツアーは終わり。
 個人的はぴっかぴかになっていたスチルが一番の見所でした。見てくれをあまり気にする必要のない、ノービジター蒸留所からの変貌ぶりたるや。蒸留所見学の観光客も増えているというし、他の蒸留所でもこうした変化はたくさん起こっているのでしょうねぇ。
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GLEN SCOTIA(グレンスコシア )
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2018.03.20【日記】

【Day 1】キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル

2017.05.24

 朝一のバスでグラスゴーから4時間。10時半を回ったあたりにはキャンベルタウンに到着いたします。

 キャンベルタウンへは、2012年に初めて訪れて以来、実に5年ぶり。街並みを懐かしく思いながらも、まずは重い荷物を預けようとバックパッカーズへ。

 このバックパッカーズが今まででも中々ないくらいにチェックインに戸惑う宿だった。
 まず、予約の時点で既にややこしい。
 オフィシャルのホームページからは直接予約することができず、仕方がないので、まずそこに記載されているメールアドレスに「これこれこういう日程で泊まりたいんだけど、空いてる?」と問い合わせのメールを送る。すると「オッケー空いてるよ。予約確定するためにお金振り込むか、送金ヨロシク」と返ってくるのだが、こちらは送金はもとより、振込もおぼつかないような状態である。「ごめん、送金も振り込みもできないんだけど、どうしたらいい?」と返すと「じゃあ、到着時支払いでいいよ」と、なんとか予約を確定することができる。
 しかし、この手の予約は、後になって「ごっめーん!あなたの予約確定されてなかった〜!許しててへぺろ☆」となるパターンも可能性としてはあり、後日リコンフォームのメールを送ると「ノープロブレム」の一言と一緒に「宿泊者へのご案内」みたいな細かい注意書きがつらつらと送られてくる。それの一文に「16時前に着くようなら事前にお知らせしてね」とあったので「11時ごろに荷物だけ先に預けたいんだけど」と返すと、ごくシンプルに「That is fine」とだけ返ってくる。何かが不安なぶっきらぼう加減である。

 そんなこんなで到着後、果たして無事にチェックインできるのだろうかと多少なり心配を抱きながらバックパッカーズの前まで行くと、何やら男性二人組がドアの前でやいのやいの言っている。
 なにごとぞ?思い、声をかけると、彼らは私と同じく宿泊客だったようで、ならば何をやいのやいの言っているのかというと、ドアが開かないというのである。それは困ったことだねぇ。思いながらも話をさらに聞いていると「ドアコードがあれば開くんだけど、君はそのコードを知らない?」と。とっさに「なんで俺が知っているんだよ」みたいに反応したのだけれど、ちょっと待て。先に送られてきた「宿泊者へのご案内」にそんなことが書いてあったような気がする。とメールを確認し、それらしいコードを入力すると、無事ドアを開けることができた。よかったよかった。

 一瞬、ドアコードを持っていない彼らを建物の中に招き入れるのは、防犯の観点から如何なものか、という思いが去来するも、少し話して「俺らはこれからグレンスコシアに行くけど、君も行くだろう?」なんて言っているのだから、まぁ大丈夫だろう。建物の中には我々以外誰もいなく、チェックインしようにもできない。例の「ご案内」メールで「女性のゲストはロス・ルームへ。男性のゲストはマッキンノン・ルームへ」とあったので、それらしい部屋へ入っていき、まだ主人の決まっていないと思しきベッドを自分のものと定めて荷物を周りに置き、しっかりマーキングを施してからグレンスコシアへ向かいます。

 キャンベルタウンにある3つの蒸留所がそれぞれオープンデイを持ち回る今回のフェスティバル。初日となる今日は、グレンスコシアのオープンデイです。
 グレンスコシアには2012年に訪れた際、出会ったスチルマンのジムという男性にとてもとてもよくしていただいた、思い出深い蒸留所。蒸留所自体は2014年にロッホローモンドグループの傘下に入り、ボトルデザインなども一新されましたが、まだジムは働いているかもしれない。もし会ったりしたらどうしよう。とワクワクしながら到着です。



 というわけでオープンデイの様子はまた次回に!
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2018.02.01【日記】

キャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバルへ

2017.05.23 ~ 24

 ストラサーン蒸留所見学を終えた後、パースまで送ってもらいそこからグラスゴーまで南下。一泊して、翌朝のバスでキャンベルタウンを目指します。

 今回の目標は、念願のキャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバルへの参戦。
キャンベルタウンでは、毎年5月後半、ちょうどアイラフェスの直前という日程でフェスティバルを開催しています。3日間の会期中、アイラと同じように各蒸留所がオープンデイを持ち回り、テイスティングやセミナーなど様々なイベントが開催されるのです。

 アイラに比べるとマイナーで、蒸留所の数も少ないですが、なんといってもスプリングバンクや最古のボトラー、ケイデンヘッドを擁するキャンベルタウンです。加えてこの年は、ケイデンヘッドの創業175周年というアニバーサリーイヤー。これは行かないわけにはいくまい!と、1月末にフェスのスケジュールが発表されると同時に気になるイベントを全て予約し、その予約が確定すると同時にキャンベルタウン内のバックパッカーズを予約して、この日を心待ちにしていたのです。

 そして迎えたフェスティバル初日。
 まずはグラスゴーからキャンベルタウンまでバスで4時間かけての移動です。6時半のバスに乗るため、ホステルを早朝にチェックアウトし、重い荷物を背負ってバス停まで向かいます。

 この日はグレンスコシア蒸留所のオープンデイ。予定通りにバスが運行すれば10時半にはキャンベルタウンに到着するのだが、私は13時からのツアーをとっている。少しでも体を休めて、これからの酒浸りの日々に備えたほうがいいと、車内ではぐっすりと仮眠をとります。

 というわけで!
 次回からキャンベルタウン・モルト・ウイスキー・フェスティバル編はじまりますよ!


(バスの途中休憩の地、インヴァレリーにて。朝霧に煙るロッホ・ファイン)
 
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2018.01.31【日記】

119. ストラサーン / Strathearn

2017.05.23

 ピトロッホリーでの朝の散歩を終えた後は、次なる目的地のためにまずは電車でパースの街まで下っていきます。



 次なる目的地は、2013年にオープンしたばかりの新興蒸留所、ストラサーン(ストラスアーンと表記することも)。前回スコットランド一周蒸留所巡りの旅をしたのが2012年だったので、そのあとにできた蒸留所です。

 こちらの蒸留所。オフィシャルのホームページにもあるように「Probably Scotland's Smallest Distillery」となっております。ホームページを見てみても、ツアーはやっていそうだけれど、それ以上の詳細は分からない。仕方なしや、と直接「ハーイ。蒸留所見学したいんだけどできる?」とメールを送ったところ、創業者であるトニー・リーマン=クラークその人から丁寧な返事がくる。
 そこから日程の調整や到着時間など細かく伝えていき、最終的には「何時にパースの駅に着く?その時間に迎えに行かすよ」と、訪問を了承してくれたばかりか、お迎えまで来てくれることに。まだ会ったこともない人に対して、このホスピタリティは感動した。

 そして当日。
 大きな荷物を抱えて、時間通りにパースの駅に到着した私。メールによると「駅を出た駐車場のところで待ってるよ」とのことだったのだが、残念ながら私は彼の名前しか知らない。一応こちらの特徴として「青い馬鹿でかいバックパックを持った、長髪の日本人」ということは伝えていたので、相手から見つけてもらうのを待とう、という作戦である。
 まぁただでさえ目立つ巨大なバックパックに、東洋人もそんなにはいないだろうから、簡単に見つけてくれるだろう、と思っていたら果たしてそうで、クライブという名の男性がすぐに私を見つけてくれた。

