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スプリングバンク 1968-2007 39年 エイコーン #617 47.6%

おみそれしました。すごいバンクでした。

 

スプリングバンク SPRINGBANK 1968-2007 39yo ACORN'S #617 47.6%

香りはアプリコットやイチゴのジャム、リッチなオークと、ソルトピーナッツ、若葉、アッサムティーと淡くキャラメルとピート。
飲むと口の中で華やかに芳醇に広がる、淡い粘性のある口当たり、香り同様のイチゴっぽさを含むジャム感とコクのある甘味、遅れてブリニー、香木っぽいウッディネス、少し貝のニュアンスのある旨味、少しピート、長く陶酔感のある余韻。

【Very Good/Excellent】

エイコーンさんが2007年にボトリングしたスプリングバンク1968、39年熟成です。

リフィルのシェリーカスクでしょうか、香りにはイチゴっぽさを含むジャム感がしっかりめに感じられ、それに加えてニュアンスにアッサムティーやソルトピーナッツっぽいリッチなニュアンスがありました。

粘性があって芳醇な味わいで、香り同様のイチゴジャム感のあるコク深い甘味と少し海も感じる旨みがあり、ブリニーさも遅れてやってきました。

かなりの長熟ですが良い熟成感のみで過熟感はなく、迫力も感じました。
そして60年代のスプリングバンクらしい陶酔感のある余韻は長く心地よかったです。

ボトリング当時はスペックのわりにやや高額で、日本向けの樽だったということもあって流通量も多く、最後まで市場に残っていた60年代スプリングバンクだったと思います。

発売時にエイコーンの担当者の方が「硬くてなかなか時間がかかりそう」とおっしゃっていましたが、私の当時のテイスティングノートにも、「60年代らしい味はあって旨いが、硬く重く野暮ったいため華やかさに乏しい」と記載していました。

当時はボトラーズの60年代スプリングバンクで飲み頃感のある華やかなものが、まだ安く売っていたということもあり、私も購入は見送っていました。
その後時間をかけてゆっくりと売れていったようで、相対的な値ごろ感が出たころに気づいたら買えなくなっていました。

今回久しぶりにテイスティングしましたが、驚かされました。

硬さが取れ、野暮ったさや重さが複雑さや厚みに変わっており、60年代らしい華やかさを帯びているだけでなく、イチゴジャム感も強まって重層的で深みのある香味になっていました。

昔から時間がかかるといわれているスプリングバンクですが、当時の私はこういう姿になって再会するとは思っていませんでした。
当時優先して買ったシグナトリーやイアンマクロードあたりの飲み頃のものよりも厚みがあり、モルトとしてのピーク時はこのボトルのほうが美味しいのではないかと思います。

こういう悔しい記憶が私の経験・見識になっていくのだと思えばありがたいことなのですが、当時から好きだったエイコーンさんのオリジナルでしたし、やっぱりこれを買っておかなかったことには後悔してしまいます。

 

#スプリングバンク (SPRINGBANK)

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