Bar.come(大阪・十三のモルトバー)

阪急十三の東口を出てまっすぐ東へ商店街を抜けると、見慣れないボトルがぞろぞろ並んでいます。 コールバーンやノースポートやローズバンクといったポピュラーなもの(笑)から、キンクレースやレディーバーンといったレアなものまで取り揃えております。単にモルトを注ぐだけの店です。 つまみは塩豆のみしか用意していませんので、持ち込みは常識の範囲で自由です。 安心してドアを開けてください。

2008.09.16【日記】

おまけ

 少しお酒が入った状態で、スーパーへお買い物に出かけた。冷蔵庫の野菜室が空になっていたので、補充するのが目的であった。
 しかしその前に無謀にも「焼き肉食べ放題」なるものに挑戦し、腹一杯状態で買い物をすると何を見ても食べたいとは思えず、スナック類と珍味類がほとんどで肝心の野菜はほとんど買わずじまいに終わった。

 めったに行かないスパーなので、あっちへウロウロこっちへウロウロしているうちに、酒の売り場に出た。
 小型ディスカウントショップといった様子で、特に目を引くような酒は並んでいなかった。
 フラーっと1周したら出口に、「もれなくもらえる!ステンレス製ハイボールタンブラー」なるものが、しかも「角瓶オリジナル」の文字がネックにぶら下がっている。
 家の寝酒用のウイスキーが切れている事よりも、おまけの誘惑に負けて購入決定。

 その箱には「おいしいハイボールのつくり方」をちゃんと説明してくれているのだ。
 1.グラスに、氷をいっぱいに入れて冷やします。
 2.冷蔵庫でしっかり冷やしたウイスキーを適量注ぎ、きりりと冷えたソーダを加えます。(ウイスキー1:ソーダ3)
 3.炭酸ガスが逃げてしまわないよう、マドラーでタテに1回まぜます。
 一度飲んだら、やめられないおいしいハイボールできあがり!

 ウイスキーも冷やしておかなくてはならないようである。しかも角瓶である必要はないのだ。
 ソーダもサントリーソーダである必要はなさそうである。
 美味いウイスキーのハイボールは、やっぱり美味いんだよね。
 おまけの付け方も上手いんだよね。
  
COMMENT(0)
この記事を評価するGood

2006.08.24【日記】

飲酒記憶喪失事件

 高校を卒業して、大学も来てもいいと言ってくれ、生まれて初めての独り暮らしが始まろうとしていた。しかし、同級生で同じ大学に進学した学友もなく、親類縁者も全くいない、初めての土地に一人で住むというのは不安なものである。合格発表までは、もう一人同じ大学に行くやつができると思っていたのに。

 例の悪友軍団5人は、大阪の予備校、石川、東京、仙台、広島の大学とばらばらになることが確定した。4月に入るとそれぞれ引越してしまう。ということで3月31日の夕刻、いつものジャズ喫茶。一人だけ進学が決まっていない(予備校に進学したとは当人の言)やつも、当然のように参加。

 この日は、飲みに行くからと宣言の上、小遣いまでせしめていった。母親がすんなり小遣いをくれたことが、少し気味悪かった。父親に教えられた?こんな風は理解していないので、どんな風に飲むことになるかは、行き当たりばったり。全員、財布に十分(いくらあったら十分なのかは不明)入れてきているという。

  まずはそのジャズ喫茶でビールを注文する。マスターが、「おまえら、ちゃんと卒業できたのか。それはめでたい。」といってクアーズを1本ずつご馳走してくれた。マスターを含め6人で乾杯。安心して堂々と飲めるビール。美味い。そのマスターから、「なんぼ飲んでもかまへんけど、飲まれたらあかんぞ。」と言われた。飲まれるって?只で出るわけもいかないので、もう1本ずつお代わり。

 ジャンジャン町へ向け、ゾーロゾーロ。安く飲めて食える場所は、そこ以外知らなかった(その年でいたるところ知っていた、ららそれはそれで怖いものがある)。
 まずは、名物串カツ屋の天狗の暖簾をくぐる。まるでバカ若いオッサン5人組。ビールに土手焼き2本からスタート。串カツ・たまねぎ・じゃがいもなど揚げたてを頂く。ビールが酒になる。2本と3合ぐらいは飲んだだろう。堂々と酒を食らうことにまだ慣れてはいないが、ビクビク感はないからなのか、ウキウキ感がそう思わせるのか、ともかく最高に美味い酒だった記憶がある。