 迎えに来てくれたお礼と、馬鹿でかい荷物のことを詫びて車に乗り込みます。パースからストラサーン蒸留所までは30分強の道のり。クライブとやいのやいの言っている間に、蒸留所に到着です。

(石造りに、キルンもある生産棟。キルンはもちろん飾りではあるけれど)

 クライブに、リアムという髭もじゃのお兄ちゃんを紹介され、ツアー開始。ツアーといっても、生産棟と熟成庫だけのシンプルなものです。

(雑然とした印象の生産棟。小さい建物の中に全てが詰まっている)

(入り口入って左手側には、アランビック型のスチルが2基)

(そして右手には可愛らしいスライムみたいなサイズ感のスチルが2基。こちらはジン用のスチル)

(ピーテッドの原種も作っている模様)

(スチルハウスの裏には、馬の飼われている納屋がある)

(そしてウェアハウスへ)


(パノラマ写真も。小さな建物の中に、小さな樽がたくさん)

 ツアーを終えたら、お待ちかねの試飲タイム。
 2013年にオープンした彼らは、まだ最初のウイスキーをローンチしたばかり。その代わりとばかりに、ジンやラム、カルバドスなど、様々なアイテムをリリースしている。また、詳細は書けないけれど、彼ら曰く「Whisky in progress」というスピリットドリンクさえ作っていた。この商品に関しては、彼らもリリースするつもりはないらしく、あくまで様々なスピリッツを作る過程で、実験的に作り上げたものなんだそう。これがまた美味しかったのだけれど、ウイスキーという制約の中では出せないだろうなぁという商品だった。

(放っておいたら試飲が出るわ出るわ。左手側にある色の濃いボトルが、件の「Whisky in progress」。商品の解説をしながら色々試させてくれたリアムは、一つ一つに「Amazing!」とか「Lovely!」とかかなり派手な自画自賛を添えながらあれやこれや教えてくれた)

 たくさん試飲させてくれたアイテムの中でも、とりわけ興味を引いたのがジン。
 今では日本でも多くのクラフトジンが扱われ、その魅力が皆さんの元にも伝わっているかと思うのですが、当時私は、いわゆる「新興ウイスキー蒸留所が作るジン」というものに対してかなーり懐疑的でした。新興蒸留所がウイスキーの熟成を待つ間、熟成の必要のないジンを作って資金を稼ぐ、という側面がある以上、どうしてもジンは「ついで」の商品というイメージがあったのです。
 そのイメージは、彼らの商品を試しているうちに完全に拭われました。
 以前に行ったエデンミル蒸留所でもそうですが、彼らの中に「ついで」という考えは一切ありませんでした。あるのは、チャレンジングな姿勢と、柔軟なアイディア、そして美味しいものを造るという情熱だけでした。リアムの派手なアクションは、私にそれを伝えるのには十分でした。

(散々歓待してくれた上に、最後はお土産のミニボトルまでくれた。左が「ヴァージンアメリカンオーク3年2ヶ月」右が「ポートカスク3年3ヶ月」)

 お礼を言って蒸留所を後にします。
 帰りはまたクライブがパースまで送ってくれました。本当に至れり尽くせり。最後にはパースの美味しいご飯が食べられるパブ情報までいただいて、大満足。帰りの車内で、クライブは「昨今のウイスキーブームで新しい蒸留所はたくさんできてるけど、その中で生き残るのが簡単だとは思わない」みたいなことを言っていた。その通りだとは思うけど、ストラサーンは是非とも生き残ってもらいたいものだと強く思いました。
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2018.01.17【日記】

ピトロッホリー散策

2017.5.23

 前日。20時ごろにはピトロッホリーに到着し、そこから暴力的な量のフィッシュ&チップスを食し、お腹パンパンで眠る。

(暴力的な量のフィッシュ&チップス)

 たくさん歩いた疲れからか、ベッドに倒れこむなり意識を失い、深い睡眠をとって、次に目を覚ましたのが6時過ぎ。当然、二度寝を試みたのだけれど、なぜか目がさえてしまい眠られない。ならば寝る必要もあるまい、と起き出して、夜が明け始めたばかりのピトロッホリーの町を散策することにします。

(ピトロッホリーの町の脇を流れるリバー・タメル。朝7時)

 町を離れ、タメル川沿いにしばらく歩き、程よいところで左手の山道へと入っていきます。

(朝日を受けて柔らかく光る葉緑が心地よい)

(みんな大好きにゃんこも朝の散歩)

(初夏のハイランド。雨も多いが、晴れた日にはとても気持ちがいい)

(30分ほど歩いて、エドラダワー蒸留所に到着です)

(エドラダワー蒸留所内を流れる小川も、朝の光を受けてきらきらと輝いている)

 見学もしたかったけれど、さすがに開いているような時間ではない。蒸留所向かいに、森へと続く小径を発見したので、そちらの方向へ進んでいきます。


(入り口こそ分かりづらかったけれど、しばらく歩いたらちゃんとした小径になる)

(森の中へ入っていくと、結構立派な川が流れている)

(結構いい感じの滝も流れている)

(ところどころに、こんな感じで案内板が立っているので、道に迷うことはない)

(朝っぱらからマイナスイオン浴びまくりです)

 一時間強の軽いハイキング。前日に散々歩いて疲れているはずなのに、なんで朝からこんなに歩いているんだろう。。と途中、我を見失いそうになりましたが、朝の散歩は気持ちがいいものです。ピトロッホリーが保養地として人気だというのも納得です。


(町に戻ってきたら、10時のオープンに合わせてブレアアソール蒸留所へ)

(ツアーにも参加しましたが、とにかく大人数でのツアーに、おそらく繁忙期だけ雇われたアルバイトのガイドさん、という感じであまり楽しめなかったのが残念)

(蒸留所限定ボトルも、少し迷いましたが購入は断念)

 思わぬ朝の散歩で気持ちよく、一日のスタートを切れた気分。
 宿に預けていたバックパックをピックアップして、今度は鉄道でパースへ向かいます。

2018.01.17【製造元レポート】

118. スペイサイド / Speyside

2017/5/22

 キンガスジーの鉄道駅から、重い荷物を背負ってひーこらひーこら歩くこと、およそ1時間。。ようやく念願のスペイサイド蒸留所に到着です!



 私にとってはスコットランド蒸留所巡りの旅、ある意味最後の一つと言える蒸留所である。感慨深さを感じながらも、ここはノービジターの蒸留所。果たして見学ができるかなぁ、少しく不安を抱きながらずかずかと中に入っていきます。

 入口付近に、ドラフの回収に来たと思しき業者さんがいたので、慣れた様子で愛想を振りまくと「オフィスはあっちだよ」と教えてくれた。

(がっしりとしてシンプルな石造りの建物が生産棟。手元の『シングルモルトウィスキー大全』によると、この建物はアレックス・フェアリーという地元の石工、ただ一人によって建てられたらしい)

(生産棟のドアを開けて覗き込むとスチルが!)

