ストイックなドリンカーの日々 ~Drinker's Diary~

ストイックなドリンカーの日々 ~Drinker's Diary~

モルトウイスキーをこよなく愛する男の日々のテイスティングや考えたことを掲載します。

2015.10.11【日記】

初心者向けの話(再掲載)と,評価の個人差に関して最近考えたこと

サケドリ運営の方々とは毎日連絡を取り合い,連日頑張ってくださっているのですが,状況は改善せず,現状のままでは何度やっても画像が全く貼り付けられない状態になってしまいました。
※原因はわかっていませんが,これから時間があるときに,別のブラウザを使って投稿するなどの方法で投稿を試みる予定です。

そしてさらに残念なことに,画像付きのストック記事もなくなってしまいました。
復旧するまでどうしましょう。

テイスティングノートはたくさん溜まっていますが,さすがにここで紹介するならボトル画像が一緒に欲しいところです。

そこで,1年以上前に掲載した,モルト初心者向けの記事を改めてご紹介します。

最近,また初心者にお勧めのウイスキーを教えて欲しいというご連絡をしばしばいただくようになりました。
その時はこのページをお勧めしています。

まだ読んでくださってない方がいらっしゃいましたら,結構一生懸命書いたものなのでぜひご覧ください。

・モルト初心者にオススメするウイスキー・前編
 (
http://www.sakedori.com/s/matsuki/blog/7010.html

・モルト初心者にオススメするウイスキー・後編
 (
http://www.sakedori.com/s/matsuki/blog/6943.html

※リンク先の過去記事内のリンクは,ウスケバからサケドリに移行した際に機能しなくなっていますのでご注意ください


そして過去記事の貼り付けだけというのも寂しいですから,これに加えて,最近ウイスキーについてちょっと考えたお話しとして,香味の認識に関する閾値の話を掲載しておきます。

※「閾値」というのはここでは「その値を超えるか超えないかで大きく異なる境界=ボーダーラインとなる値」と認識してください

普段,同じような嗜好のドリンカーだなと思っている仲間と一緒に飲んでいても,パフューミーやサルファリーや紙っぽさなど一般的には好ましくないと言われる要素に関して,許容範囲かどうかで意見が割れることがあります。
これは自分的には絶対受け付けないというレベルのもの2種類があって,自分としてはほぼ同等に苦手という場合でも,別のドリンカーはそのうち片方はOKでもう片方は私と同様に苦手と評価されることがあります。
しかし,私が何度比べても2つには明らかな違いがあるとは思えないのです。

オフフレーバーほど顕著ではないかもしれませんが,好ましい要素に関しても同様のことが言えるようにも思われます。
例えばラフの粉っぽい凝縮感やドロナック1972のシェリー感など,私が好ましく思うことの多い成分に関しても,明らかに同系統に突き抜けて魅力的と感じる2種類を同等に優れていると思っても,やはり片方だけが特別だという感想を持たれるドリンカーさんがいます。
しかし,私が何度比べてもそこまで明らかな違いがあるとは思えません。

もしかしたら私に特に顕著にあるクセなのかもしれませんが,特に好きな要素,嫌いな要素に関しては,過剰評価してしまう部分があるのではないかと思います。
その原因として考えたのが,その要素に関して良くも悪くも突き抜けていると感じるボーダーライン=閾値があり,それが他の人と比べて低いということではないかということです。

ドリンカーごとに,香味の各成分に関して閾値があり,そこを超えるとそれを強く認識してしまう,それが特に好ましいか苦手と意識されているものに関して顕著にでるという仮説です。
たとえば,人によってはすべての成分が閾値内にあってバランスタイプと評価されたものが,別のドリンカーにおいては特定の成分が閾値を超えているとそこが特別に突き抜けたタイプだと評価されたりする,という感じです。
そして,ここが重要なのですが,わずかな違いであっても閾値を超えているか否かでその人の評価が大きく変わるということです。

オフフレーバーに関しては,苦手な食べ物で考えてみると少しわかりやすいかもしれません。
私はセロリが苦手ですが,サラダに風味づけ以上のセロリの要素を感じてしまうと,つまりは苦手な閾値を超えてしまうと,他にどんな美味しいものが入っていても美味しいとは思えなくなります。というか他の要素を評価できなくなります。それが苦手で無い人にとっては,セロリの存在すら気づかない程度だったりすることもあります。それがここで言う閾値の違いです。