 ここで豆知識。当時の大衆酒場で店の人が注文を通すのに、2級酒は酒。1級酒はお酒。特級は特級と呼ぶ。特級を注文しようものなら、向こう三軒両隣にまで聞こえるくらいの大声で「特級1本」と注文を通すのが慣わしとなっていた。これも下町らしくてよかったが、酒の等級の廃止とともになくなったのは残念。

 受験を終えたホッ感と、自分で自分のことを決めることを世間が認めてくれるウハウハ感と、18歳未満で高校生では出入りできなかった場所も大丈夫になったムフムフ感。でも、何も知らないガキの、ドキドキ感はついてまわる。

 新世界から難波へ、すんなり行かない。あるやつが、「ストリップ小屋があるぞ。行こう~~~」とギトギト横目で見回す。全員ワクワク、モジモジ。私の知る限り、筆下ろしがすんでいたのは一人っきゃないはず。残りの四人はビニ本とポルノ映画でしか、女性の体を見たことがないのだ。一人1900円。学生割引で1700円。あれだけ酒を飲んでもそんなもんなので、高いような安いような。でも高校の学生証は返したし、大学の学生証はまだもらっていない。言いだしっぺが、チケット売りのおばちゃんと交渉の結果1700円でOKは出た。こうなりゃ突撃(1900円でも多分突撃していた)。会話はまったくなしの一時間半は、アッというまに過ぎ去った。飲んだ酒までどっかへ行った気がした。

 次の会話は、飲み直しに行こう。飲むなら洋酒。ということで、難波目指してゾーロゾーロ。みんなやけに口が軽いが、なぜかストリップの話題だけは出てこない。独り暮らしに対する不安(やればすぐに解消するもの)や、大学に対する夢(打ち砕かれる日の近いことも知らず)などが話題の中心。誰が言ったわけでもないが、前に来たパブのあった場所に足が向いた。が、ない。ビルはある。3年間受験勉強にあえいでいる(ほとんどしていなかった記憶もある)間に、パブはビアホールに化けていた。

 行く先の当てのない5人組誕生。ほかに洋酒を飲ましてくれるところで知っているのは、父親に酒の飲み方の教育を受けた、北新地のべっぴんのおばちゃんペタペタ、香水プンプンの店だけ。いくらするのやらさっぱり見当もつかないが、安くはなさそう。ほかの連中も似たり寄ったり。

 一人が突然、家に電話しだした。お兄さんが大学生で、多分どっか知っているだろうということ。しかし、不在。ガックシ。またまた本屋へ。情報誌、旅行案内、小説、参考書、グルメ本など手当たり次第に立ち読み。Lマガジンを購入。割引券付きパブを目指す。

 地図通りの場所にパブ発見(当たり前)。堂々と胸をはってドアを開ける。清く明るく美しい声達が一斉に「いらっしゃいませ」とお出迎え。昔の店と同じ。カウンターに座っている客はなく、ボーイさんがボックス席へ案内してくれる。割引券には、5名様以上ボトル1本サービス、とあったのでちぎって渡す。

 サントリーの角と氷と水とグラス(多分10オンス)が運ばれる。水割り以外飲むなということらしい。
適当につまみを注文して、この日3度目の乾杯。ワイワイガヤガヤと好き勝手な話をしていた。1時間もしないうちに、ボトルが空になる。もう1本頼もうかという話も出たが、そこはLマガジンの力。他の店も割引券付き。そちらに移動することに。

 地図通りの場所に別のパブ発見(当たり前)。堂々と胸をはってドアを開ける(板に付いてきたような気分)。清く明るく美しい声達が一斉に「いらっしゃいませ」とお出迎え。これはどの店も、マクドナルドのスマイルとポテトも一緒にいかがですか、級。この店もボトル1本サービス。また1時間が過ぎ、ボトルが空になる。もう一軒。

 自分のベロベロ度合いには気付かぬまま、3軒目。またまたボトル1本を1時間ほどで空ける。

 ベロベロがベロ~ンベロ~ンに。気分はウホホイ・ルンルン・キャピキャピ。時計は11時に近づいている。ヤバイ、家まで帰れるかなとふと素面に戻った。あるやつの家は天王寺の近所。いざとなればそこへ泊めてもらうことにするさ。ということで一応解散。