 いきなりのスチルとの対面にテンションを上げながら「ハロー?」と奥に向かって声をかけてみるも、反応は無し。うむむ。どうしたものか。仕方がないので、一旦ドアを閉めて、建物の裏手に回り込むことにします。

(裏手。ドアは開け放たれているが、人の気配はしない)


(所内には川が流れており、水車まで付いていた。山と緑に囲まれた立地で、とても清涼な雰囲気)

 生産棟の裏には別の建物があり、そこがオフィスと知ることができたので、ドアをノックしてみるも反応は無し。窓を覗き込んでみても、無人の様子である。

 こいつは困った。せっかくここまで来たのに、このままとんぼ返りはあまりに寂しい。というか、見学の一つでもできないと、このクソ重い荷物を背負って再び駅まで戻る気力が湧かないというものだ。これを書いている今現在でさえ、当時の肩の痛みを思い出しては首を鳴らしている有様である。
 無人のオフィスの前に荷物を降ろして腰掛け、しばらく待ってみようと気持ちを固めます。

 しかし、この日のスケジュールは実はとてもタイト。インヴァネスを朝出て、トマーティンの見学を朝一で済ませてキンガスジーへ。ここが終わったら、今夜の宿があるピトロッホリーまでくだらなくてはいけない。もしここの見学が無理なようならさっさと諦めて、道中にあるダルウィニー蒸留所の見学をするというプランもある。つまり、あんまりのんびりも待っていられないのである。

 10分かそこら、体力を回復させがてらオフィス前の階段に腰をかけていた私ですが、ぼちぼちいきましょうかね、と、生産棟の開いていた裏口へと進みます。

(生産棟のドアをくぐったすぐ右手には樽と、試飲用と思しきボトルが置いてあった。おかしいな。。ここはノービジターのはずなのに、なんでこんな用意がしてあるんだ。。?)

(正面を向くと、タンクが並ぶ間にパネルも飾られている。おかしいな。。ノービジターの蒸留所でそんなことあるかな。。?)

 例によって「ハロー?」言いながら奥の方を見遣ると、今まではなんの気配もしなかったところから、一人のおっちゃんが。つかつかつかっとこちらへ向かって来たのだが、階段をおりてくる気配はなく、私のことを一瞥こそすれ、マッシュタンの中を覗き込んだりと、作業の手を止める様子はない。

(私のいたポジションから仰ぎみたマッシュタン)

 人の姿が確認できたところで、今一度「見学したいんだけど」と声をかけると「今日は見学してないよ。予約したのか?」とおっちゃんから反応が返ってくる。
 「してないよ。予約必要だったの?てゆーか、ツアーやってるの?」と尋ねると「予約した
場合だけな。火曜から木曜まで。今日は月曜。月曜はやってない」と。

 なんてこったい。それは知らなかった。てっきりツアーはできない蒸留所だと思っていた。しかし、このところのウイスキー需要で、今まではツアーをやっていなかった蒸留所もビジターアトラクションを整えていったと聞くし、ハンドフィルなんかをやり始めた蒸留所なんかもとても多い。しまった、ここもそういう蒸留所の一つだったか。思うも、そもそも火曜以降にまたくる時間はない。ちゃんとしたツアーを取ることができないのは残念だが、幸いまだ見学の可能性はある。「かくかくしかじかで、火曜日にまたくる時間はないんだけど、いま中を見てもいいかな?」とお願いをするも、おっちゃんは「イエス」とも「ノー」とも言わず、また奥の方へ戻っていってしまった。
 うむむ。思いながらも、「ノー」とは言われてないもんねー、という理屈でザクザク中へ入っていきます。

(ずらっと並ぶステンレス製のウォッシュバック)

(おっちゃんの邪魔をしないように階段を上がると、そこにはウォッシュバックと向き合うようにして立つ、2基のスチル。三角屋根の窓から差し込む光がとても柔らかで、美しい)

(スチルはロッホサイド蒸留所のおさがり。ただ、サイズはこの建物に合わせて小さくしたんだと)

(神々しささえ感じるほどに美しい)

(建物内に飾られていた「LAGGANMORE DISTILLERY」の看板。ラガンモア?聞いたことないな。と思い調べたら、BBCのTVドラマ『Monarch of the Glen』の撮影で同蒸留所が使用された際、つけられた名前が「Lagganmore」だったよう)

 無愛想なおっちゃんだったけど、私がちょこまか動いて写真を撮っているのも黙って認めてくれた。最後にサンキューくらい言おうと、おっちゃんを探すもどういうことかまた姿が見えない。はて?一体この狭い建物のどこに姿を隠すような場所があるのだろう。と不思議に思っていると、不意にすっと現れたりする。不思議なおっちゃんである。サンキューと握手をして、蒸留所を後にします。


(蒸留所を出て向かいの方角に「Drumguish」という馴染みのある名称が書かれた標識が伸びていたので、そちらにも少しだけ足を伸ばす。いつぞやの「ディスティラリー・コレクション」で描かれていたような、背の高い樹木が林立していた)

 これで、2013年以降の振興蒸留所を除くと、スコットランド全ての蒸留所を見学して回ったことになる。そういった感慨もあるかもしれないけれど、それを抜きにしたってとても美しい、訪れる価値のある蒸留所でした。

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SPEYSIDE Distillery(スペイサイド)
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2017.08.30【製造元レポート】

スペイサイド蒸留所へ

2017.5.22

 トマーティン蒸留所の見学を終えた私が次に向かうはスペイサイド蒸留所。



 トマーティンからスペイサイドまでも、また交通の便が悪い!まず途中のキャルブリッジという町まで行き、そこで乗り換えてスペイサイド最寄りのキンガスジーという町までいくのですが、この本数がとにかく無い!曜日によっては完全にないので、ここに行くには事前の計画が何より大事です。

 無事キンガスジーまでたどり着いたら、そこから3マイル、約1時間のハイキングの開始です。

(キンガスジーからスペイサイド蒸留所までの道中には、ちょっとした観光スポットになっている古城もある。しかし、すごい量感のある雲だな)

 これから向かうスペイサイド蒸留所。私にとっては少し特別な意味を持つ蒸留所で、というのも、時は5年前、2012年まで遡ります。
 当時、バックパッカー蒸留所巡りの旅をしていた私が、3ヶ月かけてスコットランド、アイルランドを一周して帰って来た際、この旅では行けなかった蒸留所が2つありました。逆にいうのであれば、2012年当時にあった現役蒸留所は、2つを除いて全てを回ったということになります。その2つというのが、ダフトミル蒸留所とスペイサイド蒸留所。そしてダフトミルに関しては、この1月にすでに訪問を済ませていたので、スペイサイド蒸留所こそが、私にとってある意味最後の蒸留所ということができるのです。
 とは言え、2012年以降、新しい蒸留所はたくさんできているので、まだまだ行くべき蒸留所はたくさんあるのかとも思いますが、とりあえずはスペイサイドを持って、一つの「全蒸留所制覇(2012年当時)」が果たされるというわけなのです。こちらも当時は「よっしゃ、全部回ったろ!」という気概があったわけではないのですが、こうして多くの蒸留所を回っていると、どうしても全部行ってみたくなるというのが人の性というもの。期待に胸を膨らませて歩いて行きます。

(ハイランドらしい、山に囲まれた風景)

(雲の様子が刻々と変化して行きます)

 前日にグレンオード - ブラックアイル間を3時間かけて歩いたものの、もともと歩くのは嫌いな方ではない。1時間くらいのハイキングなら、まぁこなせるだろうと思っていたのですが、この日は移動日。つまり、でっかい荷物を担いでの行脚となります。それもちょっとやそっとの荷物ではありません。1年分の生活用品ががっつり詰まっているわけです。こりゃあきつい。肩が腰が悲鳴をあげている。

 ひいひい言いながらも、ここは念願の蒸留所。砕けそうになる気持ちを鼓舞しながら前へ進みます。帰りのことは考えないようにします。


(蒸留所のすぐ近くには轟々と流れの速い川が流れている。「スペイ川かな?」と思っていたのですが、いま調べてみたら、その支流であるトロミー川らしい。そういえば、スペイサイド蒸留所は、その名前のくせに地域区分がハイランド。地理的にはハイランドで文句はないのですが、スペイ川本流からも2マイルくらいしか離れていないのだから、スペイサイド区分でもいいのでは?と思わずにいられない)

 さらに、スペイサイド蒸留所はノービジター蒸留所。こんな大荷物抱えて行ったはいいが、見学させてくれなかったらそのままとんぼ返りしなくてはいけない。肩も痛み損って奴である。その時は、荷物アピールして、キンガスジーから歩いてきたんだよってアピールして、泣き落としからの逆ギレでむちゃくちゃやろう。そんなことを考えながら、ようやくそれらしい看板を発見です。

(まさしく!)


