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グレンオード 1962-1984 22年 サマローリ ブーケ

圧倒的。何も諦めないタイミングで詰められたボトルだと感じます。

 

グレンオード GLENORD 1962-1984 22yo SAMAROLI BOUQUET 58%
one of 720 bottles

香りは強く芳醇、粘性を感じる濃縮感、濃厚なアプリコットジャム、熟したプラムや梅、煮詰めた紅茶、カラメル、黒糖、しっとりと強い麦感には焦げたニュアンスあり、カスタード、レザー、シナモン、ミント、ナッツ、ヒノキや香木感もありアンティーク家具のようでもあるウッディネス、奥から裏打ちするようなオールドピート、飲むと力強いアタックから芳醇に広がる、とろりとした粘性のあるテクスチャー、アプリコットジャムのコクの強い甘味、梅ジャムの酸味、厚みのあるウッディネスと淡い渋味、舌にしみ込む強い麦の旨味、淡いオールドピート、何層にも重なっているような深みがありフルボディ、この上なくリッチ、長い長い余韻。

【Excellent】

サマローリが1984年にボトリングした,グレンオード1962ブーケ。
22年熟成のフルプルーフで,伝説級とされているボトルのひとつです。
出会えたのは今回で3回目でしたが,今までで一番じっくりとテイスティングできたと思います。コメントが長くなってしまいましたが。(笑)

香りは力強く芳醇で,濃縮感のあるジャム感や梅のニュアンスのほかに,プラムなどのフルーツには不思議にみずみずしさも感じます。刺々しさが無く丸みのある麦感もしっかりと感じられ,樽のウッディネスも多彩で複雑さや深みを出しています。裏打ちするようにオールドピートの主張があったのもまた良かったです。
出会いがしらはちょびっとだけ近寄りがたい印象もあるのですが,そこから一歩進むごとに次々に香りを拾っていくことができ,気づくと導かれたように奥深いところまでたどり着いています。そんなノージングはとても楽しいです。

飲んでみると,刺激は強くありませんがフルストレングスらしい力強い口当たりからぐわっと口腔内と鼻腔に広がってきます。
そして香り同様に,どんどん複雑なフレーバーが現れてきます。粘性を感じる濃縮感があり,ジャムのコク深い甘味と酸味,ウッディネスに伴う心地良い渋味,そしてしみ込んでくるような強い麦の旨味,これらがそれぞれまとまりを保ちながらもしっかりと主張してきます。
そして,なんといってもベースにボディと迫力が十二分に感じられることは特筆すべきでしょう。

素晴らしい厚みのある土台の上に,幾重にも重なる構成成分,高次元でバランスのとれた味わいがギュッとおさまっているようなイメージです。
バランスが取れているからといって優等生的というわけではなく,どこか荒々しさも残しているあたりがまた魅力的です。

ボディが無くなっていく前にボトリングするというのがサマローリ氏のポリシーだったようですが,このボトルはまさにボディを残して詰めるベストなタイミングだったのだと思います。
そして,これだけのボディがあるのに香り・味わいとも複雑で熟成感があり素晴らしいというのがこのボトルを含む80年代詰めサマローリの特にとんでもない部分だと感じます。

ここからは私の想像も多く含む内容になりますが,
樽熟成において,これ以上熟成期間が長いと何か大切なものを失いながらしか新たなものは得られないというタイミングがあるようです。
例えば長熟でうっとりするようなエステリー&フルーティを感じるものの多くは,ボディや厚い麦感が失われていると感じることが多かったりします。
実際,多くの樽においては,このオードのようにボディを十二分に残してボトリングした場合,複雑な熟成感を含んだリッチなフレーバーは得られないのだと思います。
ですからきっと,普通はボディなどを犠牲にしながら熟成感を得て,全体のバランスをみながら払い出しのタイミングを考えるということが多いのではないでしょうか。

また,複数樽のヴァッティングということも,このクオリティにはかなり寄与しているように思います。

この時代の原酒と樽のクオリティが高く,しかもそんな中でも厳選した樽のヴァッティングだからこそ,こんな伝説級のものが生まれたのだと思います。

なお,バーボン系の樽が主体にはなりますが,オフィシャル現行品の素晴らしい樽においても,ボディを残しながら熟成感もあるというタイプのものが最近は散見されるようになりました。
これらの樽が長期の瓶内変化の後どういう仕上がりになるのか,今回のオードを飲んで改めて楽しみになりました。

このボトルは,三越前のIANさんでいただきました。

 

#グレンオード (GLENORD) #考えたこと

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