 かろうじて最終電車に間に合った。家に電話する時間があったので、最終で帰ることは連絡した。酔っ払いの帰るコールを実践。母親は、気をつけて帰って来いというだけ。最終電車は橿原神宮行きなので、寝過ごす心配はない。6年間お世話になった電車ともしばらくお別れかと思うと、なんとなく寂しい気分になったが、すぐに爆睡。

 終点ですよと、車掌さんに肩をゆすられて目覚めた。お礼を言おうとしたら、ほかにサラリーマンらしい人がもう一人お休みになっており、車掌さんはその人のところへ。ともかく家に向かった。のだろう。
朝(昼過ぎになっていた)起きたら自分の布団にいたのだから。

 駅から家、布団への間の記憶がない。18歳にして帰巣本能のすごさを体験した。多分いつもの道をいつものように?千鳥足で?歩いて帰ったようだ。いくら思い出そうとしても、駅で切符を渡したかどうかさえ思い出せない。どうやって服を脱いだのかは、その散乱状態から想像ができた。

 それよりも問題はガンガンジンジンする頭。のどはカラカラ。台所へ降りていって、水をガブガブ。なぜか、両親がそろってこちらを見ている。父はニヤニヤしているだけで、何も言わなかった。母が
「一人で住むんやさかい、これからは飲まれるほど飲んだらあかんで」
と一言。

 酒に飲まれるというのが何なのか、なんとなく分かった気がした。ついでに初の宿酔を経験した。エイプリルフールであってくれと願ったが、夕方までムカムカ・ガンガンは続いた。



 



 

 
COMMENT(0)
この記事を評価するGood

2006.08.17【日記】

ボトルキープ発覚事件

 8月6日に書いたように、じゃんけんで負けた私は、キープ券を保管する羽目におちいった。家に置いておくのもまずいし、といって学校内で見つかるのはもっとまずい。とりあえず、薄手の黒い紙で包んで、定期入れに入れて持ち歩いた。

 6月にはいると、制服が夏用の白いカッターシャツになる。定期入れの秘密は、胸のポケットに収まって、毎日私地一緒に通学する日々が続いた。

 ある日、そのカッターシャツから定期入れを出し忘れたまま、洗濯カゴへほりこんでしまった。母親も気づかぬまま、洗濯してしまったようだ。定期券とキープ券が、仲良く並んで、風呂場の窓にへばりついていた。ついでに、黒い紙まで干されていた。その黒色は、葬式のイメージにピッタリ。 シマッタよりもヤバイが、私を包み込む。が、よく考えると、一言も叱られていないことに気づいた。なんとなくの不気味さはあるものの、大目に見てもらえたのかとも思っていた。

 数日が過ぎ、夏休みに入ったある日、買い物の後、食事に出掛けるという話になった。大阪の南にある大きな中華料理店で、フルコースだという。私はもちろんホイホイと付いて行った。デザートの杏仁豆腐を食べかけた時、父が、
「あれ持ってるか」と聞く。
「何?」
「キープ券やがな」

 杏仁豆腐は、一瞬にして、甘味も酸味もない、グニュグニュジュルジュルと化した。

 やっぱり知ってたんだ。当たり前といや当たり前だが。覚悟を決めて、定期入れから、ソローッとゴソゴソ取り出して渡した。突然父が、
「お母ちゃんは先に帰っといて。俺、こいつともーちょっと飲んで帰るから。」
と言い出す。

 何が起きようとしているのか、全く想像が付かない私。父親と一緒なら、飲みに行っても誰も怒らないよな、などと安易に考えていた。そこで、例のパブへ。

 「いらっしゃいませ」の清く明るく美しい声がお出迎え(前といっしょ)。
父親と並んで、堂々とカウンターに付く(ここは大分違う)。キープ券を出すと、しばらくしてボトルが出てきた。首に数字を書いた札がぶら下がっている(前と違う)

 「おい、どーやって飲むねん?」と父。
 「コークハイ」と私。
 「じゃ、それを2つ」
 「息子さんと一緒ですか?いいですネ」とバーテンダー?コンパニオン?ホステス?さん。何も答えない父。

 少し口を付けたとたん、
 「うまない酒やな」と私の耳元で父が言う。と同時に
 「計算して」と立ち上がる。
 私もあわてて立ち上がる。
 店の人も立ち上がる。
 前に立ってる?さんは、頭の上に???