(この先に念願の蒸留所が)

(道の先には煙突の建物が!)

 無事、念願の蒸留所にたどり着けた私。果たして見学はできるのでしょうか?まて次号!

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SPEYSIDE Distillery(スペイサイド)
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2017.08.30【製造元レポート】

トマーティン蒸留所へ

2017.5.22

 翌朝、インヴァネスを出て、向かうはトマーティン蒸留所です。



 インヴァネスからトマーティンへはバスで40分ほどの道のり。蒸留所近くの幹線道路沿いに降ろされるので、そこからてくてくと歩いて蒸留所へ向かいます。


(幹線道路沿いに立つ「TOMATIN」の道路標識)

(程なく蒸留所敷地への正面入り口にたどり着きます)

 トマーティン蒸留所はスコットランドでも最大規模の蒸留所。敷地も広大で、蒸留所で働いているスタッフのほとんどは、この敷地内にある家で生活をしているそう。
 生産量も膨大で、特に70年代は計23基のスチルで年間1200万リッター超という、リベットやフィディックに匹敵するほどの量を生産していたというから驚きです。
 しかし、現在のオーナーでもある日本の宝酒造が買収した86年以来、生産量縮小の方向を示します。2000年には11基のスチルを取り外し、各6基ずつの計12基に。年間生産量も2万リッターまで下げられております。これらの意図については、いわゆる「量より質」という側面が大きい。それまではほとんどがアンティクァリーなどブレンド用原酒として使われていたのが、現在では約4割ほどがシングルモルトとしてリリースされている。ピーテッドモルトを使ったク・ボカンなど、新しいブランドも展開しており、モルトラバーとしては嬉しいかぎりです。


(正面の建物がビジターセンター。正門をくぐってから10分くらいは歩いた気がする)

(ショップは、グッズもボトルも充実したアイテムを揃えている)

(中でもハンドフィルできる樽はなんと5種類も。前回2012年の時よりも、ハンドフィルをやっている蒸留所は格段に増えたかと思うが、それでもこんなに充実しているところは他にないのではないか)

 ツアーの受付を済ませると、まずは視聴覚室で蒸留所の紹介VTRを見てから、建物の方へ移動します。

 前回来た際は、紹介VTRの後はすぐにスチルハウスに行き、スチル手前のスペースに設置された展示を見ながら製造の工程を追う、という少しく味気ないツアーだったのだけれど、この5年の間にトマーティンのツアーは大きく進化しておりました。

(まず向かったのはこちら。トマーティンカラーの赤に塗られたモルトビン)

(そしてマッシュタン。ひげもじゃのガイドさん)

(こちらのマッシュタン、なんと中に入れます。大規模製造から方向転換したため設備は余っており、それを使ってより近くウイスキー造りを体感できるようなツアーになっている)

(お馴染み、ポーテウス社のミルも、やたら年代を感じさせる古いものと)

(モダンなデザインのものと2台ある)

(実際に働いているマッシュタンはこちら。ちょうどドバドバいっているところだった)

(12槽のウォッシュバック。発酵にはマウリ社のイーストを使用している)

(そしてスチルハウスへ。前回はこのスペースだけで全てが完結したツアーだった)

(シェル&チューブのコンデンサーも片隅に展示されている。コンデンサーの中を覗き込むなんて経験、ここ以外ではできないだろう)

(スチルの下に入っていくこともできる。全部で12基あるが、現在は初留6の再留4の10基のみが稼働している)

 ここのスチルで面白いのが、現在残っている全てのスチルがまったく同じ形、サイズであるということ。すでにスクラップにされてしまったスチルもやはり、同じ形だったのだろうか。
 そのためというか、初留釜にも窓が付いていないのが特徴。本来であれば、窓から確認できるウォッシュの沸騰具合で、温度を調整したりするのだが、ここにはそれがない。「じゃあどうやって中の様子を知るのかというと」と言ってガイドさんが手にしたのが、スチルからぶら下がっている紐。紐の先には拳大の木片がつけられていて、それを勢いよく降って、お寺の金でも撞くかのようにスチルのボディに打ち付ける。その反響音を聞いて、ウォッシュがどの高さまで来ているかを判断するんだそうだ。マジか。なんだそのアナログなやり方。

(スチルハウスを外から。等間隔でコンデンサーがつながっているのが分かる)

(そして一行はクーパレッジへ。ひげもじゃのガイドさん)

(自社でクーパレッジまで所有している蒸留所は多くない)

(そしてウェアハウスへ。こちらではラック式の熟成庫をメインに使っているが、ダネッジ式のウェアハウスも一部使っているんだそう)

(ふー!76トマーティンだぜ、くんくん!)

(そして最後は試飲へ。通常のツアーが終了した後で「こっちのハンドフィルのも興味あるんだけど。。」と言ったら、それらも味見させてくれた)

 トマーティン蒸留所は2017年の「Icon Of The Whisky」で「Bland Innovator Of The Year」にも選ばれたんだそう。都市部からも近いですし、オススメの蒸留所の一つです。
 
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TOMATIN(トマーチン)
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2017.08.30【日記】

ブラックアイル / Black Isle

2017.5.21

 長い道のりの果てにようやくブラックアイルに到着です。


(わくわくします)

 ブラックアイルブリューリーは1998年に創業。近年のクラフトビールブームに先じるかたちで創業し、オーガニックにこだわった小規模生産で丁寧にビール造りと向き合っている醸造所です。このあたり一帯は大麦生産地帯となっており、それこそ、この日訪れたグレンオード蒸留所のモルトもこの辺りの大麦を使用しています。

 ショップと書かれたドアをくぐるとすぐ右手に受付のカウンターがあり、小さなおばあちゃんが先客にビールの試飲を出しながら談笑していた。
 私も、ツアーに参加したい旨を伝えると「あら。いまこの人を案内したばかりよ。まぁちょっと待っててね。先にテイスティングする?」と、4種のスタンダード商品を勧めてくれた。

(ボトル棚には、定番商品の他にスモールバッチの限定商品も)

(壁面に描かれた絵が素敵)

(オーガニックを標榜する生産者らしく、環境活動などにも寄与している。これはハイランドにいるミツバチの保護を目的としたソサエティの会員募集。)

(イベントなどで見かけるブラックアイルマンの着ぐるみも。にやにやしながら見てたら「着てもいいわよ」と勧められたけど、一人でこれ着てもな。。と遠慮してしまった。せっかくだから着とけばよかったな)

 そうこうしている間に先客は去り、おばさまも「ちょっと待ってね」みたいに、ショップ内の整理などを始める。私も、ここまで到着できれば、今日は焦ることもないのでゆっくりとおばちゃんの仕事が終わるのを待って、いざツアーの開始です。

 おばさまによるツアーは非常にあっさりしたもの。「ビールの作り方は分かってる?」との冒頭の問いに「大体のプロセスは分かってるよ」と答えたのが間違いだったのかもしれない。ごくシンプルな解説でさくさくと見学は終了し、おばさまは「さてと私は仕事に戻るかね」みたいな雰囲気でショップの方へ戻っていってしまった。私は「ちょっとまだ見ててもいい?写真撮りたいんだけど」と確認した上でその場に残ります。

(オーガニックとクラフトに対するこだわりが壁面に掲げられている)

(棚に置かれたのは各レベルで焙煎されたモルトとホップのサンプル)

(ステンレスのタンクはピッカピカ)

(樽詰め、瓶詰めの設備も整っている)


(すべての設備は一部屋にこぢんまりと収まっている)

(部屋を囲む壁面には、魚や牛、鳥や鹿、うさぎなどによる楽団のペインティングが。とても可愛らしい)

 一通り見学を済ませショップに戻ると、日曜日の終業間近、最後の客になってしまったことをおばちゃんに詫びて、その場を後にします。

 その後、バスでインヴァネスまで戻った私が向かったのは、シティセンターにあるブラックアイルの直営パブ。

(町の中心にあります)

(この日のタップリスト。定番商品のカスクコンディションや、中にはブラックアイルのサイダーもオンタップしていた)

(かんぱーい!)