自分が普通だなと思ったものを,特別に美味しいと言う人がいたり,苦手と言う人がいる。
自分の感覚ではよく似た2種類を,全く違うものと認識する人がいる。
好みの問題と言えばそうなのですが,こういう経験は,BARでモルト仲間と感想を述べ合っているときにしばしば経験します。
その時に抱く違和感の一部が,この考え方で納得できるように思われました。

なお,余談になりますが,飲みはじめで経験値が低いうちはオフフレーバーを拾わないのは,その要素を特別な要素として認識していないためその要素を評価する定規をもたず閾値を超えることは無い,逆に経験値が高い人達が比較的オフフレーバーに対して寛容なことが多いのは,程度の激しいものを多数経験することで閾値が上がり,ボーダーラインを超えることがそうそう無くなっているためではないかとも推測しました。

推論ですし,思いついたことを一気に書いたので,わかりづらいところがあったら申し訳ありません。

現時点での考えですが,また何か考えが変わるようなことがあれば,追加で記事にしたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。



T.Matsuki

 

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2014.12.20【日記】

ウイスキーの知識や資格に関する私見 (後編)


さてさて,前回のウイスキーの知識に関連して,資格に関する私見も書いておこうと思います。

有名なところだと,スコッチ文化研究所の認定する、ウイスキーコニサー資格認定試験というのがあります。(その他に今はウイスキー検定というのもやっているようで,多くの方が受験されたようです。)
スコットランドなどウイスキー生産地の地理、歴史、そして蒸留所とウイスキー製造に関する知識などを問われる試験です。

コニサー試験のうち,自分はウイスキープロフェッショナルという資格を、資格が発足した2007年の試験で取得しました。
その前段階のウイスキーエキスパートという試験は筆記試験のみで、プロフェッショナルにはテイスティングの試験もあります。
試験や認定にあたってそれなりの料金は掛かりますが、闇雲に合格者を量産して更新料を延々ととり続けるような資格とは異なり結構良心的な資格だと思っています。



コニサー資格認定試験のテキストです。
今は改訂・増量されて2冊になっているようです。



とはいえ、この資格試験に関しては賛否両論あると思います。
私も有資格者ということもあり、いろいろ聞かれることがあり、ここらで自分の思うところを書かせていただきます。

前回書いたように,私はある程度以上の知識があった方がより深くウイスキーを楽しめると思っています。

ではプロの方ならともかく,一般の愛好家にとっても知識の延長で資格も取ったほうが良いのでしょうか。
これはしばしば聞かれますが、その人の状況にもよると思います。

すでにある程度以上の知識があり,ウイスキーの世界にどっぷりとつかっており、自分のウイスキーライフに満足している人、そんな人にとってはこの資格を取って特別良いことはないかもしれません。
正しい知識を体系的に整理し直す機会にはなるかもしれませんが,わざわざ受験料・認定料を払ってまで資格を取ることにメリットがあるかどうかは微妙なところです。

では,当時の私のように,ウイスキーの世界に浸かり始めた人達にとってはどうでしょうか。

ここで私というドリンカーの一例をご紹介します。

私にとっては,いろんな書籍を読んだもののバラバラだった知識を整理し,体系的に理解することができる良い機会になりました。
このコニサー試験の教材は,結構難しいところもあるのですが,とても良くできていて当時の自分の痒かったところに丁度手が届く内容でした。
あいまいな部分が少なく正しい知識を得られたというのも大きかったです。
それなりの割合を占めるスコットランドの歴史などについても、スコッチウイスキーとの関連もありますし、関連が無い部分に関しても普通に興味深かったです。
生産地の風土や歴史への愛着がより増すことは、人が作るウイスキーというものへの愛情にもつながりました。
これがなければ,新婚旅行でスコットランドに行くなんてことは無かったと思います。(笑)