 表に出るなり、タクシーを止め
 「北の新地まで」

 当時の私には、それが何処にあり、どんな所であるかなどは、全く知らなかった。今でも、よくは知らない(といことにしておこう)。料亭・クラブ・ラウンジ・バーなどの集合団地に、高校1年の、やっとちんちんに毛が生え始めたガキが、用のあろうはずなどない。

 どっかのビルの2階へ上がっていく父。ネオンと黒い服のお兄さんに圧倒されつつ、付いていくしかない私。どっかの店のドアを開ける父の姿に、新しい一面を発見していた。

 「あ~ら、いらっしゃい」
 「先生、ひさしぶり」
と、清く明るく美しいが、ちょこっと色っぽい、マニュアル通りとは違う、画一化されていない声でお出迎え。
 「息子さんと一緒ですか?いいですネ」と、店のママさんらしい人が、父の横にペタ。
 私の両側にも、ホステスさん(おかんよりは大分に綺麗なおばちゃんたち)がペタペタペタ。
 「ぼちぼち、酒の飲み方ぐらいは教せとかんとな」

 それから、しばらくはその店にいた。何がどう楽しいのか、酒の飲み方はこんなものなのか、よく分からん時間が過ぎていった。香水の匂いだけが、染み込んで来るように思えた。

 帰る時になって
 「送っといてな」と父。
 「はい。いつものように。」とママ。
 「???」と私。
 父、私、ママ、ホステスさんが、ゾーロゾロと1階まで。

 「男ちゅうもんは、こんな風に酒を飲むんや」
 堂々と威厳を持って、父が宣言した。

 ふ~む、なるほど。納得したような、そうでないような。どんな風なのかよく分からないが、とりあえず、大学に入るまで、ビール以外の酒を自主的に飲むことだけはやめにした。
COMMENT(3)
この記事を評価するGood

2006.08.06【日記】

初めてのボトルキープ

 早く人間になりたい時期を通過して、初めて大人になれるような気がする。自分では一人前のつもりなのだが、周りは半人前にしか扱ってくれない時代。それが、中学から高校にかけての6年間ではないだろうか。親に養ってもらっていることに考えが至らないぐらいの幼稚さを持っているにもかかわらず、親が目をつぶってくれる裁量内であることに気づかぬまま、無謀な行動を取り続ける。

 その当時、私の中の3悪であり3憧れは、酒・パチンコ・女であった。

 私は中学から、中高一環の私立の男子校に通っていた。これは、塾を開いていた両親の洗脳(何が何でも私立の学校に入れ)によるものである。奈良の橿原から大阪の天王寺まで1時間余りかけて通い続けた6年間。田舎育ちの私にとって、大阪の天王寺から難波にかけては、誘惑の巣のコロニーといえた。

 当時、ずっと大阪で育った、私よりはスレッカラシの悪友と5人組でよく集まった。飲み屋に初めて連れて行かれたのも、エロ本(ビニ本だったと思う)を初めて見せられたのも、マージャンを教えられたのも全部彼らのおかげである。当時も、今も、感謝感謝。 中学をやっと卒業した春のある日。その悪友の一人から「大阪まで出て来ーへんか」というお誘いの電話がかかった。二つ返事で集合場所へ。大阪の下町はあべの銀座(今では再開発により下町風情はなくなったが)にあるジャズ喫茶である。すぐ横は飛田新地。少し行くとジャンジャン町。反対側は西成。

 全員集まったところで外へ出たが、特に何をすると決めていたわけでもなく、ただブラブラと人ごみの中をさまよった。そのうちに一人が、「パチンコしてみーへん」と言い出した。親について入ったことがあるという。興味シンシン、内心ドキドキ、本音ウズウズ、小心ビクビク。「300円だけな。勝っても負けても30分だけやでええな(300円と30分の根拠は不明)。」という話がまとまり店内へ。ビギナーズラックとしか言いようがないのだが、5人が5人とも勝った。合わせると1万円以上の浮き(換金するのにオロオロ、ウロウロ)。

 当時の私の小遣いから考えると、とてつもない大金を持ったことになる。みんなも事情は同じで、何に使うかが大問題となる(使うことしか頭にない5人)。今まで行ったことのない所で使ってしまおうという話はまとまったが、じゃー何処なのか。サーア南へ南へ(これじゃ落語だよ)。実際は北向きに歩いていたのだが。