 面白かったのが、このパブ。部屋もあるようで、一人から4名まで宿泊することができるとのこと。一人で泊まっても、一泊33ポンドほどとのことですので、それほど高くない。ご興味のある方は、インヴァネス観光の選択肢に入れてみるのもいいのではないでしょうか?なんて言いながら、一泊13ポンドのホステルへ身体を引きずって帰るのでした。
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2017.08.29【日記】

ブラックアイル醸造所へ

2017.5.21

 グレンオードを足早に後にした私の、次の目的地はブラックアイル醸造所。ミュア・オブ・オードからは一旦電車でインヴァネスに戻り、そこから出るバスで30分ほど北上した位置にあります。

 オードを出た時点で、時刻は12時半をまわろうかというところ。次の電車は10分後に迫っており、蒸留所から鉄道駅までは普通に歩いて15分くらい。これは駆け足だな、と飲酒即ダッシュをかましてなんとか電車の時間の3分前くらいには駅前まで来ることができた。
 ふー。間に合ったかな。と、息を整えながらプラットホームの方を見遣ると、どういうことでしょう。既に電車が止まっているではありませんか。ん?あれ?あれ私が乗らなきゃ行けないやつ?など、すっかり心臓の方にいってしまった血液のせいでぼんやりしている脳みそが事実を認識できない間に、電車は滑らかに駅を離れていきました。
 いやいやまさか。まだ、時間まで2分はありますよ。遅れることはあっても、そんな早く出るなんて。バスじゃあるまいし。と、とりあえずホームまで降りていき、掲示されているタイムテーブルを確認して愕然としました。どういう経緯で勘違いをしたのかは分かりませんが、私が出発時刻と認識していた時間は、実際の時間よりも5分遅れたものだったのです。ですので、いま出ていった電車は定刻通り、むしろ2、3分遅れて出ていったということ。
 まじかー、思いながら、次の電車の時間を確認してみると、なんと2時間後。そういうのも、この日は日曜日。公共交通機関の本数は激減しております。このまま、2時間後の電車を待ったとして、インヴァネスに着くのが15時過ぎ。そこからブラックアイル方向へ向かうバスが何分後に来るのかは知らないが、もし、奇跡的に接続できるような時間に来たとして、そこから30分。最寄りのバス停から醸造所までは結構歩くはずだから、そう考えると16時までにたどり着くのはかなり絶望的になってしまいます。

 兎にも角にも情報が必要だ、と一番近くにあったパブのドアを開け、サッカーの試合観戦に熱を上げている地元のおっちゃんがたの中で、テネンツとWi-Fi環境をいただいて、ぽちぽち始めます。
 調べてみると、やはり、インヴァネスに行くルートだとうまく接続ができない。一度北にあるコノンブリッジという町までバスで上がって乗り換えて行く、というルートもあったのだが、やはりバスの本数が少なすぎて時間に合わない。
 すわ、ここまでか。斯くなる上は、醸造所は諦めて、インヴァネス市内にあるブラックアイル直営のパブで一杯やってお茶を濁すとするか。と、半ば諦めかけた頃、グーグル先生は私に光明を与えてくださいました。

(グーグル先生「歩けば?」)

 この時、時刻は13時半ごろ。グーグル先生によると、徒歩のルートなら2時間50分。この通りに行けば到着時刻は16時20分となってしまうが、しかし、20分ほどの差。。行ける。。!

 というわけで、余っていたテネンツをぐびぐびーっと飲み干して、早速歩き始めます。


(さぁ行きましょう。ご覧の通り、歩道などない道をひたすら行きます)

(スコットランドらしい空です。なんだろう、この感じ、めっちゃ懐かしい)

(右手に湖、左手に森や平原といった景色の中、ひたすら歩きます)

(木のトンネルみたいになってる!すごい短いけどトンネルになってる!)

(なにやら巨大なタンクが見えたので、すわ到着かと思いましたが、まだまだ道のりは半ばのはず。なんの建物だったんだろう)

(ブラックシープも)

(そして忽然と看板が!)

(きたきた!)

(とうちゃーく!)

 と、長々と歩き倒して、無事に時間前に到着。急ぎながらも、周りの風景を堪能しながら歩くというのは気持ちのいいもの。途中で、なんか「人生には歩く時間が必要だ」みたいな、教訓めいた観念にとらわれたりもした。電車やバス、車での移動では感じることのできないスコットランドを見つけることができます。人生も同じですね。

 そんなこんなで次回は、ついにたどり着いたブラックアイル醸造所の中身をお届け!
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2017.08.27【製造元レポート】

グレンオード蒸留所へ

2017.5.21

 前日、宿に到着後即気絶をして、次に意識を取り戻したのが8時ごろ。たっぷり睡眠をとって、この日朝一で向かうはインヴァネスから電車で20分のミュア・オブ・オードという町にある蒸留所、グレンオードです。



 この日の目的地は2箇所で、宿の移動なども無い。本来ならそんなに急ぐ必要なんかも無い、比較的緩めのスケジュールのはずなのですが、この日は日曜日。公共交通機関のみでの移動を余儀なくされている私にとって、バス電車の本数が極端に少なくなる週末に油断は禁物なのです。

 というわけで朝一の電車に乗り、10時ごろにはミュア・オブ・オードに到着。そこから歩いて15分ほどでグレンオードに到着します。



 朝一のツアーは11時から。ビジターセンター自体は10時からあいていると思ったのですが、どうやらビジターセンター自体のオープンも11時からだったようで、オープンまで蒸留所の周りをふらふら。周りには私と同じようにオープン待ちをしている方々が複数組いらっしゃいました。

(くそぉ。日曜日だけ11時オープンなのか)

 
(蒸留所の入り口にはモルティングスもある。60年代まではいわゆるサラディン式のモルティング設備を有していた。今でも、タリスカーを始めディアジオ系列のモルトを製麦している)


(駐車場の前並ぶウェアハウス。黒色の壁面がかっこいい)

(ディアジオ社所有の蒸留所らしく、巨大な窓からは6基のスチル全ての様子を伺うことができる)

 ほどなく、オープンの時間が来て建物の中に入っていきます。

(充実のショップ。蒸留所限定のような特別なボトルはないが、基本的にシングルトン・オブ・グレンオードはアジア向け。そう考えると、シングルトン自体が特別なボトルということができるかもしれない)

(ツアーの受付を済ませ、ショップの隣にあるエキシビジョンエリアを眺めながらツアー開始まで待ちます。このエキシビジョンも結構しっかりしているのでオススメです)

 ツアー開始は結局11時半だったよう。時間になりスタートしますが、ディアジオ系の蒸留所は施設内の写真撮影が禁止。仕方ないのでなるべくガイドさんの解説を聞き逃さないように集中していきます。

(かっこいいパゴダ屋根とタンク)

(今回のツアーで新しい発見だったのが、左右の建物をつなぐパイプ。ガイドさん曰く「シングルモルトっていうのは一つの蒸留所で作られるウイスキーのこと。あのパイプが繋がってなかったら、ここは一つの設備と言えなくなっちゃう。あそこが繋がってることで、ここはシングルモルトを作ることができる。すげー重要なパイプなんだ」と。なるほど。しかし「シングルモルト」ってどこまで厳密に定義される概念なんだろうか。。)

