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カウンター

 この春に福井に転勤になったお客様が、久しぶりにお見えになった。
 ”福井でバーに行ったら、バーテンダーと向き合わないようにカウンターから小さなテーブルが出ており、横を向いて座るようになっていた。”と聞いた。
 お好み焼き屋でも、中華屋でも、カウンターの中と向かい合って食べないように工夫されているという。

 福井の人は、シャイな人が多いのだろうか?
 唯一知っている福井県人といえば、あの方である。
 あの方しか知らないので正確な判断は出来ないが、100%ありえない話に思える。
 英国フェアーでお目に掛かったが、いつも通り元気だった。

 カウンターの50~60㎝の距離が、お客様とバーテンダーを隔てている。
 単にグラスと酒瓶を置くための台として重要ではあるが、それだけが役目ではない。
 お客様を怒らせたとしても、手は届かないように守られているのだ(笑)。
 
 裸の付き合いではなくパンツ1枚はいての付き合いのできる距離を、カウンターは作ってくれているのだろう。
 横に並んで話しをするのではなくカウンターを挟んで向かい合って話しをすることで、悩みや、愚痴や、冗談もすんなりと出てくるのではなかろうか。たまには下ネタも。
 6年間使い続けたカウンターは、傷まみれになっており、煙草の焼けこげも所々に見られる。
 削って塗り直すことも出来るのだが、歴史のような気がして直す気になれない。

 うちの店のカウンターは、私が本を読む台であり、ゲーム用の台でもある。
 閑古鳥の止まり木にもなっている。最近は隅の方に巣まで作っている。
 たまにはバーのカウンターとして使ってやらないと、ぐれそうである。
 

#バー

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