 ジャンジャン町を抜け、日本橋から道具屋筋・千日前商店街・戎橋と、ゾーロゾーロのキョーロキョーロ。
 ビリヤード屋の前で「はいる?」
 エロ本屋の前で「はいる?」
 ゲームセンターの前で「はいる?」
 レストランの前で「はいる?」
 ポルノ映画館の前で「はいる?」
 どうも意見が一致しない。
 引っかけ橋の袂まで、ゾーロゾーロのキョーロキョーロ。

 そこで、ビラ配りのお姉さん(私たちよりは、やや・少し・だいぶ・相当年上?実はほとんど見ていない)から手渡されたチラシ。バーのカウンターのような写真と女性バーテンダーがシェイカーを振っている写真に、ノーチャージ・ボトルキープ1500円~・カクテル350円~・フード250円~etc.の文字。なんのことやらサッパリ要領を得ない。が、このチラシを渡されたということは、入ってもOKということで、酒を飲んでもいい年に見られたということで、嬉しいということで、今日2度目の興味シンシン、内心ドキドキ、本音ウズウズ、小心ビクビクということである。いきなりお互いに顔を見合わせた。言葉はなかったが、賛成多数ではなく、文句なしに満場一致である。

 いざ、突撃。

 いきなり問題発生。「何を注文するの?どう注文するの?いくらぐらいかかるの?いつお金を払うの?・・・」誰も知らない。ということで、本屋へ。情報誌、旅行案内、小説、参考書、グルメ本など手当たり次第に立ち読み。一夜漬けならぬ30分漬けの知識を元に、今度こそ、いざ、突撃。

 コワゴワ扉を開けると、清く明るく美しい声達が一斉に「いらっしゃいませ」とお出迎え。もう表には戻れない。だだっ広いフロアーにカウンターが6つ。お客さんはポツリポツリとしかいない。考えてみれば、まだ5時になったかならないか。空いているカウンターに、ソーッと堂々と座った。だって勉強してきたもん。

 「なんになさいます?」
 「ボトルでちょうだい」(立ち読みバンザイ)
 「どれになさいます?」(メニューを渡される。いっせいに5つの頭が集合。指があっちこち。下から2番目のサントリーホワイトで止まる。)
 「これ」
 「飲み方はどうなさいます?」
 「水割り」「コークハイ」「僕も」「ハイボール」「僕も」(ここも予習済み。全員、安心した顔になる。)
 「お一人様1品、フードのオーダーをお願いしているのですが!」(これは強制?本になかったよな)
 何か注文したのだろう。よく覚えていない。

 5人の間に会話はほとんどない。たまに横のやつの耳元で、コソコソっと内緒話でもするかのように一言二言。中から、女性バーテンダー?コンパニオン?ホステス?さんが話しかけてくれるのだが、「ウン」とか「ハー」とか「ウーン」とか、会話と呼べない代物に終始する。中の女性も困り果てているのはなんとなく分かるのだが、こちらもどうしていいのか困り果てているのだ。頼むからソットしておいて、という気分。酒の味なんか全くしない。なんとなく液体が体内に入っていくだけ。

 2杯ずつ飲んだところで、出ることになった。コーラや炭酸は納得できたが、氷代と水代が伝票に付いているのを見て、びっくり。何でも金を取るんだなーとは思ったが、こんなもんだと納得。支払いは7000円ぐらいだったが、高いような安いような、こんなもんだとこれまた納得。サントリーホワイトは酔わないような酔えないような、これもついでに納得。

 支払いを無事済ませたので、これで帰れると安心したところで、後ろから男の人の声が。
 「お客さん、少々お待ちください。」

 全員、顔面蒼白。
 「なんだなんだ?」
 「ばれたか?」
 「飛び出すか?」
 と、目で会話。

 コワゴワ、ソーット振り返った。すると、タキシードのような服を着た人が、
 「こちらキープ券。こっちが次回の割引券です。またいらしてください」
 とニコニコ。

 ホットして、ともかく、表へ出た。というより、逃げ出した。目に付いた喫茶店に一時避難。時計は6時過ぎ。小一時間の冒険の旅が終了したはずであった。再度、問題勃発。キープ券をどうするか。捨ててしまおうという意見もあったが、半分近く残っているから捨てるのはもったいないということに。次は誰が持って帰るかという問題。これはジャンケンで負けたやつということで落ち着いた。結局、私が持って帰るはめに。

 心臓の毛が円形脱毛症を起こした一日が過ぎた。



 





 
COMMENT(3)
この記事を評価するGood

プロフィール

comemas

ブログ内記事検索

  • 2019年09月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

最新エントリー

カテゴリから探す

タグ一覧