 このガイドさんの解説は、今まで真剣に考えたことがなかった「シングルモルトとは」みたいな、超基本的な疑問を私に与えた。それまでは「んなもん、1箇所の蒸留所で作られたモルトのみを使用してたらそれがシングルモルトじゃ」という解説で納得していたのだが、例えばクライヌリッシューブローラのように建物が別ならブランド名も変わる。グレンロッシーーマノックモアの場合も建物こそ別だけれど、これらの建物は完全に同敷地内に建てられている。そうなると、スチルハウスを2つ持っているグレンフィディックのような大規模蒸留所はどうなる?マッカランが新設した新蒸留所で作られたモルトは「マッカラン」と呼べる?どこまでを「1箇所の蒸留所」と言っていいのか、明確なルールでもあるのだろうか。。

 前回の訪問では、全く意識しなかった疑問が新しく生まれてくる。蒸留所巡りってホントにいいもんですね。みたいな気分で、ツアーは終了。次の電車の時間が迫っていたため、最後の試飲は「スランジバー」と共にくいっと飲み干し「さんきゅー。でも時間ないんだ!」と断って、さっさと蒸留所を後にします。
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GLEN ORD Distillery(グレンオード)
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2017.08.26【日記】

117. ブリュードッグ(ローンウルフ) / Brewdog(Lone Wolf)その2

2017.5.20

 前日から続く過剰飲酒と睡眠不足により、ツアー中に睡魔のピークが来てしまった私。とはいえ、こんなせっかくの機会を逸するわけにはいかないので、文字どおり頰をつねりながらツアーの続きです。
 しかし、食堂を出た私の目に飛び込んで来たその景色は、私の目を覚ますのには十分なインパクトのあるものでした。

(きたー!ローンウルフ蒸留所です)

 2016年、4月に蒸留を開始したこちらの蒸留所。当面はジンやウォッカの蒸留を行うということですが、当然ウイスキーも蒸留している様子。しかし、そこはブリュードッグ、果たしてどのようなウイスキーを作っていくのか、とても楽しみです。

(スチルは全部で4基。いわゆる"普通の"見慣れたスチルは、一番右のランタン型ポットスチルのみ。一番左にある「パイロットスチル」は、容量なんと50リッター)

 正面に置かれた二つのスチルはウイスキー用で、左のなんとも奇怪なデザインの方がウォッシュスチル、右手がスピリットスチルとのことだが、これがとにかく面白い。
 ウォッシュスチルに対する説明で「この形にすることによって、より銅の作用を受けたスピリッツを取ることができる」というようなことを言っていた。理屈としては分かる。これだけぼこぼこさせればスチル内での逆流液も増えるだろうし、その分「凝縮・再蒸発」は細かく繰り返され、サルファリーからエステリーへの転換もされやすいのだろう。しかし、なんというデザインか。話によると、夢に出てきたスチルのデザインを相談したところ「面白そうだね」ってことで採用されたらしい。もう、さすがとしか言いようがない。
 さらにはそれぞれのコンデンサーにも特徴がある。通常のコンデンサーより細く、いくつもの窓があるように見えるこちらのコンデンサーはなんと温度のコントロールが可能になっている。これにより、スピリッツの性格を重くしたり軽くしたり、またミーティにしたりすることが可能ということだった。

(さらに正面右手にある2本の長いスチルにもご注目いただきたい)

 正面にある2基のスチル、左手にあるアランビック型の小さなスチル、そして右手に生えている2本のスチルが、カラムスチル、いわゆる連続式蒸留釜である。
 背の高い方(屋根ぶち破っとるがな。。)は8枚のプレートが仕込まれており、一回の蒸留で80~90%のスピリッツを取り出すことができる。
 ブリュードッグがこれらの変形スチルを使って、どのようなウイスキー(あるいは全く新しいスピリッツ)を作り出そうとしているのか。それはまだ誰も知らない話ですが、それは間違いなくブリュードッグイズムに裏打ちされた、オルタナティブな製品になることは間違い無いでしょう。

(雑然と積まれたダンボールたち)

 ツアーはそこからさらにボトリングプラントの方へ進んでいきます。

(5AMがぐーるぐる)

(さらにはケグに充填する設備もあった。ブリュードッグといえばキーケグの印象ですが、普通にステンの樽もあった)

(施設内のいたるところに、”らしい”アートワークが施されているのが印象的だった)

(タンクにも)

 これでツアーは全て終了。最後にパブまで戻り、もう一杯の試飲をもらって「スランジー!」で解散。
 なんとか最後まで意識を保っていた私ですが、もうビールは入らない。かといって残すわけにもいかず、無理くり流し込むようにしてそいつを煽ると、ふらふらでブリュードッグを後にします。

 エロンからバスでアバディーンにたどり着いたのは19時半も過ぎた頃。しかもこの日は最終の電車でインヴァネスまで行ってしまう予定だったので、アバディーン市内で遊ぶ時間がない。前回スペイサイドフェスで来た際も、すぐにキースまで行ってしまったし、アバディーンはホントに通過するだけになってしまった。
 この日のタイムテーブルをおさらいすると、7:00ダブリン発 8:40アバディーン空港着 10:00オールドメルドラム 11:00グレンギリーツアー 14:00エロン 16:00ブリュードッグツアー 19:40アバディーン 20:15アバディーン発 22:34インヴァネス着 おやすみなさい!というもの。ホステルについてからの記憶はほとんどないような状態で気絶。タフで長い一日でした。
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2017.08.26【日記】

117. ブリュードッグ(ローンウルフ) / Brewdog(Lone Wolf)

2017.5.20

 グレンギリーを後にした私が向かうは、そこから西へ15キロほどいった場所にあるエロンという町です。



 アバディーン、エロンといえば皆さんにはもうお分かりでしょう。そう、今度の目的地は、現在まで続く世界的なクラフトビール旋風のまさに旗手、ブリュードッグ醸造所です。

 グレンギリーのあるオールドメルドラムーエロン間は、週2ほどでバスが出ているのだけれど、それ以外は一旦アバディーンまで出て折り返すようにしてエロンに向かわないといけません。しかし、そこに行くと私なんかは慣れたもの。きちっとタイムテーブルを確認した上で、エロン行きのバスが出ている日程で移動しております(ホントはたまたまラッキーなだけでしたけど)。悠々とバスでエロンまで向かいます。
 無事エロンまで到着したのはいいのですが、ブリュードッグは町でもかなり外れの方にあるため、バス停からでもかなり歩かないといけませんでした。そして15分かそこらも歩いたでしょうか。ようやく今日二つ目の目的地に到着です。

(目の前に現れたでかいタンク群)

(どどーん。はいきましたー、ブリュードッグでーす)


(WELCOME TO PLANET BREWDOG!)

 ブリュードッグのお送りするツアー「The Dog Walk」は完全予約制。1日2回(週末は3回)開催で、完全時間指定のため、事前にきちんと調べてから行くようにしましょう。
 私はこの日最後の16時の回を予約。到着したのは14時半ごろ。これくらい時間に余裕を持って移動するのが、できる旅慣れテーラーってなもんですね。

 さて。ツアーまではまだ時間がある。そしてここはパブ併設の工場。となったらすることはもう一つですよね。

(はいきたー)

(はい知ってたー。それ知ってたー)

(この「DOG TOP」でしか飲めないビールもあったのに、なぜか「いや、ここはあえてド定番をつくのが通でしょ?」みたいな変な意地で注文はパンク。ここまできて、結局パンクとピザをSNSにあげているのだから、やっていることは六本木とたいして変わらない)

(ショップも充実しております。ここでしか買えないようなボトルないかなー、と思っておりましたが、取り扱いはスタンダードレンジのみだった)

(アート)


(カウンターを背に逆側にはタンクが)

 パンクを一杯ゆっくりやって、ショップやら何やら眺めていたら、ほどなくツアーの時間、バカでかい荷物を倉庫の片隅に置いてもらい、いざ90分の充実ツアーの始まりです。

(最初に案内されたオフィスに貼られていた社訓?)