では知識だけでなく資格までとる意味はあったかというと・・・,ありました。
自分にとっては、この資格がパスポートとなりました。
若造にとって,底が見えないくらい深遠でマニアックなウイスキーの世界に入っていくのには,勇気がいりました。
そんな時に「自分には少なくとも最低限の知識とテイスティングスキルがある」という自信は、そこに踏み込むためのパスポートになったのです。
そんなパスポートなど不要という人は別ですが、どのくらいの知識とテイスティングスキルがあれば普通なのかという尺度が無い世界において、ある程度の尺度になりうるこの資格は私にとって有意義でした。
高い敷居を感じていたモルトバーにも通えるようになりましたし,周りのマニアの人たちの会話の意味も最初からある程度理解できました。
そこで物怖じせず経験を多く積むことで,加速度的に成長できたと思います。

そして,これは私だけでないと思いますが,試験合格というわかりやすい目標があった方が知識を付けるモチベーションが保てるのではないでしょうか。

また,資格取得をきっかけに,それを生かしてウイスキーのイベントを主催するなど裾野を広げる活動をされている方もいらっしゃいます。

そんなわけで,ウイスキーの世界に浸かりはじめた人にとっても,私のように資格が有意義になる場合はあると思います。


しかし,そんな当時の私のような人達が資格を取ったからといって,達成感はあるでしょうがウイスキー愛好家として一人前であるかといえば、答えは否だと思います。

私がプロフェッショナルの資格を取得したのは2007年のことで,ウイスキーを好きになって5年程度の頃でしたが,それまではまだ若かったこともありBARは敷居が高く,教えてくれる人もおらず,自分で買って飲める範囲には限りがあり,絶対的に経験が足りませんでした。
それでも勉強してある程度飲んでいれば資格は取れてしまいます。
しかし,香味に関する見識が資格取得に占める割合はごく少なく,資格取得後も知識が増えただけで,特にヴィンテージ,熟成年数,樽,そしてボトラーズなどによる香味の特徴に関する認識というのは薄っぺらでした。
BARなどに行くようになり広い世界に出てみると,当時の私より、そして今の私よりもはるかに知識も豊富でテイスターとしても素晴らしい方々がたくさんいらっしゃいました。

自分が本当の意味でモルト愛好家として成長したのは,資格のための勉強をした期間ではなく,間違いなくその後です。

私のような状況で試験を受けようと思っている人たちに言いたいことは,「資格取得で決して満足したり過信したりしてはいけない。あくまでウイスキー愛好家としての第2のスタートラインに立っただけだ」ということです。
素晴らしいウイスキーライフの扉がひとつ開いたに過ぎないのです。



ウイスキーは,なんとなく飲んでも美味しいですし素敵な時間を過ごせますが,やはり知識をベースにして香味について考えたり現地に思いを馳せたりしながら飲めることに私は魅力を感じ,陶酔します。

それを楽しく実感し続けるためには,しつこいですが知識や経験を増やし,それをベースに考えながら飲み続けるしか無いのだと思います。

また,考えながら飲むほどに理解が深まりますが,同時にわからないことも増えていき,底の見えない深遠さを感じます。
そしてそれが次々と新しい興味を生み出し,飽きることがありません。
結局,どんなに考えてどんなに飲んでも完全な理解には至らないことがわかっていても,続けていくと少しずつそこに近づいている実感があり,それがまた次の素敵な1杯に繋がります。

やはりウイスキーは一生付き合っていける素晴らしい友であり恋人だと思います。



なお,今回の記事は,以前に「モルト初心者にオススメするウイスキー」という記事を書いた際に,そこから派生して書いたものでした。

そのまま温めていたのですが,今回改めてこれをブラッシュアップして公表するに当たって,個人的見解の要素が強いと思ったこともあり,何人かのウイスキー愛好家の方にご意見をいただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。


 
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2014.12.19【日記】

ウイスキーの知識や資格に関する私見 (前編)


NHKの連ドラ「マッサン」の効果で,最近雑誌などで過去にないくらい大量のウイスキー関連の特集が組まれています。
私も「ウイスキー」の文字に反応してしまい,その多くに目を通します。大概立ち読みですが。(笑)

多くは一般向けの雑誌ということもあり,ウイスキーとは何ぞや,どんな原料を使ってどうやって作るか,どんな地域にどんな蒸留所があるのか,などなど,ウイスキーの基礎知識もある程度書いてあるものが多いですね。

