MENU

東京シルエット 池袋 まるで乱歩の脳内

2009年09月13日



江戸川乱歩。その名前だけで、まだ暗闇が残っていた昔の東京の夜を連想させる稀有(けう)な作家である。

 池袋の立教大学内にある旧乱歩邸。書庫兼書斎の土蔵の中を特別に覗(のぞ)かせてもらった。壁を埋め尽くす和書、洋書、貴重な近世資料の数々。膨大な書物に囲まれていると、まるで大乱歩の脳髄の襞(ひだ)の中に忍び込んでいる心持ちになる。

 愛用の机があった一角に這(は)いつくばって書棚を仰ぎ見る。天井付近に残る昭和の闇。天井板の節穴から見下す乱歩の眼差(まなざ)しを想像して一人悦に入る。

成田一徹
http://www.ittetsu-narita.com/tokyo.html

#成田一徹

この記事を書いた人