(オフィスでもらった最初の一杯「ジェットブラックハート」をちびちびやりながら、壁に貼られている、創業2007年からのブリュードッグの成長の歴史の解説を聞きます)


(そしてタンクルームへ)


(ZIEMANN社製の製麦タンク。こいつで麦を焙煎したりします)

 
(下に降りてみると、パイプがそこら中に張り巡らされている)

(タンクルームのあとは社食へ。ここでこの日二杯目の試飲。これがなんだったか。確か黒いやつで。。スパイシーだったような。。)

 完全に私事で恐縮ですが、この時私、すっかり眠気と酔いがピーク。そりゃそうだ。前日から、さよならダブリンパーティで泥になるまで飲んで、そのまま一睡もせずに空港へ。機内で多少仮眠をとったとはいえ、そこから一軒、すでにウイスキー蒸留所なんかも挟んでいるし、ツアーの待ち時間ではパンクなんかも入れてしまっている。もうすっかり脳みそが働いていない状態で、せっかくのガイドさんの説明なんかにも、ただひたすら首を上下させるだけ、ライク赤べこ。試飲でもらう小さなプラコップに入っている30mlかそこらのビールさえ入っていかない状態で、もうダメだ。眠い。私に今一番必要なのはビールではなく寝床。
 そんな気分で、長くなってしまったので続きは次回!果たして、無事にツアーを完遂することはできるのか!?
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2017.08.26【製造元レポート】

グレンギリー蒸留所へ

2017.5.20

 ダブリン発、朝一7時のフライトでアバディーンに向かい、アバディーンに到着したのが8時40分。アバディーン空港は、シティセンターから少し離れたダイスという場所にあるのですが、この日一発目の私の目的地はオールドメルドラムにあるグレンギリー蒸留所。シティセンターに向かうよりも、空港から最短で行けるようなバスを探し、一回乗り換えをしながら10時ごろにはオールドメルドラムに到着します。
 


 ギリーでの一発目のツアー時間は11時から。時間が来るまでショップの片隅でおとなしく待ちます。

(石造りのかっこいい、ハイランド最古の蒸留所)

(ショップは充実しており、ハンドフィルのボトルも3種類も。左からいい色したファーストフィルシェリー1997 19年の130ポンド、リフィルバーボンのなんと1978!38年!495ポンド!そしてバーボンカスク1991の25年もの195ポンド。うむむ。高いな。しかし。。ギリーのオフィシャルシングルカスクで38年ものて。。こんなななな)

 先にネタバラシをしてしまうと、結局、このハンドフィルのやばいやつは買わなかったんですよ。これからまだ旅は続きますし、そもそも荷物はすでに重いですし。でもね。いまね。ホントに後悔してます。495ポンド、7万円超。。うぐぐ。うぐぐぐ。

 さて、少し取り乱しましたが無事にツアーはスタート。

(ツアーはキルンの中からスタートします)

 現在、グレンギリーはご存知日本が誇るビッグカンパニー、サントリーの所有。94年にサントリーに所有が移った後、95年には一度操業を停止し、97年にリオープンを迎えるわけですが、この操業停止以前と以後で、明確に変わったのがピート使用の有無。元々ギリーとピーテッドモルトの関わり合いは深く、ディアジオの前進であるDCLが所有していた60年代後半まで、同社のピート原酒を供給する重要な蒸留所としての役割を果たしていました。それが、同社がヘビーピートモルトの生産を、当時の「クライヌリッシュ蒸留所」(現ブローラ)に賄わさせ、代わりに「第2クライヌリッシュ蒸留所」(現クライヌリッシュ)の建築を始めたことにより、ギリーのピート原酒製造工場としての役割が軽くなり、結局モリソン・ボウモア社に売りに出されることになります。その後、サントリーにわたるまでピーテッドモルトの製造は続けておりましたが、そこでサントリーが仕掛けた大きな変革が2つ。一つはノンピートモルトの製造への切り替え、そしてもう一つが、ブレンド原酒としてではなくシングルモルトとしてボトリングするようにしたということ。いまどうなっているのかははっきりと分からないのですが、ゆくゆくは100パーセントシングルモルトにするって聞いたような。。この辺詳しい方いらしたら教えてください。

(ご存知ポーテウス社製のミルマシンに)

(でかすぎて収まらないマッシュタン)

(そしてウォッシュバック)

(からのスチルハウスである)

 ギリーのスチルは1:2の変則組み合わせ。このスチルにはいくつかの情報が混乱していてどれが正しいのかよく分からない。ネッで情報をあたってみると「昔は2基しかなかっただが、1978年に新しいスチルを追加した」という情報が多く出てくるのだけれど、この時ガイドさんに聞いたら「もともと4基だったけど、ウォッシュスチルを1基外したんだ。だから一番奥のスピリットスチルも今ではあまり使っていない」というもの。私の手元にある、グレンギリーのオフィシャルブックにも「以前はウォッシュスチルが2基あった」というふうに記されているので、おそらくはこちらが正しい情報だと思われる。となると、前者の説はどこから出てきたのか。。
 こちらのスチルは面白くって、その変則的な組み合わせもさることながら、一番の特徴はなんと言ってもウォッシュスチルのアームの長さ。今回、その長さをお伝えするためにパノラマ撮影を敢行してきました!そんなこともできる。そう、iPhoneならね!

(びよーん。思ったよりいい感じに撮れて満足です)

(そして、手前のスピリットスチルのアームにご注目ください。ぐぐっと下向きに伸びたかと思えば、コンデンサーにつながる直前でぐいっと水平に曲げられている。さらには2基あるスピリットスチルの形も違う。ホント面白いスチルハウスです)

(ウェアハウスはダネッジ式)

 ツアーを終えてビジターセンターに帰ってテイスティング。定番の12年と、ファウンダーズリザーブを。余談ですが、現在、日本国内では終売となってしまっている12年、早く復活しないですかね。ホントにいいモルトだと思うので切に復活を希望しております。

 試飲も終えて、ショップにディスプレイされたハンドフィルドボトルの前で、うーんうーん。ちょうどまだガイドさんがいたので「ギリーのピートは復活しないの?」とか聞いていたら「そこにあるボトルの一つはピーテッドだぞ。ちょっと待ってろ」と1991を少しだけ試飲させてくれた。クリーミーな質感にややストロベリー系の甘味、そして微かなに香るピートと、非常に美味しかった。その波乱万丈な蒸留所の歴史とともに味わいを変えていったグレンギリー。オールドボトルももちろんですが、97年以降のボトルでどんどん美味しいボトルが出てきてくれたら嬉しいですね。
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■関連付けられた情報

GLEN GARIOCH(グレンギリー )
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2017.08.26【日記】

ダブリン最終日。

2017.5.20 ~

 さて、スピリット・オブ・スペイサイドからダブリンに戻って来た私。その後2週間ほど、仕事にパブ巡りに遊びにと、ダブリンでのいつも通りの生活を過ごしていたのですが、なんと私のビザはこの月末までの滞在しか許していない。あっという間に一年が過ぎ、滞在期限はすでに来ていたのである。悲しいような嬉しいような、充実したような全然足りないような気分です。選択肢としては、仕事もあることだし、そこのマネージャーにお願いしてワーキングビザを取り直すという手もある。実際「お前が残ってくれるんだったらいくらでも申請書書くぞ」とも言ってもらったのだけれど、結局私は当初の予定通り帰ることにした。実際、もともとなんのツテもない、語学力もないような状態でこちらに来た私が、現地のパブで働くことができ、さらにはそうして認められたというのは本当に幸せなこと。マネージャーを始め、ここの同僚にはホントに感謝してもしきれません。最後は「まぁいつでも戻ってこい。俺がトーキョー行ったらウイスキーおごってくれよ」と送り出され、感動のダブリン最終日を迎えたわけです。