さて,ウイスキーを深く楽しみ,テイスティングスキルを上げていくうえで知識はどの程度必要なのでしょうか。
また,それに関連して,ウイスキーに関する資格などは意味があるのでしょうか。
そういったことを以前からしばしば考えており,愛好家のなかでもかなり意見が分かれるところかなとは思いますが,今回良い機会なので私見をまとめてみました。


まず,知識に関してはある程度以上あった方が良いと考えています。

もちろん,なんとなく飲んでも美味しいものは美味しいですし,経験が増えれば好みの幅も広がっていくでしょう。
また,好きな蒸留所の特徴や地域など,わざわざ能動的に学習しなくとも飲んでいるうちに自然と覚えてくる知識もあるでしょう。
とはいえ,効率良く経験値を積んでいくためには,早期からベースになる知識があった方が良いと考えます。

また,未だにマッカランを所有しているのがサントリーだなんてことを当たり前のようにBARで語る人がいたり,ネットで明らかに間違った情報を悪気なく流す人がいたりと,受動的に得た情報はやや信憑性に欠ける部分があると思います。
ウイスキーと真剣に長くお付き合いしていくつもりがあるのであれば,正しい知識を能動的に得ていくのが好ましいと私は思います。

 


これらは私が買って読んだウイスキーに関する本や雑誌などの一部です。
改めて引っ張り出してみるとすごい量です。。。



知識に関して,スコッチのモルトウイスキーに限って具体的に書くなら,
・モルトウイスキーとブレンデッドウイスキーの違い,シングルモルトとは何ぞや
・モルトウイスキーの作り方(製麦,糖化,発酵,蒸留,熟成など)
・蒸留所に関して,
 どの地域のどこにあるのか
 どういう作りをしているのか(ポットスチルの形態,ピート使用の程度,フロアモルティングの有無,仕込み水の硬度,など)
 所有している企業とどういうポリシーで作っているのか(シェリー樽・バーボン樽にこだわる,など)
 過去にどういう作りの変化があったか(~年までフロアモルティング,~年に閉鎖・再開,など)
・樽の種類や樽による香味への影響
・熟成期間による香味の変化
・ウイスキーの飲み方や基本的なテイスティングの方法

パッと思いつくところだとこんな感じです。

他にも,スコッチウイスキー&スコットランドの歴史と背景にある世界情勢なんかも知っていると理解も深まり楽しいと思いますが,さすがにここまで含めてしまうとちょっと大変ですしテイスティングとは関連が薄くなりますね。

上記の知識の一部でもあれば,その部分に関して思いを巡らせながら目の前のグラスと向き合えると思います。
「このウイスキーはこんな味がして美味しい」,というのも,知識があれば,「このウイスキーはこの種類の樽で~年熟成して,この地域でこの時期はこういう作りをしていたからこんな味なんだろうな,そういえば同じ地域のこの蒸留所と似た香味があるな」,などという楽しみ方になります。

あくまで例ですが,
・このウイスキーはブレンデッドウイスキーと比べるとクセがあるけど,それはシングルモルトならではなんだな
・このウイスキーは煙の香りが強くバニラっぽさも感じるが,それはアイラの蒸留所でバーボン樽熟成にこだわった作りだからなのかな
・このウイスキーは複雑なフルーツの香りがあってアルコールの刺激が少ないけど,それは長期熟成したからなのかな
こういったことを考えながら飲み続けるわけです。

また,そうして考えながら飲むと,好みかどうかだけでなく,興味深いかどうかという面でもウイスキーを楽しめます。
より多くの価値観でウイスキーを評価できるようになり,多種多様なボトル達に対して優しくなれる気がします。

そして,そうやって知識をベースに深く考えながら味わった方が,記憶にも残りやすいと思います。
以前記事にしたように,飲み込んでいくと無意識に過去の経験・記憶にあるボトルとの比較をしながらテイスティングをすることが多いですから,より深い記憶を残すことは未来のボトルをより深く楽しむことにつながります。

なお,蒸留所のハウススタイルやヴィンテージごとの特徴,そしてボトラーごとの特徴など,味わいの特徴に関するイメージもあるとテイスティングをより深められると思いますが,これらに関してはあらかじめ知識として詰め込むよりも知識や経験をベースに飲みながら覚えていく方が記憶に残ると思います。
そしてそういう経験とイメージが増えていくと,さらに深く考えながらテイスティングできるようになると思います。

今思い出すと,自分にとってはむしろここから先のほうが,テイスティングをより深く楽しく行うことに直接つながっていったと感じます。
知的好奇心を満たしながら飲み続けていくわけです。飲んでは知識をつけて,またその知識を持って飲む。
そうやって飲んでいくと,理解が深まりさらに知的好奇心を刺激されるようなものに出会うという良い循環に到達します。

ちなみに,私は未だにオールドボトルの知識やその年代を見極めるための知識に乏しいですし,まだまだ蒸留所やヴィンテージによる特徴も十分に捉えられていません。
やはり飲みながら知的好奇心を満たす毎日です。


そんなわけで,いろいろ飲む前にある程度の知識をつけておいたほうが,より楽しいウイスキーライフになるのではないかと私は思います。

一般向けの雑誌の特集もわりとしっかりとした内容だったりすることもありますが,やはり万遍なく網羅されているとはいいがたく,どちらかといえばウイスキーに特化したある程度の量もある書籍を参考にした方が,体系的な知識になりますし,辞書的に使えたりしますし,痒いところに手が届くと思います。


では,どんな書籍が良いのでしょうか?
私の場合,今は次回に書く資格取得の際に使用したテキストが知識のベースになっていますが,正直これはかなりマニアックな内容で,本も分厚く白黒で,それこそ資格を取るつもりでもない限りとっかかりにくいので最初はお勧めできません。
その前には故MJのモルトウイスキーコンパニオン,土屋守さんのモルトウイスキー大全なんかを読みつつテイスティングをしていましたが,主に蒸留所についての知識を得るために使っており,それとは別に体系的な知識をつけるために読んでいた本もありました。
しかし10年以上前のことで,本の名前までは覚えていません。今それが売っているかどうかもわかりません。

私がすでにある程度知識をつけてから読ませていただいた本で,飲み始めのころに読んだら良かっただろうなと思った本には,吉村宗之さんがお書きになった「うまいウイスキーの化学」があります。
持ち運びしやすい小さめのフルカラーの本で,用語や製造,各蒸留所の特徴,そして飲み方に関しても記載があり,とても読みやすいです。
個人的には,樽の種類のディテールやそれらで熟成した結果として出てくる香味などのもうちょっと突っ込んだ内容,そして特に著者である吉村さんが得意とされているテイスティングに関しての記載が欲しいなと思うところではありましたが,モルトに興味を持った人の痒いところの多くに手が届く内容だと思います。

また,私の知人のウイスキー愛好家の中でも,ここ数年の短期間で驚くほどのスキルを身に着けた方(よくコメントもくださる大島さんです)からも教えていただきました。
やはりコンパニオンや大全も使っていらっしゃったようですが,体系的な知識を付ける本としては「ウイスキー&シングルモルト完全ガイド」という本を何度も何度もお読みになったそうです。
せっかくですので,ここで紹介するにあたり,私も買って読んでみました。
マニアックになりすぎないレベルで,イラストや写真も多く,それでいてウイスキーを理解するうえで必要な,特に初心者の痒いところに手が届くような内容がかなり網羅されています。
スコットランドの情報や現地の雰囲気などについて書いてある部分もあり,現地への親しみも湧いてきます。
ちょっと前の本なので,ボトルや蒸留所の情報に関しては今と異なっている部分も結構ありますので,そこには注意が必要(特にボトルとそのテイスティングノートは今のものと違っているものがほとんどです)ですが,先ほど書いたような,ウイスキーを深く楽しむうえで有効と思われるような知識をつけるのには十分に役に立ってくれそうな本でした。

どちらの本も,まだ基礎知識に自信が無い方や,知識を整理したい方には特にお勧めできる内容だと思います。




他にも,特に最近のものでお勧めの本がありましたら,教えていただけると幸いです。

 