 日付が変わってもまだパブやクラブをはしごして、家に帰って来たのは3時ごろ。そこからさらにフラットメイトたちと出立ぎりぎりの時間まで飲み続けます。職場の同僚や、それ以外の友人たちとの別れもぐっときますが、やはりフラットメイトとの別れは格別。特に、最初から最後まで1年間ずっと一緒の部屋に住んでいたデイビッドとの別れは、ホントにぐっときた。敢えてアイリッシュ的なエクスプレッションをさせていただくと、ホントにクソみたいなやつだった。酒とネットゲームが好きで、人見知りのくせに人懐っこく、私がやることなすこと全てにケチをつけ、押し付けがましく「教えてやるよ」と間違ったり偏ったりした意見をぶっこんでくるようなやつだった。それでも、辞書を引き引きやっていた私と二人で朝までお互いのことを語りあったり、一緒にポケモン捕まえにいったり『T2』を観にいったり、私のためにゲール語講座を開いてくれたりと、ホントにたくさんの時間を過ごした。酒飲んで、わいわいやっている時なんかは「なんで俺は英語もろくに喋れないのにコイツのことこんなに知っているんだろう。なんでコイツは俺のことよく分かってるんだろう」と不思議に思ったりもしたけれど、そりゃ朝な夕なと一緒にいりゃあ嫌でもそうなるのかもしれない。私がこちらに移り住んでまだ間もない頃、確か『キル・ビル』の話が出た時、彼が「マジ、サムライソードってクールだよな。日本人ならアレ作れないの?」みたいなベッタベタなことを聞いてきて「まさか。俺が今からサムライソード作り始めたとしても、少なくとも15年はトレーニーだよ」みたいな適当な返事をしたことがあった。彼は「OK、じゃあ15年後に俺は日本に行くから、それまでに作っておいてくれよ」と笑っていた。そして迎えた、この日最終日。他のフラットメイトとは部屋で別れたのだけれど、彼は一人、アパートの下まで私を見送りに来てくれて、照れ屋の彼にしては珍しくハグして別れの挨拶を。「じゃあ今度は15年後に、お前が日本に来る番だな」と私が言うと「いや、もう1年経ったから14年後だな」と笑顔で返してきた。ホントに彼のおかげで楽しい1年だった。

 そんなこんなでセンチメンタル過剰。まだ明けきらない5時ごろのダブリンをバス停まで歩き、あーこの街も最後か。果たして私はこの街の一部になれたのだろうか。など物思いにふけりながらバスに乗り、空港を目指します。

 1年分の重い荷物を背負って、もうそのまま日本に帰国すればいいのに、そこが私の卑しいところ。折角こっちにいるんだから、最後まで楽しみ倒そうと、これから約10日に及ぶスコットランド、最後の蒸留所巡りの旅に出ます。

 最後に選んだ最初の目的地は、前回と同じくアバディーン。さぁラストスパートの始まりです。

(ダブリンで最後に撮った写真。通い慣れた、ダブリンの目抜き通りの一つ、ヘンリーストリート。この日はフライデーナイト明けだったので、ふらふらしている人が多かった。私も)
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2017.08.24【日記】

スピリット・オブ・スペイサイド 2017 その6

2017.4.30 ~ 5.2

 翌朝。私にとっては今回の旅最終日です。スペイサイドフェス自体は、その前日で終了しているのですが、飛行機の時間ぎりぎりまで蒸留所巡りをしようと、目指すはエルギン、グレンマレイ蒸留所です。

(こちらはエルギンの町外れで見つけたレストラン。明らかに蒸留所だった建物を使用している)

 昨日ハイランダーインで知り合ったご夫婦とは、10時にグレンマレイで待ち合わせをしていたので、そこまではてくてく歩いて行きます。

(この日も晴天。日頃の行いですねぇ)

(正面の建物はスチルハウス。屋外コンデンサーの存在感が眩しい)

 ほどなくご夫妻と合流して、朝一のツアーに参加するためビジターセンターへ。

(グレンマレイはショップも充実している。ボトルもアイテムも。これがこの蒸留所をオススメできるポイントの一つ)

(文字通りハンドフィルのボトルもあります。これもオススメポイントの一つ)

 時間になりツアー開始。こちらの蒸留所はツアー中ほとんどすべての場所で写真撮影が可能。これがオススメポイントの(略)。

 こちらの蒸留所も、ウイスキー需要に応える形で、2012年から2015年にかけて増産設備の導入を済ませたところ。70年代には自社製麦を行っていたモルティングサイト跡地に建物を建て、そこに10のウォッシュバックや12のスチルを含む大きな施設を作り上げました。せっかくなので、私が2012年に行った際のレポートと併せてご覧いただくと、どこが変わったかが間違い探しできるかもしれません。

(あっちの方が新設備。。かな?)

(まずはモルトビン。前回と比べると色が塗り替えられている)

(マッシュタンやその脇のアンダーバック、ウォッシュバックが並ぶ)

(そしてスチルハウスへ。違和感を覚えたのが手前の2基)

(この部屋には全部で6基のスチルがあるのだけど、一つ一つに「SPIRIT STILL "1」など番号が振られている。そして、6基全てが「SPIRIT STILL」なのだ。写真にある二つのスチルなどはハンドルが赤く塗られている上に窓まである。本来このカラーリングなんかはウォッシュスチルに施されるもの。ウォッシュスチルをそのままスピリットスチルとして流用しているということなのだろうか。。前回来た時もこういう感じだっただろうか。。)

 残念ながら新蒸留所の方は見学ができなかったのですが、個人的に今回の訪問で一番面白かったのがウェアハウス。こちらの蒸留所はフランスの、ラ・マルティニーク社の所有。そんなこともあってか、ワイン樽熟成では他にないような面白いボトリングをしています。今回、この蒸留所の樽遊びの幅をうかがい知ることができたので、そんな情報を現地からお届け!

(ダネッジ式の伝統的なウェアハウス)

(右から、ピーテッド・オロロソ、コニャック)

(シャトー・ディケム、バーガンディ、ボルドー)

(ピーテッド・フィノ)

(ラム、マディラ、ポート)

(最後はサイダーにスコティッシュエールまで)

 オーナーのラ・マルティニーク社はポートやマディラ、カルバドスやアルマニャックで有名な、フランス国内で2番目に大きなスピリッツカンパニー。その豊富なコネクションから手に入る良質なワイン樽に加え、ビールやサイダー樽、さらにはピートタイプのモルトなども製造しており、非常に興味深い。日本国内だとどちらかというとマイナーに位置する蒸留所かと思いますが、これはどんどん面白くなっていきそうな予感がびしばしする蒸留所です。

 試飲も終えて、われわれはエルギンの町へ戻ります。

(目的はGM社。眼福眼福ゥ♪)

 到着したものの、私はこの日15時半のフライトでダブリンへ帰る予定だったので、あまり時間がない。さささささーっと店内を見るだけで、お二方とはお別れ。短い間でしたがお二人のおかげで楽しいひと時を過ごすことができました。

 エルギンからは電車に乗って、アバディーン空港最寄りのダイスという町まで行き、そこからバスで空港へ。いつものことながら弾丸旅ではありましたが、存分にフェスティバルの空気を楽しんで、ダブリンへと帰ります。
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