次回は知識に関連して,資格の話を書きます。

 
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2014.03.09【日記】

モルト初心者にオススメするウイスキー・後編

前編からの続きです。


さて、美味しくなるかどうかも分からないものに対してそこまで出費もできないでしょうし、前述のように参考にできるテイスティングノートも豊富ということもありますから、飲み比べするなら最初はオフィシャルスタンダードボトルが良いと思います。
ある程度のわかりやすさがあって普通に手に入る安価なもの、それも刺激の少ない加水のものが良いでしょう。
なお、妻の話のところでも触れましたが、特にピートやシェリーの個性というのは最初からわかりやすいようです。

だんだん違いがわかってくると、自分のその段階での好みというのがわかってくると思います。
そうなったら比較するボトルを買い足したり、BARでいろいろ飲んで嗜好の幅を広げていくのが良いと思います。好みの方向性を中心にしつつも、できるだけ好き嫌いせずいろんなものを試してみましょう。なお、ここで素晴らしいナビゲーターたるバーテンダーさんに恵まれると、加速度的に嗜好の幅が広がっていくと思います。
で、気になったものは可能であればボトル買いして、じっくり飲み込んでいくと、新しいボトルのテイスティングの際に比較するベースとなる記憶が増えていきます。(過去記事もご参照ください
その時あまり好みでなくとも、後で美味しく感じるようになったり比べたくなったりすることもしばしばありますので、買って損はないことが多いです。
それを繰り返していくうちにどんどん楽しくなり、自然と蒸留所や年代による個性がわかってくると、もうウイスキーが人生の楽しみのひとつになるでしょう。
なんとなくたくさん飲むより、どうしてこういう香り・味わいなんだろうという興味を持ってじっくりと目の前の1杯に向き合うのが近道だと思います。


最後にあくまで参考ですが、自分が最初に買ったボトルは下記のもので、とても良かったので聞かれた時にはこれをお勧めしています。
そのボトルを何度も飲んでいるうちに認識できるようになったフレーバーも参考までに書いておきます。
なお、すべて加水のオフィシャルボトルです。

・ラフロイグ10年
(ピート、スモーク、その後他のピーティなモルトとの比較でヨード)
・マッカラン12年
(シェリーカスクの個性、その後他のモルトとの比較でサルファリー)
・グレンリベット12年
(クセの無い味、良好なバランス、個性の強いものとの比較のベース)

これらの後に買うなら
・クライヌリッシュ14年
(オイル、粘性のあるテクスチャー)
・グレンリベット18年
(12年との比較で熟成感や樽の違いを認識)
・グレンモーレンジ・オリジナル
(バーボンカスクの個性)
・サマネ
(モルトではなくライ麦ウォッカですが、麦感がとてもわかりやすい)


いかがでしょうか。

最初にも書きましたが、今回の話はモルト愛好家の中でもいろんな意見のあるテーマですし、上記はあくまで私の歩んできた道をベースに考えたひとつの例です。
全然別の道を歩んできた素晴らしいテイスターさんもたくさんいますのでどの道が一番良いのかはわかりませんが、現時点での自分の経験をもとにお答えするとこんな感じです。


今さらですがウイスキーは特に素晴らしい嗜好品だと思います。
一人でも多くの人がウイスキーを人生の楽しみにできると良いですね。
そこに貢献できたら幸せです。



 
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2014.03.09【日記】

モルト初心者にオススメするウイスキー・前編


モルト初心者にオススメするウイスキーについて、考えもあるのでいつかは書こうと思いつつも、結構モルト愛好家の中でも意見が分かれるところでもあるため先送りにしてきました。
とはいえ聞かれることがしばしばあるためそろそろ書いてみようと思います。
もちろん私の個人的な考えでしかありませんが、ここ数年はこの考えに変わりはありません。

まず結論から言うと、オフィシャルスタンダードの個性のあるものを、ボトル買いして飲み比べることから始めるのが良いと思っています。

ウイスキーはアクワイアードテイスト(acquired taste)、つまりは飲んでいるうちに美味しさがわかってくるものであると言われています。
これに関してはその通りだと思っています。
雷に打たれたようにハマったという人もいますが、そういう方は他のお酒を深く飲んでお酒の刺激に慣れており、フレーバーを拾うための素養がすでにある人に多いように思います。

実際、酒に関して何の素養も無い私の妻に飲ませてみることもありますが、スタンダードと伝説級のボトルの美味しさの違いなど全然わかりません。
シェリー系の香りを甘い、ピーティなものを薬臭い・煙い、くらいはわかりますが、飲んでみればすべてが辛い、とそういう具合です。
そんなたまに味見させる生活が何年も続いていますが、興味が無いせいもありますが何の進歩もありません。複雑さや奥にあるフレーバーを拾うところまで深く味わうことはできないようです。

もうひとつ例があります。
あんなに典型的な個性のあるボウモア60年代のフレーバーに関してです。
度数も40%近くまで落ちたダンカンテイラーのボウモア1966の長熟。
これは刺激も少なく特徴的なマンゴーフレーバーがあり、非常にわかりやすい陶酔感があると思い、若かりし頃の自分は、「こんなウイスキーもあるんだぞ」と驚かすつもりで、自分の結婚披露宴で希望者に振る舞いました。
ウイスキーですからある程度お酒を普段から飲む人たちを中心に飲んでいるようでしたが、ピンときた人はいなかったようです。むしろ一緒に開けた高級ワインのほうがずっと好評でした。
もちろん人生の節目に好きなボトルを開けられたのは良い思い出になりましたが、思ったよりゲストの感動はなかったようで拍子抜けした部分もありました。
ある程度飲みなれた人にとっては非常にわかりやすい突き抜けた個性・魅力であっても、ウイスキーの刺激やフレーバーに慣れていないと必ずしも拾えるものではないようです。

蒸留酒の刺激に慣れることもフレーバーを拾ううえでは不可欠ではないかと思うわけですが、そうなると刺激に慣れて美味しくなるまで飲み続けるというところが壁になってきます。
まずはモルトに対して興味があるということが大前提になりますが、興味を維持して飲み続けていくうえでお勧めなのが、飲み比べをすることです。
モルトにはいろんなタイプがありますし、美味しいかどうかは別問題にして違いに関しては早い段階で感じられると思います。それがわかると楽しくなります。
美味しいに到達するまで、違いが興味深く楽しいという理由で飲み続けられそうです。

なお、ある程度飲み込んでくると気になるようになってくる、いわゆるオフフレーバー、これに対しても最初はわからないことが多いようです。
私も最初はサルファリーもパフューミーも全然気になりませんでした。ヒネに関しては未だにわからない時があります。
ですから、なるべくオフフレーバーの無いものをというよりは、比較できる個性のあるものを選ぶ方が良いのではないかと思います。

それから、これに関しても賛否両論あると思いますが、飲み比べはBARでたくさん比べるよりボトル買いして家で数種類をじっくりやるほうが最初は良いと思います。
理由は、蒸留酒に対する慣れとベースになるボトルの香り・味わいの記憶が無ければ、ショット1杯の比較ではそれぞれの違いをしっかりと認識して記憶するには至らない可能性が高いと思うからです。
また、自分が本格的に飲み初めた頃かなり若かったということもありますが、BARに慣れるまでは落ち着いてテイスティングできなかったという苦い記憶もあります。(※最初からBARでも落ち着いてテイスティングできる人や、初心者を的確に導いてくれる良いバーテンダーさんがいる環境の人は別かもしれません。)
そしてボトル買いして家で飲むなら、感想を書き残し、次回同じものを飲む時に比較することもできます。これが意外とモチベーションになったりします。
今は、ネット上に参考にできるテイスティングノートがたくさん公開されていますし、初心者向けの書籍もあります。特にオフィシャルスタンダードボトルに関しては探せばすぐに見つかるでしょう。
腰を据えてじっくり比較しながらボトルとお付き合いして、体をウイスキーに慣らし、違いを認識し、これからたくさんテイスティングしていくうえでベースになる記憶をいくつか刻み込むのがお勧めです。
そうやってベースになるボトルを何本か作ってしまうと、それらとの比較でテイスティングノートが書けるようになり、探さなくても拾える要素が増えるので、テイスティングが安定し、無駄な時間もかからなくなり、目の前のボトルならではの特徴も捉えやすくなると思います。


後編に続きます。


 
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